「小牧は良いところにつけるなぁ」
「エクセラントカーヴは終わってるなぁ」
「それにしてもやけに縦長だ。ホウライアキコが逃げるとしたって程度があるはずだろう」
「ジョーカプチーノやシルポートみたいなアホなことを出来る馬じゃないと思うが・・・」
「よし、レッドアリオンは完璧すぎる位置取りっ!来い!」
「あれ、伸びない」
「トーセンラーが伸びなくてグランデッツァが来て、エキストラエンドも・・・」
「これめっちゃくちゃ速くね?」
「1分31秒5ですか?それってレースレコードだよね?」
はい。ピュアマイラーたちが来ましたー。拍手ー。
特筆すべきはグランデッツァですよ。粘りを活かせる展開ならこれだけの事が出来る。
トーセンラーもグランデッツァも1800mベストというのがモチジュン先生の見立てで、
昨年のマイルCSは中だるみの平均を刻んだから千八的な展開だったわけです。カンパニーの年もそうでしたね。
そういうことだから今回の敗北は必然。
むしろトーセンラーが31秒台で突っ込めることがすごい話なんです。京都馬場速すぎ。
だからガチンコマイル対決ならばトーセンラーは買いづらい面があったし、
そういう結果になるならばフィエロやダノンシャーク、エキストラエンドなんかが来るのは当然。
でもトーセンラーはなんとか食い込んでくるんじゃねぇのかな、と思っていたんだが。
それを上回ってきたのがグランデッツァですよ。
しかしこれは内外の差ですね。つまり同格と見るべきですかね。この条件では。
条件ってのは・・・「レコードペース+光速馬場」ですよ。この条件ならトーセンラーとグランデッツァは同格扱い。
その領域にまで脚を突っ込んできたことが驚きです。
ていうかこのペースでフィエロが勝ち切れないことが何よりも驚きですわ。
京都の下りではダノンシャークの柔らかさが勝ったか?
仮に安田記念でレコードペースとなればフィエロが勝つでしょうが・・・
京都の坂下り平坦では柔らかダノンシャークが勝つのは・・・確かに当然と言えば当然なのかな。
しかしこのハナ差は本当に些細な違いですね。深く考えるだけ無駄かも。
さて、血統の共通点を洗ってみましょう。31秒台に突っ込んできた6頭を対象にします。
ダノンシャーク | ディープ産駒 ラウンドテーブル、ミルリーフ、グレイソヴリン、ニジンスキー持ち |
フィエロ | ディープ産駒 ボールドルーラー、テューダーミンストレル持ち |
グランデッツァ | アグタキ産駒 ラウンドテーブル、ミルリーフ、ハビタット、テューダーミンストレル、グレイソヴリン、ボールドルーラー持ち |
トーセンラー | ディープ産駒 ボールドルーラー、グレイソヴリン持ち |
エキストラエンド | ディープ産駒 ミルリーフ、ボールドルーラー、オーエンテューダー持ち |
グランプリボス | サクバク産駒 セクレタリアト、テューダーミンストレル持ち |
目立つのはナスキロ血脈を代々重ねている配合。
ディープ産駒ならばボールドルーラーなりミルリーフなりをきちんと持っている。
それでも上位二頭は対照的なディープ産駒なんだよねぇ。
シャークは京都を好走できるだけの血統を持っているんだけど高速決着でここまでやれるとは思えないし、
フィエロは京都巧者という配合ではなくて、マイルCSよりも安田記念が合いそうである。
フィエロはサンデー直系とかディープ直仔というよりもロックオブジブラルタル的で、
ディープの良い所=日本競馬的なところを出しつつも基礎要素はロックで行く、みたいな。
だからレコードペースならこいつが勝たなきゃならん。
福永が合わなかったかもしれないねぇ・・・。
4角向いてから一つ二つ呼吸を置くのが福永の上手いところで、
その上で進路を確保しながら差し込めるから本当に凄い騎手なんです。(もちろん塞がるリスクもあるけども)
しかしガチンコマイラーは一定ペースのままに突き抜けてもいいはずで、
4角先頭にまくり上げろとは思わないにせよ、もう半馬身前に出るイメージを持ってよかったのでは。
だってレコードペースの中でダノンシャークに差されるなんてありえないっしょ。
ありえないよ。本当にありえないって。
マイラーってのは一定ペースを刻んでガツンガツンそのまんま行けるもんでしょ?
名マイラーはいつだって強烈な先行力から抜きでて行くもんだよ。
柔らかいということはどこかで予定調和的なものがあるわけで、
大事に大事に持って行って最高の差し脚で1馬身きっかり差し切る!という快感があります。
でもこれは中距離の醍醐味だよね。2000m以上で騎手がラップを上手にやりくりしながら仕掛けどころを待ってさ。
「ここで仕掛ければあいつを1馬身きっかしだっ!」ってムチをペシンペシンするわけですよ。
マイルは違うじゃん。短距離戦にカテゴライズされるんだからガーッて行ってガーッでいいんだよ。
日本競馬では珍しいガーッて行くことが許されるフィエロさんを中距離的に乗っちゃいかんよ。
同じ舞台に上がっちゃったら日本的な柔らかマイラーであるシャークさんに差されて当然だって。
フィエロはどっかで人気落として乗り方を模索する時期を作るとか・・・
あるいは外国人ジョッキーに乗ってもらった方がいいですよ。今のやり方じゃ福永病にかかる。
半分はロックなんだし香港マイル行こうぜ。
6着にグランプリボスが来たのは流石ですな。これはもう高松宮記念で戴冠もありえますよ。
新潟で開催開催された今年のスプリンターズは直線が長いこともあって柔らか系が台頭しました。
ディープ産駒のレッドオーヴァル、爆進×サンデーのグランプリボス。そしてスノードラゴン。
みんな柔らか系スプリンターであります。
ストレイトガールもまぁマイルに対応してみせたしね。
そういった傾向の中でグランプリボスは好走したのですな。
サクラバクシンオー×サンデーはマイルに適応する事もできるようですが
歳をとるにつれて身体が硬くってマイルは厳しくなる。これはデータ的な話でもあります。
だからグランプリボスも今ではスプリントへ傾いていることでしょう。でも千二を走るには柔らかい。
だけど高松宮記念は中京開催だからね。また直線が長いから枠の有利不利でスプリンターズの差は覆せる。
マイルCSで6着までこれたのはペースが一本調子に流れた上にレコードペースだったことが原因でしょう。
ストロングリターンの2着として1分31秒3を刻んだ馬ですから短距離馬としての素質は上々。
でも今となればマイルがちょいと長いから後ろに下げて距離延長的に乗らなきゃならないジレンマ・・・。
エキストラエンドは難しいなぁ。
マイラーではあるけどこいつも柔らか系だから後ろに下げて内追走したのは順当。
仕掛けも最高だったんだが・・・岩田アタックに競り負けたか。
だけど判断が速いわ。すぐに引っこ抜いて外差しへ移行している。上手いもんだ。
1馬身~1馬身半はロスしているんじゃないか?手綱引いてるもん。
これだけ速い馬場、速い展開で坂下りの惰性を無駄にした形だからなぁ・・・。
スムーズに行っていればグランデッツァといい勝負になったかもしれないし、
血統的なことを思えばダノンシャークと入れ替わっていたかもしれない、というのは言いすぎかな?
内できっちり溜めて内差しへ向かったのは好判断。あの位置からカンパニーは勝ったんだ。
ワールドエースはマイル馬が差し脚を伸ばし始めた4角で遅れてしまいますねぇ・・・。
あの位置取りではどうしようもないですよ。
トーセンラーやサダムパテックなんかが台頭できたのは京都的に格好良く柔らかに切れる脚を使えるからで、
粘り脚に秀でた中距離馬はグランデッツァのように無理を承知で前へ行かなきゃならんのです。
ワールドエースは栗山先生モチジュン先生の両名が揃って本命にするような名馬ですが
先生たちの思うような使い方を陣営がしているとは言えないし、マイルCSが消耗戦になるとは思えなかった。
そして消耗戦になってもこの枠から無理に押していく鞍上でもなかったですね。
秋天のルメールがそうであったように一流ジョッキーはペースに敏感ですから今の京都馬場でのG1で信用するには足りないでしょう。
菊花賞では無謀とも言えるオーバーペースでの雪崩れ込みが功を奏した様に、
今の京都馬場は賢いものが馬鹿を見るという側面が少なからずあると思います。
今でもあのトーセンスターダム武豊の判断は素晴らしいものだと思う。
オーバーペースによる前崩れを予見して3角から外差しへ向かってるからね。
トーホウジャッカルを勝たせたのはシルポートを無謀に飛ばしてきた酒井学の功績だ。
アドマイヤケルソの走りに「それじゃハイペリオン絞りきってませんよ」とモチジュン先生が嘆いた様に
今回のワールドエースも同様の嘆きが聞けそうな週末になりました。
俺は和田竜に問いたい。あのオーバーペースでホウライアキコをどうしたかったのか。
いいじゃん。せっかく内枠を得たんだから最内で、ミッキーアイルの歳内でじっとしていればいいじゃん。
・・・
でも和田って本当にね。ジョッキーとして素晴らしい男だと思いますよ。
「後ろにくっついていたんじゃミッキーアイルを交わせなかった」とNHKマイルCで思ったんじゃないでしょうか。
「それなら最初から逃げを潰しに行くしかない」って結論に至るのもごくふつうのコトです。
そういう単純明快なことを実際にやってくれるから和田竜って男は信用ならない。
これは馬券ファンとしてはすんごく困ることなんですが勝負師として重要なことですよねぇ。
でもその先をどうするのかをもうちょっと具体的に決めて欲しいかな。行き当たりばったりじゃないかい?
もはやコレはミッキーアイルを潰しただけだよ。せめて先着してくれよ。こっちがやりきれないよ。
あとは・・・我が本命馬、レッドアリオンですか。
千八的にならなくてトーセンラーも倒れたからね。仕方ない。
でも・・・太さん。かかったしょ?
かからせたらいけないよ。ちゃんと折り合いつけてよ。
なんでいきなりやる気出してるんだよ。いつも通りそっと出してジワッと差せばいいんだよ。
カッとしやすい馬だということはサトノルパンでも知ってるでしょ。(サトノルパンはレッドアリオンの半弟)
富士ステークスものんびり出して(というか出遅れ)行ったからさ。
「あぁ、コレはじっくりと進出しながら差すパターンだな」と思って本命にしたじゃん。
そういう形の競馬をするなら最高の枠を得たんだぜ?なんで前へ行っちゃうの。
マイルでガチンコ勝負しようとしないでくれ。どっかで緩めないと脚を使える馬じゃないから・・・。
[fin]