枠を読む、というのもまた面白い作業です。
まず外枠の不利について語りましょう。(なんだか偉そうだな)
マイルCSは基本的に内枠有利のレースです。馬場が良好であるから。
勝ち馬のほとんどが内ラチから2頭以内に位置して追走していることからもそれは分かるでしょう。
実際に振り返ってみると・・・
13年 トーセンラー 内ラチから2頭目
12年 サダムパテック 1頭目
11年 エイシンアポロン 2頭目
10年 エーシンフォワード 1頭目
09年 カンパニー 1頭目
08年 ブルーメンブラット 1頭目
07年 ダイワメジャー 3頭半外(ただし外伸び馬場)
ということになる。内で溜めることが基本戦術。
ついでだから08年までの
掲示板入りの馬を全て網羅してしまいましょう。
4
頭目以降の位置取りは
ドナウブルー、サプレザ、
ダノンヨーヨー、
ゴールスキー、
スーパーホーネット、カンパニー。
ドナウブルーは
ジェンティルドンナの全姉であるだけに流石の結果(と茶を濁す)
サプレザは
吉田照哉氏所有のG1三
勝馬。
スーパーホーネットは無冠のままに引退したが1600m~1800mでは無類の勝負強さを見せた。
カンパニーは語る必要もないですな。
「
ダノンヨーヨーと
ゴールスキーはどうして?」ということになりますが・・・
2010年の
マイルCSってのは
12.1-10.7-10.9-11.6-11.4-11.1-11.9-12.1を刻んだキツイ流れなのです。
1分31秒8の勝ちタイムは当レースのレコード
ダノンヨーヨーも
ゴールスキーも5着の
ライブコンサートも勝ち馬の
エーシンフォワードも。
過去の戦績を追ってみると終い12秒でこそ届いて見せるような差し馬であることがわかります。
むしろこんな例外的な年でさえも4着に突っ込んでくるサプレザがおかしいのだ。
ということで。
「外追走は驚異的なパフォーマンスを持たなきゃ届かせられない」ということですね。
スーパーホーネットやカンパニー、サプレザのような実績馬でこそ
複勝圏へ挑めるのです。
せめて
ドナウブルーの様に血統的な背景が欲しい。
そして大切なことを忘れていた。
「外追走と外枠の関連性」ですな。
先行馬や逃げ馬はやはり例外的に2
頭目や1
頭目あたりで追走できている。
普通はそこまで脚を使ってしまえばズルズルと後退するもんだがね。
逃げ先行からは
シルポートに
キャプテントゥーレ、
マイネルファルケが好走。
差し先行からは
リアルインパクトにサプレザ。
ドナウブルーもかなぁ。
キャプテントゥーレは
ワールドエースにとって面白い話だね。中距離馬の好走実績に当たる。
このメンツは・・・「前に行って粘る」という競馬をする奴らだね。
モチジュン先生は
ミッキーアイルを「爆発力のある
リアルインパクト」と評しますし、
更に今回は無理に競り合ってくる逃げ先行もいない。こいつもまた買える馬です。
(競り合ってくる奴はいないけど奇襲的に逃げを狙ってきそうな奴らはいますがね)
武豊は
ミッキーアイルを潰すために
ベルカントで逃げを狙いつつ良いところに収める、という戦術をとって来ました。
あの間合いの取り方は本当にいやらしいもんでしたよ。内枠はやっぱり美味いんです。
それをねじ伏せてしまう
ミッキーアイルもまた凄いもんですが。
外枠の差し馬は結構外側を追走してます。
これは内へ潜れないとかじゃなくて4角で外へ出す意志を見せているからです。
内に一頭分くらいのスペースを空けていた馬も少なくないし、そこらへんは微妙です。
例外なのは
エーシンフォワード。これは内から行く意志を持っていたわけですよねぇ。
似た形になったのは
ブルーメンブラットか。これは4枠7番から内へ潜り込んでいる。
こういった形になぜ持ち込めるかと言えば人気の差し馬が外へ行くからです。
人気馬がわざわざ後ろへ下げてまで内追走をしないからであります。
今年の形はまさにドンピシャであるから
エキストラエンドと
フィエロがどこまで無欲に行くのかが注目されます。
「メンツを思う」の段では「福永は不用意に下げるからなぁ」と溜息まじりであったんですが
こうして考えてみると真ん中枠の福永が馬券になる可能性は高いですね。
13年 7枠13番 3着
ダノンシャーク
12年 7枠13番 8着
ストロングリターン
11年 4枠 8番 5着
リアルインパクト
10年 7枠15番 3着
ゴールスキー
09年 7枠14番 14着
ストロングガルーダ
08年 5枠 9番 6着
マルカシェンク
これだけ外枠へ入れられながらも着を二度拾っているのは並大抵の話じゃありません。
昨年は一番人気の
ダノンシャークだったから人気を裏切る形ではあるけれど・・・
馬の実力を考えたらそんなに悪い結果ではないですよねぇ。実際に今年は穴気味だし。
ダノンシャークは侮れない馬ではあるんですがこの枠では厳しい、というのが現状。
前走は
横綱相撲で敗れたわけですしここは岩田が柔軟に対処してくるのではないかな。
でもこの馬は下手に緩みを作ってもプラスに働く馬ではないんです。
緩むなら緩むで3F瞬発の前残り展開にならなきゃならない。昨年の
富士Sがそんな展開。
それ以外の形で前受けをしても好走止まり。コンマ1秒から3秒までの遅れでの入線になる。
安田記念の様な特殊な馬場と条件の合わなかった
阪急杯以外は前走も含めてコンマ3秒以内の着差に留めていますよ。
強い馬なんだけど好走止まり。血統配合の限界と言えるのかもしれません。
モチジュン先生は「サンデーは最強の中距離馬を作れるけど短距離馬は作れない」と仰る。
短距離馬は頑強でなければならない。でもサンデーは柔らかくしてしまう、と。
今回の出走馬で最も
マイラー然としているのは
フィエロでしょう。(あれ?ディープ産駒なのに)
レコードペースで行くと想定するならばこいつしか本命に出来ません。
10年の例を見るようにレコードペースともなると枠の不利有利が和らぎますから・・・。
しかし京都マイルは
マイラーを求めない。
サダムパテックや
トーセンラー、カンパニーが勝ってきた歴史が物語るように
柔らかく京都の坂を下って猛然と加速して行き、その勢いのままに入線してしまう馬が強いのだ。
そういった歴史の前にはダイワメ産駒は倒れてきたし、相対的にディープ産駒が躍動してきた、と。
それに加えて・・・
セクレタリアトや
サーゲイロード、ラウンドテーブルの血脈ですよねぇ。
モチジュン先生の必殺技である「ナスキロ」の血脈。
2008年以降に
掲示板へ入った馬の全てがこれらの血を持っていると言っていいでしょう。
というよりも京都巧者でこれらを持たない馬がいないとも言える。
それらのスピード血脈を発現させるまでがワンステップ。そしてそれを持続させることで完成。
トーセンラーのリファールクロスはディープ産駒だからこそ許される御業であって、
大抵は
トニービンや
ノーザンテースト、
ニジンスキーなどで持続させています。
昨年の上位8頭は・・・
単純に並べてみるとこんな感じになります。
トーセンラーの
サドラーズウェルズと
ドナウブルーのベルトリーニはリファールクロスを最適化する条件。
だから
サダムパテックのフェアリーキング(
サドラーズウェルズの全兄弟)とは意味合いが違うのでしょうが・・・。
まぁ、
ノーザンダンサー系の名血統で重厚に下支えする意味合いでまとめても良いでしょう。
ヴェイグリーノーブルは
ハイペリオンを4*5で持ってつオリオール直系
種牡馬。
ディープ産駒に入るとバーグクリアー≒オリオールでニアリーになって重厚さや成長力を伝えます。
そしてダイワメ産駒の場合は
ノーザンテーストの母である
レディアンジェラを弄くる、という仕組みらしい。
単純に「この血統が入っているから」というわけじゃなくて、その血を発現させることが重要なのですね。
なるほど。
流石にG1ともなればやるべきことをやった配合の馬しかいないんですが、
それだけに「父がディープだから」と一括りには出来ないよ、って話です。
トーセンラーや
ドナウブルーが何をして走っていたのかといえば
ボールドルーラー血脈で靭やかさを弄っているのでしょう。
ボールドルーラー自体を
ロゴタイプの様にいじってしまえば話は違うけどね。
今回出走してくるディープ産駒で
ボールドルーラーを持たないのは
ワールドエースだ。
・・・
だからといって
ワールドエースが来ないわけじゃありませんが。
ワールドエースは一般的なディープのイメージで京都マイルを突っ込んできたりはしない、ってだけの話です。
ディープ産駒という言葉にとらわれずに見てみれば違う発想も出てくるんじゃないかな。
だって
マイラーズカップって
シルポートが押し切っちゃうようなレースだぜ?
それを思えば「あぁ、逃げ馬が粘れるレースなんだ」ってなるじゃん?
つまり
ワールドエースって粘り脚特化なんじゃないの?って見方が生まれるじゃん!
確かにディープが上位を占めたレースになった事実がある。今年の
マイラーズはね。
でも
フィエロと
エキストラエンドは果たしてディープディープしている産駒なのかな?
フィエロは世界のマイル王
ロックオブジブラルタルの全妹を母にする良血
マイラーだ。
エキストラエンドはG1未勝利ながらも様々な重賞を逃げ切った
ローエングリンの半弟。
更に言えば
ロックオブジブラルタルは「優れた先行力を生かして押し切るレースが多」い馬だった。
(
wikipediaより引用)
ロックを母父にする
ミッキーアイルもまた逃げ馬としてG1を勝っているしねぇ。
こういった馬が7番8番9番に入ったのは決して偶然ではないと思うし、
ちょうどこの枠は「内ラチから2
頭目以内」という勝ち負けラインへ潜り込めなくもないところ。
そして9番が
ワールドエースであることにも意味はないかな?
ボールドルーラーを引かないディープ産駒で、「粘り」が要求された
マイラーズカップの勝ち馬。
この前提で考えるならば・・・先行しなきゃならんよね。後ろへ下げたらノーチャンスだよね。
つまり
ワールドエースが馬券になると考えは
フィエロや
エキストラエンドをまくって前へ行くことが前提だ。
自然と
フィエロと
エキストラエンドは位置取りが中団以降となる。
中団以降の位置取りで内ラチから2
頭目以内にいた馬の勝ち馬は・・・内から差すパターンが多い。
ブルーメンブラットがそうだし
エーシンフォワードもそうだ。カンパニーも。
外から差して1着まで行ったのは
トーセンラーだけ。しかも差し追い込みまで下げて、だ。
フィエロの前走は位置取りが後ろになりすぎて捉えられずに3着。
エキストラエンドは横ノリの追い込み競馬ではイマイチ弾けられなかった。
ワールドエースが馬券になると想定した場合、この二頭は勝ち負けには絶対絡まない。
つまり7-8-9で
馬連をボックスするようなことは愚策。9-7と9-8の
馬単二つで足りますよ。
せめてワイドボックスですかね。
でも
ワールドエースが勝ち切るようなことはないと思いますよ。
過去の勝ち馬はみんな根っこのところは差し馬です。
トーセンラーは言わずとも良い。
サダムパテックは
京王杯SCや
東スポ杯を差し切っている。
エイシンアポロンは・・・
いや、11年はさ。
稍重だったしっ!だから不良馬場の
富士Sを差し切ってるのも含めていいはずだっ!
エーシンフォワード・・・orz
高松宮記念は差してるよ?う、うーん。それにやっぱり・・・レコードペースだったし?
カンパニー!(ドヤッ)
ブルーメンブラットも府中
牝馬を差し切ってる。
んー。
こじつけるなら・・・馬場が渋ったりペースが速くなれば京都的な差し馬は台頭しないのかもしれないね。
それ以外はちゃんと京都や東京に実績がある差し馬が来てるよ。
この差し馬が最内でジワッと溜めて・・・ガンッと突っ込んでくれば馬券になるのさ。
・・・
もうそろそろ区切るか。
[fin]