砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

有馬記念雑記3

過去のレースを観直しています。


「ディープが内回りでうなりをあげて捲るのは半分Fair Trialだから」

モチジュン先生はそう仰っていて、Fair Trialというのは脚の回転を上げる要素である、と。

そしてそれを上手いこと引き継がせているのがジェンティルドンナドナウブルー姉妹とか、

あるいはスピルバーグトーセンラー兄弟であるわけですか。

ハイインローという盤石な土台を持ち、その腕でFair Trialによる加速力や小回り力。

ジェンティルドンナがスローの女王として君臨した背景にはそれがあるらしく、

牝馬の身でイスラボニータをロンスパ戦で負かしたG1的な強さの背景はそこ。

ディープインパクト有馬記念のレースを見てみると確かに4角の足捌きがめちゃくちゃ速い。

フワフワしてるイメージのディープさんがズガガガガガガッと加速する姿に驚く。

そして直線に向く頃にはストライドが伸びきってしまう。この素晴らしい加速力こそ「ディープインパクト」なのですねぇ。

ストライドを伸ばす馬ってどうしても有馬記念では伸びきらないんだわなぁ。当然だけど。

ドリームパスポートメイショウサムソンも伸びないもんなぁ。

ラブリーデイ中山金杯の勝ち方はこのディープの小規模verみたいで、

「巧者」の域にはないロベルトなまくり加速+ニジンスキーのダラダラとした伸び脚。

加速と伸びが両立していたからこそG1級の4角まくりを持つロゴタイプを交わせたのでしょう。

というかロゴタイプの加速は華々しいにも程があるんじゃねぇの?ラスト1Fがどうしてもラップが落ちてしまう。

エピファネイアの加速と同格である時点でそのドッカンターボぶりが伺えなくもない。

そのドッカンが4角力に繋がってはいるのでしょうが・・・案外4角力だけで勝てるほど中山は甘いものではないのかなぁ。

4角力云々を言えばやっぱりマツリダゴッホが唯一無二の最凶有馬記念覇者。

マツリダゴッホマツリダゴッホ先頭!ダイワスカーレット2番手。なんとマツリダゴッホゴールイン!マツリダゴッホ!得意の中山でマツリダゴッホ!」で有名。

「得意の中山でマツリダゴッホ!」はツボだったよねぇ。

日本語がちょいとおかしいし省略も多すぎるけど勢いで誤魔化せる範囲だし、

そこら辺の誤魔化しを許容してなおゴロの良さとか要約具合が完璧なんです。

名配合の馬ってそういうことだよねぇ。デメリットは潰してメリットを完璧に抽出してる。

マツリダゴッホの年はダスカ、ダイワメのツースリーフィニッシュ。

「兄妹の2着3着」とも見えるし、「ボールドルーラーの1着2着」という見方も可能ですな。

4角力ではマツリダ>ダスカ>ダイワメですが

粘着力はダイワメ>ダスカ>マツリダなんでしょうね。

スローだったからこそ転がり込んだ後も後ろが届かなかった。

ダイワメジャーがこの条件をどうこう出来るかは別とするにしても、

マツリダゴッホ有馬記念のリピーターになれなかったのはそこらへんの問題があるのではないかなぁ。

そんでハーツクライですな。

モチジュン先生は「Count Material的な重々しい粘着力」を武器にしていたと仰る。

フワッと舞うFair Trialではなくて地に足の着いたタイプ。

サンデー×リファールはハイインローの下支えによってG1級となるという話らしく、

それは切れを確保する配合ではないから自然と先行前粘りが基本戦術となる・・・と。

だからモチジュン先生はいつだってLypardが表現された馬を先行させたがるし、

mahmoud様もまたラップの観点からそういった馬を消極的に差させる騎乗の多さに苦言を呈す。

ハーツクライ自身が武豊などの手によって追い差し込みで溜め殺しにされていた歴史もあるし、

騎乗の質というのは武豊がスターであり続けるのと同じように80年代後半から全く変わっていないのだろう。

アンチではなく、むしろファンである。功罪併せ持つのは偉人の嗜みだ。

どうも騎手の方々はサンデー系は溜めりゃ弾けると考えている節がありますよねぇ。

騎乗技術や馬場読みは国外のジョッキーと大差ないと思うんだけど(トップクラスとは差があるにしても)、

どうしても展開とか馬に対するアプローチの幅とかが弱い。すんげぇ弱い。

それを育てる地盤がないんだわなぁ・・・。

サッカーとか野球みたいに競技人口が多ければドラフト会議が開けるのになぁ。

そうすりゃ世界クラスのジョッキーも出てくると思うんだけども。

日本の競馬は良くも悪くも大衆的なんでしょうねぇ。

凱旋門賞で日本人がめちゃくちゃ馬券買っててビビった、なんて話があるし。

あちらにとっては競馬てスポーツなんでしょう?(イギリスとか)

クリロナを褒めるのと同じ様に馬を褒めるってことだよね?

日本はやっぱり・・・ほらモンキーターンで波多野憲二が競艇選手を薦められてさ、

「そんなの競馬の馬と変わらない」なんてことを言うわけじゃない。

やっぱり日本における競走馬のイメージってそうですよね。人参ぶら下げてギャンブルの対象にされる経済動物でしょう。

だからどうしてもメジャーにはなりませんよねぇ。

馬が好きだからジョッキーになるわ、と中学生が言い始めたら誰だって諭すだろうし。

ならせめてアマチュアスポーツとしての競馬があればいいんでしょうが・・・

農耕民族をルーツに持つ日本人が娯楽としてそれを捉えるかどうか。

「ちょいと乗ってくるよ」とサラリーマンが休日に競馬を嗜む・・・想像できねぇ。

でも楽しそうだな。

馬に乗るって行為が絶対的な立場の違いを生むわけですから

みんなが馬を乗るようになれば福永祐一とかもファンの声に頷く部分が増えると思うんですよ。

傲慢だとは思わないさ。「何が分かるの?」と言われりゃ反論できないもん。

だから同じ土俵に立って「お前はヘタクソなんだよ」と言えりゃいいよねぇ。

馬が自然に走っている状態を根拠にして過去のデータと照らし合わせて説明できても話は別だと思う。

けれど競走中の状態を根拠にするから「俺がこう走らせてるからこそだ」と言われて終わりよな。

騎乗技術はプロなんですよねぇ。でも展開読みとかがそこら辺のオヤジと同レベル。

外国人ジョッキーを基準にしてしまえば笑っちゃうくらい。

・・・

外国人ジョッキーが来てもみんな騎乗技術ばっかり教わってるよね。そういうコラムを見ても。

福永洋一さんなんて血統表や四季報を見て研究してたって話だけど見習ってる人いるのかね?

新聞を読む人は多いらしいが馬券予想の本を愛読する騎手って聞いたことねぇぞ。

これだけたくさんの騎手がいて「データ派」がいないのはなんでだろう・・・。

エージェントの人がそれを担ってるのかな?

小牧のおっさんはパレットをやってる娘さんが担当してるとかいう話だけど。

調教師の方もそこら辺が上手いのかなぁ。確かにレース選びが一貫してる人はいる。

矢作のおっさんはどうしてあんなに忙しく使うのかねぇ。

確かにアンコイルドに疲れはないみたいだわなぁ。中山ならあんなもんだろう。

前残りの形。その上あのロンスパ&ロンスパの状態から伸びる脚はさすがに持ってないから。

11番手で推移して11着なら十分さ。

次は京都で使ってほしいな。秋の京都は使いづらかったかもしれんが春入り頃なら使えるでしょ。

[fin]