砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ゴールドティアラ、必至の二頭出し

フィフニティ(=ステファノス)とレッドレグナントはともに直祖母がゴールドティアラで、母が全姉妹同士。父がディープインパクトロードカナロアで違うのだが、それぞれが違う路線からG1へ臨む。

レッドレグナント

母系にBold Rulerを引く龍王産駒なのでパワー豊富。「4分の1Secretariat=Syrian Sea3×4」に対してBold Rulerを二本引き、またSecretariatの継続を行っている。

この継続が難しいところで、もし「4分の1Secretariat3×4」であるならば拙い。だが全姉弟クロスなので遺伝情報が全くの同一ではなく、この継続は咎めるほどのものではないと思う。全きょうだいクロスは「お互いを全クロスする」という考え方なのよねぇ。俺としては。

前受けするクロフネ牝馬、というのはカワキタエンカと同じである。またエンプレスティアラの血統構成には独自の主張がないのでMr. Prospector4×4というのも面白い。

ただし、これはCon Gameクロスで締められた方が格好がついただろう。エンプレスティアラ自身はCon Gameによる「8分の1Blue Larkspur4×4」であり、この主張は多くの継続によって図られている。これを共通させる方が配合としての面白みは上だ。

フィフニティ

全兄にステファノスを持つ好配合で、牝馬である分だけ妹の方が競争馬として褒めやすい。ディープインパクトはフィリーサイアーである。

とまで書いてしまうと自分自身へ反発したくなる。

ディープ牡馬の一流

ディープインパクトは由緒正しき名牝系にあり、近親までその正しさは受け継がれ、そして母が名繁殖で、自身がスーパー種牡馬。競走実績と繁殖実績によって裏付けされた、明確な正しさをフィリーサイアーとして娘に伝える。

息子相手には牝系の正しさをあまり伝えず、「サンデーサイレンス後継筆頭」としての靭やかさを主な遺伝とする。Hyperionを積極的に伝えないからこそHaloが活かされない、という矛盾。

なのでディープ牡馬はHaloとHyperionのダブル責めでしっとりと配合を決めねばならず、制約の多い形になりやすい。「強い」と一言で表さなきゃならない悔しい馬・・・サトノダイヤモンドやダノンプレミアムなどがそうであるが、彼らは一瞬の煌めきを求める最大風速の配合だ。(だからサトイモ大阪杯で印を打たなかった)

そのあたりはトーセンラースピルバーグディーマジェスティマカヒキディープブリランテキズナらも同じで、牡馬は星のように瞬いて去っていく。

だがステファノスなどの一流半はなかなかにしぶとい。ダノンバラードサトノノブレスラストインパクトディサイファダコールヒストリカルエキストラエンドなどが例で、G1での格が足りなかった馬は晩年になっても競争能力を相応に保持し、重賞で勝負し続けるのである。

ウインドインハーヘアへの処理

極端な結論を言えば「際どさを求めなかったからこそ、一流半は活躍し続けた。」である。この場合の際どさとディープインパクト産駒らしい瞬発力のことであり、Halo≒Lady Rebeccaの影響のことを言う。

これをオンとするにはBurghclereへ対するニアリークロスが必須で、これへ対する共通項を持つことで処理を完成させる。多くは早熟へ向けるためのものである。

ディープインパクトの伝えるPrincequilloは非常に靭やかなものだ。であるからこれを回転させるには速さと気性が必要で、これを若さで補うのが王道と言うべきだろう。

なので純粋無垢の晩成を伝えるBurghclereの処理が必須であり、この処理を適切に行うためにはニアリークロスが必要である。「最適化」と「共通項」が俺にとってのニアリークロス!(どやっ)

例えばAureole

Aureoleの晩成とスタミナを活かすためにはスピードと早さを必ず取り入れている。スタミナ×スタミナ×スタミナ・・・という配合を行っている可能性は低い。(これを行っていたのが古き英国と米国。アメリカは本場に向けて「歴史的な大レースの距離を短くするなんて間抜けなことだ!」みたいなこと言っていた時期がある。禁酒法時代には短距離へ熱中するくせに。)

この早さと速さをディープインパクトへ注入する、ってのがBurghclere≒Aureoleの根拠である。血統が似通うことよりも、その周辺にニックスを発生させられることが重要なのだわ。ニックスや緊張と緩和を伴わないニアリークロスはない。有り得ない。

一流どころはこのあたりの処理が非常に素晴らしい馬しかいない。だからこそG1を勝てるのだけれども、ニアリークロスによる早熟の影響も大きい。

ニアリークロスは競争能力の瞬間最大風速を高める至高の手段だ。けれど、種牡馬繁殖牝馬の根幹を弄くり回す大変革でもある。メリットとデメリットはあるわけよね。

ステファノスクロフネ

ディープインパクト×ココシュニックは特別ではない。順当な配合を重ねた末にあるものだ。

ベストパフォを発揮してようやくG1を勝てるかな?ダノンシャーク出来るかな?ってくらいのレベル。そのレベルも失われているが。

しかしウインドインハーヘアの伝える晩成は確かに根付いていて、それはクロフネのズブさと相まって妙な味わいとなっている。これからも重賞でお世話になる機会があるだろう。

そこなのよ。最初から決めていた結末はクロフネとしての強さなのだわ。牡馬が母父から得る表現にステファノスは、ディープ牡馬はいつも助けられてきた。だからこれはこれで一つの完成形と見るべきではないかと。

フィフニティその2

この配合で最も秀逸なのはGood Exampleの継続にあって、それに伴って強く表現されたBold RulerBuckpasserのパワーなのだわ。

こういった要素をディープ牝馬は内包して走るわけであるが、単純にステファノスよりフィフニティのが上と見るのは軽率だ。

軽率ではあるが、傾向としてそれを否定する気はない。

そんな結論。


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