砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

オールカマー回顧 ver1.04

まさかのドスローオブドスロー。
ただこれは馬場の割にスローであった、ということでありまして まさかラスト1ハロンが11秒台で鋭く流れるとは思いもよらない。 俺は35秒台で上がると考えていたしなぁ。だからこそのローカル路線推し、長距離路線推し。 さっぱり緩んでからビュンっ!となるならマイル寄りの展開でありますから マイネルラクリマフラガラッハ、アロマティコあたりを買っていただろう。 クリールカイザーラキシスをどう考えたかは分からん。 根本的な間違いを犯したわけなので回顧すべきことはなにもない。 選んだモンタナやノブレス、アスクリが見事に沈んだことにも満足している。 この展開でも十分なレースをするようなら俺の考え方が間違っていることになるからね。 [続き] でもなんだかんだでレースを見たら回顧りたくなるわけです。 スタート直後だけちょっとグイグイ押していくカレブラ。割りとすぐに落ち着く。 外からグーンっ!という効果音もなしにそっと先行策はマイネルラクリマ。 ノブレスもモンタナも軽い手応えで続いていく。 向こう正面でも割りと緩いままに流れていって3角4角でもカレブラの流れ。 3F以下のしょっぱい上がり勝負になるとは考えもしなかった。 カレブラのペースで流れるならば3角でまくっていくはずだと考えた。 一にも二にも「ローカル的」と思っていたし。 誤算は二つも三つもあって、 まずラクリマが軽い手応えで並びかけてから2番手で我慢したこと。 その外からノブレス、モンタナという鈍い馬が並びかけて壁を形成したこと。 何よりも馬場がね。
200m400m600m800m1000m1200m1400m1600m1800m2000m2200m
13.011.011.412.212.912.212.412.112.011.411.6
13.024.035.447.660.572.785.197.2109.2120.6132.2
(netkeibaから) 序盤が思いの外流れなかったこともあるし、1角2角のペースダウンがなかなかのもんであったし。 けれどしょっぱいなりに流れたカレブラの素晴らしいペースとも言えるわけで。 1000mは1分0秒5、残りの1200mを1分11秒7。 2200mにしては前半は平均よりやや遅いくらい。 この800m-1000m間の12秒9がファインプレーと言えるでしょう。新潟のコーナーの奥深さとも。 そこからは12秒台前半を淡々と流していく長距離ペース。フェイムゲームクリールカイザー台頭の鍵。 長距離馬の取捨は本当に最後まで悩んでいて・・・ 「いや、前半が流れるなら後方待機になるし、後半が長距離的になっても内回りじゃ届かねぇ」 しかしフェイムゲームは宝塚での先行実績があるわけで、このくらいなら省エネの範囲内だった。 クリールカイザーも中山2200mの湾岸ステークスがこんなペースで、 「でも中山外回りはちょいと特別なんだよなぁ」と考えていたら大惨事に。 セントライト記念の時に 「新潟2200mで勝ち上がった馬が回収率高い」 「だから今回は逆に中山2200mで勝ち上がった馬を狙う、というのもありなのでは」 って話をコラムで書いていた人が確かにいて・・・ それをふと思い出しはしたんだけど関連性がさっぱり分からなかった。 だけど確かに中山2200mはロンスパ傾向になりやすくて 中山2200mの帝王、ヴェルデグリーンはジャンポケの父祖であるカンパラ的な脚で 決して速くならないロングスパートに最適な脚色であった、という話をモチジュン先生がしていました。 新潟2200mはコーナーのきつさも相まってローカル式でありながらもペースを落とせる展開。 だから向こう正面からペースが上がるのだけどすぐにきついコーナーが待っているから上がり切らない。 つまり馬場の問題ではなく、中山外回りと同じ計画性のある速い流れとなるわけですね。 だから中山2200mで実績のあるクリールカイザーフェイムゲームフラガラッハは良い。 ナカヤマナイトも全盛期ならばもうちっと上が狙えただろうし。 そしてこういった流れはマイル的、とは上の方で書いたか。 そりゃそうだ。秋真カレブラのコンビが刻んだのだからマイル馬方式になるだろう。 そういったペースに対応したのがアロマティコやマイネルラクリマである。 緩みがあるのだからマイルというか京都マイルというか、1800m的になるわけですよね。 いや・・・中山中距離はマイル的な流れになる、穴はマイル馬からって昔からの理論もあるけども。 「それならクリールカイザーフェイムゲームはマイルで活躍できるのか?」 とも思うけど可逆性はないんじゃないかねぇ。 残る問題はラキシスだけ。 ディープ×嵐猫はセクリアト≒サーゲイロードのニアリーでユルユルになりやすく、 だから母母で筋肉量を補完しなけりゃならないわけだが ラキシスサトノアラジンミスプロ直系の中でもパワーに定評があるファピアノニジンスキー≒ストームバードのニアリーなどでなんとかしている、とモチジュン先生。 晩成した姉貴は靭やかな馬体を武器に京都2200mで切れまくるわけなんだけど 新潟2200mで切れる様な何かがあるとは思わない。 だから大雑把に「格でしょ」と。 だけどこうやって色々とレースを見なおしてみると・・・ 「最後まで伸びるタイプじゃねぇな。川田が先行策にこだわるのが分かる気もする」 緩い馬体なんだから伸び伸びと一気に差す競馬をすりゃいいと思うんだけど なんだかよく分からんが上がりにリミットのかかった展開を得意としている スローだったエリ女中日新聞杯。馬場が厳しかった京都記念。 展開なり、馬場なりにきっちりと上がりを使っているわけで、 そこら辺のさじ加減は川田の面目躍如で、クラレントと似た様な感じ。 ・・・。 あぁ、クラレントなのか。こいつ。 少なくとも川田はクラレントみたいに乗ってるわ。 同配合のキズナアユサンはただ柔らかいだけじゃなくて晩成してからは力強さもある。 まさに強靭という言葉が似合うパワフルさをどこかに潜ませているだろう。 というよりも古馬になると力強さが際立ちすぎるんじゃねぇのか? 発展途上の時点で競走馬として立派に活躍するんだからさ。 ディープはなんだかんだで柔らかに靭やかに切れる馬を出さないからな。 きちんと活躍する奴はほとんどが力強く切れるでしょう。親父自身の様に柔らかく軽やかにビュンビュンはしない。 (ていうかああいう馬をきちんと作れる配合って少ないだけかなぁ) しかしまぁ、ラキシスクラレントって考えたらなかなか納得できる。 スロー前受けできっちり切れること、渋り馬場でも位置を少し下げれば差しにも回れること。 ・・・でも今回の展開でクラレントが好走するというのもなんだかなぁ。 でもエプソムカップ仲間のマイネルラクリマがいるし。ちょうど新潟マイル2連勝中だし。 スロー前受け東京馬は外捲り中山馬と互換性がある、というVM理論もあるしなぁ。 (中山牝馬勝ちの馬がVMでは内枠先行で好結果を残しているという話) スローからゆるーく速めに流れたことでストライドが伸びた、ってことなんだろうか。 先行馬に関しては東京的なのかもしれないな。ラクリマラキシス、カレブラ。 こう・・・後ろの追い出しを待ってから2ハロンだけビュンっ!と切れる感じ。 ふっふっふ、楽しいなぁ。懸命に悩んだレースの回顧は楽しい。 まだまだ追記していこう。 [ver1.03] またアロマティコはスローからビュンっと抜け出す展開ならば牝馬G1でも通用しました。 だけど新潟2200mでキツイ流れになれば牝馬の弱さが露呈するだろう、ということで消し。 それはラキシスも同様で、牝馬の台頭はさっぱり考えなかった。 けれど実際は真逆、という話はおいといて・・・ アロマティコは内回り、小回りに特化したピッチ走法でありますから クイーンステークスや巴賞で見せた凄まじい機動力でここも本命を打った予想家も多かった。 結果が5着ではありますがここでアロマティコを買うのはちょっとおかしいなぁ、とは思う。 このメンツを相手にしたら掲示板=勝利とも言えるレベルでしょう。 アロマティコの望む展開ってのは 「内回りで直線に向くまでほとんどスパートがかからない」というものなのよ。極端な話。 スロー&スローで流れて直線でヨーイドンっ!って競馬。アロマティコはそういう競馬なら負けないでしょう。 今回はあの流れでも前が止まらなかった。つまりそれだけのメンバーが揃ってたし馬場も悪くなかった。 アロマティコはこの馬場でこのペースで前が止まらないと届かないのよ。 エリ女はあのメンツだったけどドスロー。メンツの割にはあまりにもドスロー。
2004006008001000120014001600180020002200
12.611.312.812.913.113.513.212.711.711.611.2
12.623.936.749.662.776.289.4102.1113.8125.4136.6
1400-1600で12秒7。完璧すぎるほどの3F競馬ですわ。 中団から撫で斬りに落としたメイショウマンボ、前受けからトコトン切れたラキシス。 そしてスローに流れまくった中で最も豪快に動いたアロマティコ。 番手は15-17-11-9という経緯。軽い手応えでグングンと押し上げていった。 ま、コレは牝馬戦ならではの嫌味な流れではあります。 椅子取りならぬ椅子抜けゲーム。ヴィルシ囲いから如何に上手に抜けだすかが鍵だった。 そのえげつない馬群の内を通ればハナズゴールらの様に潰れる。 だから4角じゃ外外がグングン加速していったんだけどスローを差せる馬が少なすぎた。 ホエールキャプチャなんて前へ行こうとしたのに抑えられてるからねぇ。 距離不安を抱える馬が多くてドスローになったのにオークス2着実績が動かない。 結果として問題のある行動でありました。 しかしあのドスローの中で手綱を抑える騎手の多いことよ。 ということで(?) アロマティコは内回りをビュンっと抜け出す脚があった。 直線を向くまでにそこまで脚を使わずに内馬場から進出したのは相変わらずの好プレー。 そしてもう一頭の追い込み馬がフラガラッハであります。 こいつは中京マイル専用のズブズブ持続脚の持ち主。 そしてAJCCで見せたもう一つの姿。中山まくらーだったのであります。 (※まくらー まくりの馬。アムラーみたいな、さ。) 中山2200mの王者、ヴェルデグリーンの更に外をまくってすんごい脚を使ったのがフラガラッハ。 「なんか知らねぇが中京記念しか走らんぞ」と陣営もファンも不思議に思っていたが 「とりあえず中京で走るんだから」とトーセンラーみたいに中京中距離の金鯱賞へ向かったら好成績。 気分を良くして中距離路線へ歩んだAJCCでも強い内容であったので大興奮! よしよしと気分を良くして中日新聞杯産経大阪杯と進んだが今ひとつ。 人気を落とした鳴尾記念では3着、そして3連覇のかかる中京記念で大惨敗。そして中距離復帰のオールカマーで4着・・・。 勝ち切れないのはつまり・・・脚がね。うん。切れないから。 ヴェルデグリーンが中山2200m以外でさっぱりだったのと同じように 尖り過ぎた馬は頑張っても頑張っても勝ち切れないのだ。どっか一箇所でしか。 ここでは切れない脚で大外をグイグイと加速してまくっていった強い内容なんだけど 「それじゃ大外じゃなくて内を通ってたら勝ってたの?」と言われると腕を組んで「それはないかな」。 3角4角がきっついからダラダラと流れていった。 けれど大外を通ることでやや速いダラダラを実現して、その速めダラダラを直線へ持ち越したのだ。 そのアドバンテージを活かしてなおダラダラと伸びつづけた、というのがフラガラッハの競馬。 中京はそのダラダラの末に「東京よりやや短い」という程度の直線が待っているからね。 だからフラガラッハは差し切れるんでしょう。 だけどここをこんな競馬で4着まで来たんだからシャレにならないよ。強いよこいつ。 強いけど・・・ハマんねぇべなぁ。極端な雨渋りでも走るならともかく。 [ver1.04] 勝ち馬のマイネルラクリマってのもやはりこうした流れが得意で、 七夕賞は「ニジンスキー持ちのダラダラ持続脚を狙う」という血統的な話が過去にある。 開催週が変わって外が伸びなくなったので「過去」ではありますが、傾向としてはそういうことで、 3角4角をダラダラと流れて行くから外が伸びる場合は外まくりの外差しが決まるのです。 そうした事情の中、開催週が変わった七夕賞を制したのがマイネルラクリマで、 ダラダラと流れて行ったのをダラダラと4角先行に、そのままダラダラと伸び続けた。 ラキシスは緩慢ストライド故に一瞬の切れしか持たないし、 スローからダラダラと流れてくれれば内回りとてそこそこ脚は伸びるわけですよ。 対してラクリマってもチーフベアハート産駒であるから多少の緩慢さはあるんでしょうが(ほんの些細なレベルで) こうやってダラダラと流れてから一度は迫られたりもしますが最後までじっくりと持続するんです。 ラキシスは最後の30mくらいは失速して迫られるケースが非常に多いですね。 一時はラクリマを差しきるかという脚色ではありましたが本当に一時の話でした・・・。 つまりラキシスってのは確かに切れ味があるのですが、中団から差しきるだけの持続力がないんでしょう。 だから好位競馬に徹するわけで、こいつは枠次第では簡単に沈没するのだと思います。 サトノノブレスは大負けではありますが。 カレンブラックヒルの逃げに対して外外を回り続けた事を思えば仕方ないとも思う。 ノブレスさんは今まで逃げのマイペースを作ったり内を差したりの展開利を得てきた。 春天も5ハロンに及ぶロングスパートを35秒3で上がったわけだ。 12.8 - 12.0 - 12.1 - 12.4 - 12.4 - 12.1 - 11.3 - 12.5 - 12.9 - 12.9 - 12.9 - 12.3 - 11.7 - 12.0 - 11.1 - 11.7 このペースを作ったノブレスがオールカマーで潰れるのは少し変な話かもしれない。 だが馬場の抵抗や外内のことを考えると決して変な話じゃないかもしれん。 13.0 - 11.0 - 11.4 - 12.2 - 12.9 - 12.2 - 12.4 - 12.1 - 12.0 - 11.4 - 11.6 オールカマーがこれ。 あの馬場で6ハロンがじんわりと流れた。それを外で行くわけだから負担は大きい。 けれどナカヤマナイトが崩れていないんだから理屈的に厳しいんだよなぁ。 フェイムゲームだけなら説明がつくんだけど。 つまり崩れたとかではなく、内回りで速い脚を使える馬じゃないという話ではないかねぇ。 小倉記念が35.3で今回は35.5。コーナーのきつさを考えたら妥当じゃないの? 過去にも33秒台は出しているけど外回りや東京だし。 それにナカヤマナイトフェイムゲームみたいな中山的なまくり脚はないでしょう。 むしろ内をクイックに行くタイプではないのかな。 そもそもが内回りというか小回りというか・・・中山なんだよなぁ。 ノブレスの脚ってのはどっちつかずで、外でも内でも中でもない。 ど、ドヤ顔はしてないっすよ。 母母父のARLの脚色をなんだかよくわからないままに受け継いだ様な感じになっていて、 内回り的な機動力はあるんだけどAlibhiのクロスのうるささが粘り&パワーを助長している。 粘るのに機動力。日本語として正しいの?という疑念はあるけどそんな脚色なのです。 しかし天の助けがありました。小倉記念は内回りを粘り差すという変な展開だったのです。 日経新春杯ルメールの変態力で勝利。小倉記念がまさにベストレースだった。 (日経新春杯も外回りをスロー気味に流して雨の京都を粘り脚でじっくりとやりきったレース。  コレはノブレスのベストというか、モチジュン先生の「ルメールの変態プレー」という言葉が適切だと思う) だから中山的にまくりが効く新潟2200mではなんだか弾けきれないのも分かる話で、 今回は外をまくるよりも内をクイックに行った方がいいレースだったのかもしれない。 それでも「切れ」とは無縁の馬なだけに切れ勝負になってしまうと大負けも仕方がない。 別に1秒も離されていないんだから大負けでもないし。 小倉記念の疲れも多少あったのかもしれない。ここは順当じゃないでしょうか。 だからこそ「逃げもあるかも」と考えたわけで・・・ カレブラのマイル逃げよりも自分の中長距離逃げの方が分があるでしょう。 よどみなーく流して持続的な、粘り的な展開に持っていった方がまだまだ勝機はあった。 けれど良くも悪くも和田竜にそれを期待するのは難しいよなぁ。 陣営も「差しがどうのこうの」と言っていたしそういう意向だったのでしょう。 なんで勝ちパターンを決めてしまうんだろうね。小倉記念なんて特殊過ぎるでしょ。 かといってヴィルシーナみたいに試しすぎるのもどうかと思うけど・・・。 でもヴィルシさんはそうやって人気を落としたために奇襲逃げが決まったわけだしなぁ。 いや、世の中難しいですよ。 1番人気が消極的になるのは仕方がないな。 やっぱり主戦が乗り続けるのが一番いいんだよね。 カレブラ秋真みたいにその時その時の適切な騎乗が出来るメリットは計り知れないよ。 (それだけに中距離路線をもっと早く提言してくれれば、と思ってしまう) (ダート路線は結果的に間違いだったけどアレだけ渋り馬場を完璧にこなしてたんだから仕方ない) (ダイワメジャー産駒がダートをさっぱり走らない、てデータはそんなに集まってなかった時期だし) けれどフラガラッハ高倉みたいに進歩のないまま淡々とレースされるのもなぁ。 そりゃ時たま上手いこと行くけどさ。挑戦者の立場なのに「運がよけりゃ届くべ」みたいなレースされるのは・・・。 乗り替わりでいきなりハマることもあるからな。 和田竜みたいにメリハリのある先行策の達者はなんだかんだで悪くないもん。 ・・・あれ? [fin] [fin]