履歴書は何を書こうか、とか思いながら血統表ばかり見てしまう。
ハイインローという言葉に疑問を覚えて素直に飲み込めない日々を過ごしている。
どういう馬が出てくるのかは分かってきたが、なぜそうなるのかと。
Hyperionというのはセントサイモン4*3を基礎に据えて、現代の主流を散りばめた血統馬でしょう。
それに対してSon-in-lawというのはセントサイモンを持たないステイヤー血統になります。
この二頭の共通点と言えばHampton直仔のBay Ronaldを父系に、あるいは父に持つこと。
ここをクロスすることでステイヤー気質をオンにするのではないのでしょうか。
今は長距離馬にとって肩身の狭い世の中ですが、過去の長距離馬たちは母系に入って活躍馬を出していますね。
その長距離血統が伝えるものは基本的なものとして「底力」というものです。
この「底力」も非常にあやふやな表現です。愛すべき言葉だと思う。
(釧路の地酒に「海底力」と書いて「そこぢから」と読むものがありますよ。たしか)
この底力というのもXファクターの理論でいけば心肺能力というふうに表現されますね。
しかしフェイムゲームやトウカイトリックに代表される「走法」もまた大きな要素ではないか。
彼らはモチジュン先生が言うに「燃費が良い」馬であります。
そこで「Hyperion的」というモチジュン先生の表現がひっかかるわけですよ。
「我慢強く粘り強く同じフォーム同じ脚色で長く走りつづけることができる」。
つまりそれはステイヤー気質な脚の伸ばし方ではないか、と。
そしてまた面白いことに短距離馬にも繋がるわけです。すなわち「一本調子」というやつ。
G1でも通用するならば高い心肺能力と素晴らしい走法を持っているのではないか、と。
最強馬の条件があるとすれば「高いスピード能力を持った逃げ馬」になるでしょう。
2400mで11秒ラップ。ずーっと11秒キープ。最後の1Fは12秒台。そんな逃げ馬を差せる奴はいませんよ。
そしてそういう「時計勝負」の展開ってセントサイモンが昔では最強だったんじゃないのかい?
トリスタンを相手に1対1の競争で快勝したとか、そんな記録があるんでしょ?
するとHyperionというのは時計勝負的な気質があって、言ってみれば一本調子なのだ。
そしてそれはおかしなことに距離不問で通用するのである。
(フェイムゲームやトウカイトリックがHyperion的というわけではないが。)
ジャスタウェイの秋天がおそらく理想とも言える「Hyperion的」なレースだったのではないでしょうか。
11秒で延々と刻み続けて、ずーっと似た脚色で走りつづけるだけ。
トウケイヘイローのペースをそのまま踏襲して入線してしまうわけですよ。
こうしてみるとHyperionが母系に影を潜めてしまったのは当然のことではありますね。
少なくとも今は時計勝負の展開なんてありませんもの。好位差し最強ですよ。瞬発力万歳。
なので粘り強さはダートやスプリントなどで勢力を伸ばしているくらいです。
(ダートもスプリントも差し追い込みの絶対王者なんていない。ハイペースで伸びてこそ)
しかしそれらの血というのはやはりマッチョになりすぎる嫌いがあります。
それを緩和してくれるサンデー系は非常に素晴らしい血統なのですがね。
しかしそれでもダートやスプリントの頑強な血でHyperionを補完するのにも限界が来ます。
それを解決するのがドイツ血統。主要レースはほとんどが2400mで開催されていて血統も独自の路線で育て上げている。
鎖国的な競馬を続けてきた「異系血統王国」がそこにあるのだ。
この血統を母系に入れることで競走馬たちは大きな活力を得ることになるだろう。
実際、ワールドエースという成功例もいる。ドイツ繁殖をどんどん日本的に育て上げて欲しい。
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