砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

雨の良馬場をラスパクが 京都大賞典回顧

24秒の決着。となるとやや遅い。


高速だった昨年は22秒であるしねぇ。

しかしこれはトゥザグローリーの逃げが完璧すぎたんだわな。

ペースの読みが誰も定まっていなかった。

「ペース?そんなの知っちゃこっちゃないよ」

という馬がタマモベストプレイ

「積極的に行って棚ぼたを」と予想で書いていたのがドンピシャリでした。嬉しい。

強気の積極策でトゥザを交わして先頭に立ったのだがそれを上回ったのはラストインパクト

母父ティンバーカントリーのディープ産駒であります。

ベガにサンデーがつけられてアドマイヤベガというダービー馬が出たのに対して、

ベガにティンバーカントリーがつけられてアドマイヤドンというダートの帝王が出ました。

母父にミスプロ系を持つディープはトーセンラーもそうだしヴィルシーナもそうだけど

ディープの柔らかさを緩和する程度に収まる配合が多い。当馬はちょっと通り越して力っぽい面が。

逃げたトゥザグローリーは復調をアピールしたし、鞍上の福永も完璧な逃げ。

この逃げ味は宝塚記念のそれこそヴィルシーナと同じもので、伏兵らしいものだった。

逃げを捉えた差し馬はトーセンラーヒットザターゲットだけ。

この二頭はワンツーの二頭よりも強い競馬をしたと言えるでしょう。

ヒットザはよくぞここまで脚を伸ばした、と大いに讃えたいくらいだし、

トーセンラーはデスペという鈍足馬の邪魔を受けながらもよく直線だけで3着まで来たもんです。

あれって審議じゃないの?横ノリはやりすぎじゃないのかい。初っ端からひどい囲い方しやがる。

大きく三つのグループに分かれていた、と考えれるかな。

一つ目がトゥザグローリーの引っ張る先行グループ。

福永のシンプルな逃げに追走したタマベスとラスパクらが所属。

二つ目がトーセンラーのストーカー。

京都2200mと2400mは人気馬の囲い込みが主流戦術でありまして、エリ女京都大賞典はこういった結果になりやすい。

デスペが素早く前を塞ぎ、フーラブライドが壁を形成。後ろはマンボが監視。

このスリーマンセルを基本として他にヴィクトリースターなども参加していた。

三つ目が無欲の追い込みグループですか。コウエイオトメはあいも変わらず後方最内。

ヒットザターゲットもこのグループだ。

コウエイオトメは「そこそこ流れて馬場もやや荒れて、その上で前が止まって欲しい」というわがまま娘。

今回は前が止まらなかったわけですが、差し勢がストーカーになっていたこともあって6着に好走しました。

何度もいうけどトゥザ福永の術中に見事ハマっちゃった感じですよね。

雨渋りは残っていただろうけど良馬場発表だからトーセンラー1強の形だった。

だからこそ誰もが囲い込みに走った。その結果の前残り・・・。塩っぱい競馬だ。

マンボ幸四郎の騎乗は相変わらず残念きわまりないのだけど・・・

これは争うまでもなくトーセンラーとは格が違うという理解をしているのかも。

そしておそらく・・・3Fの脚しかマンボは持たないのだろうね。

オークスエリ女も極端過ぎるくらいに3Fの決着だもの。

秋華賞は4Fだけど11秒後半で流れ続けた4Fで、上がり3Fが34.2秒。

今回の後4Fも秋華賞と似た形で推移していて、マンボが使った上がりは34.6秒。

馬場状態を含めたらもうちょっと複雑になるんだろうけども間違いはないでしょう。

4Fで流れてからの33秒台の上がりってのがマンボには望めないのだ。

フーラブライドも33秒で弾ける脚があればマーメイドSで勝てているわけであるし。

牝馬戦を基準にすれば十分な持続戦なのだけど混合戦じゃ3F競馬の範疇ですわ。

これは読み間違えたね。牝馬戦なら最後の1Fが12秒台に突入するもん。

そこら辺を思えばヴィルシさんってのは間違いなく非凡なんですね。

気性の良さからスロー逃げ敢行。牡馬相手にスローに落とすことが出来る牝馬って過去の競馬を見て珍しいかも。

ジェンティルドンナをハナ差決着まで追い込んだ逃げっぷりだけは混合G1レベルだった、というのは宝塚でも実証済みでしたね。

それにしても驚きは岩田でありまして。イン差しのしない岩田はサルじゃない!

サルってのはね。イン差しの名手に対する尊称ですよ。これはただの岩田だ。

ヒットザ岩田としては残り1000m地点で差し馬たちは前を捕まえに行くと考えていたはずで、

そのつもりでペースを上げていたんでしょうが・・・差し勢(別称トーセンラー組)を率いていたのが横ノリデスペ。

早く動けば荒が出てトーセンラーを逃してしまうからじわりとしか動かなかった。そのために前が残ったわけです。

そして予想より早く差し勢に届いてしまったヒットザは停滞を余儀なくされるわけですよ。

インはコウエイオトメが陣取っていて邪魔臭いし、仕方なしに外へ向けて行ったら次はマンボ幸四郎

牝馬のペースで展開させられた挙句、直線でもすぐには開かない。スローだったのに。

比較的早く開いたのがトーセンラーで、こっちは直線向いた時点で差し場があった。

ヒットザの態勢が整ったのは残り400m地点で、そこからグイグイと伸び続けたのです。

つまり京都2400mではね。トーセンラーヒットザターゲットはほぼ同じ力を持つと見ていいでしょう。

ヒットザはここまで来た。G1制覇が見える位置まで来たよ。

追い込み馬としての持続力と切れ味はタマモクロスの劣化版くらいには到達しているだろうし、

展開とメンツ次第では十分に差し切りはあり得る。

宝塚記念で見せた凶悪な溜めっぷりと炸裂っぷりは嘘じゃなかった。たまたまじゃなかった。

このくそったれなレースでの収穫としては十分だと思います。

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