Nijinskyという血統はDanzigやSadler's Wellsほど流行っているわけではないが、存外生きる道が多い。多すぎて流行りきらないというくらいであるが、Tapitの構成に一役買っている以上は流行っていると言うべきか。
流行の父にあって
Nijinskyは父系として繁栄しなかったが、Northern Dancer系でも屈指の異系血脈として頼もしい働きをしている。母系に入って美味しいのはTapitを見てもよく分かることで、また日本ではスペシャルウィークとダンスインザダークがBMSとして大活躍している。Nijinskyというのは、そういう種牡馬だったらしい。また、ラムタラやフサイチコンコルドといった例があるにせよ、Nijinskyに対するNorthern Dancerクロスは成功しなかった。並の成果は残したし、超がつく名馬を輩出した以上は適性を持たないということもない。というかDanzigが成功しすぎ。
かといって血統の上でNijinskyへのNorthern Dancerクロスは良形を得なかったのも事実。クロスを受け入れずに、Green Dancerの様にアホみたいな異系血脈と連なって現代まで生き残っている。
ウイポ馬生
異系として発達するNijinskyはすごい速さで代を重ねた。父の最初期産駒であり、Sadler's WellsやDanzigとは10年以上早くに生まれているにしても、非常な速さと言わざるを得ない。Nijinskyは67年、Danzgは77年、Sadler's Wellsは81年、Green Dancerは72年、がそれぞれの生年だ。Nijinsky直仔として母系に生きるGreen DancerはDanzigとSadler's Wellsよりも先に生まれている。
加えて彼らはは長命だった。25歳を超えてもまだ現役種牡馬としてやっていたくらいであり、特にDanzigはラストクロップのハードスパンが一線級の活躍を見せた。04年生まれであるからディープインパクトよりも年下である・・・。86年産のサンデーサイレンスが輩出した「晩年の傑作」たるディープインパクトよりも。
結実
Nijinskyが短命であったわけではないが後継種牡馬はCaerleon(80年生産)を含めても早い段階で生産されている。ラストクロップからラムタラが出ているが、諸事情により後継種牡馬として大成はしなかった。しかしまぁ、ラムタラも母系に入ってようやく名馬を輩出したらしい。母母母父という位置は実にNijinskyらしいものであり、今年の「ダービーS勝ち馬」であるMasarからはゴドルフィンの執念を感じる。
歴史的名繁殖Urban Sea(当時は凱旋門賞勝ちの名繁殖候補)へつけるほどゴドルフィンはラムタラに惚れ込んでいた。日本はサクソンウォリアーの敗北よりも語るべきことがあると思うのだわ。当時の日本に「ラムタラに負けない繁殖牝馬を」と考えた人間がどれほどいただろうか。
良い種牡馬を得ようと奔走することは正しいことだけれども、他人の意地や誇りを金銭で曲げようとするのはどうだろうか。ゴドルフィンを曲げようとするならば「私達はラムタラの血を紡ぐべく、これだけの繁殖牝馬を用意しています。」というべきではなかったか。
ビジネスと言えども、Masarの配合を見ると思ってしまうものよねぇ。ラムタラってのはこういう風に配合を組める血統だったのだわ。
数多とあるDanzig血統によってあのNorthern Dancerの不具合はカバー出来たはずだ。こればかりは日本にゃ出来ないことだもの。ラムタラは日本へ渡るべきではなかった・・・。
めぐり逢い
Nijinskyは異系として発達したが、その最大の特徴がBlushing Groomを優秀な形で招き入れられることだった。そしてそれはUmidwarとTudor Minstrelの融合の表現でもある。キングカメハメハも同じ理屈。Masarとドゥラメンテの抜け出し方はほとんど同じで、ああいう競馬がNijinskyという血統の本領発揮である。
ワーザーもそういう馬だと思う。
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