砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

振り返る桜花賞

初心に戻って過去の桜花賞を振り返る。


まず14年。

唯一のディープ産駒が32.9秒という決め手を発揮してのクビ差勝ちきり。2着はステゴディキシーの粘り馬が追い込んだ。時計は1分33秒3という最速タイの速さで、ハイペースの中を持続力で差す形が効いた2着3着。1着のハープスターはそれこそ格が違うという追い込み方で、1.2倍の単勝人気は伊達ではなかった。

結局は450kg以上のディープという桜花賞最強伝説の継続が行われたわけだが、コレは持続力と切れが高レベルで備えられたハープスターならではの勝ち切り。厳しい阪神マイルのハイペースをステゴディキシーとハーツクライが差し込んだのだ。その上を行くディープがいるというのは当たり前の話ではない。ゴルシを札幌記念で凌いだ実力は並大抵のもんではないのだ。

2着のレッドリヴェールは脚の使い方がちょいと難しくなって低調気味。ステゴは4歳になってからが本番であるから今週末に一つ可能性を見せてくれると考えている。それだけに馬券を買うのは難しいがね。メイショウマンボの復調も気になるところだし。

3着のヌーヴォレコルト中山記念を勝って持続力をアピール。淀みない展開から淀みなく流れこんで勝ち切っているが、いずれはスローに敗れるだろう。その時にこそ美味しい思いをしたいのだが・・・なかなかその機会がない。中山記念が良馬場だったならイスラに屈していたはずなんだがなぁ。

つぎ13年。

14年と違って時計はかかった。同日のレースをチェックしてみると午前中の芝は稍重でダートは不良。4Rの3歳未勝利ではスマートレイアーが外マイルで牡馬を一蹴している様な馬場である。時計は1分35秒3。桜花賞が35秒きっかしで、3着のプリンセスジャックが35秒4。馬場の回復と悪化のバランスがあるものの、3着相当の時計で勝っているのだねぇ。

1着のアユサンは晩成傾向のあるディープ嵐猫配合なのに立派な筋肉をこの時点で備えている。母母が米血豊かな配合だからなぁ。どんだけFair Playを使ってるんだって話。それだけに4歳になってからはさっぱり走らなくなっちまったが。この馬って負けるときはとことん負けているから、おそらく牝馬というより牡馬的なのだろう。きちんと走らせるのが難しい馬だったのかもしれない。

2着のレッドオーヴァルは今や1400m馬。スプリントでは7秒決着に対応できずにいる。そこら辺の快速っぷりはコートアウトの産駒ということで深く考えなくてもよさそうだ。馬格の小さいあたりもあるのだろうがちょいと最後の最後で甘くなってしまった。距離の問題でちょいちょい困るんだよなぁ。弱いわけじゃないのに。

13年は不作というわけではないが活躍馬が晩成傾向にある年で、ラキシススマートレイアーは秋頃にようやく参戦するような状態だったし、デニムアンドルビーオークスも強行軍での出走。メイショウマンボはきちんと仕上がっていた唯一の活躍馬だろう。ラキシスは本格化にともなって大阪杯キズナ破り。スマートレイアー阪神1400mマスターとしておそらく連覇達成となるだろう。メイショウマンボも距離短縮でちょいちょい安定してくるはずだ。デニムアンドルビーはスローで弾けられないから混合戦を走るしかない。弱いわけじゃないが結果は出ないな。

つぎ12年。

花咲く12年。ジェンティルドンナヴィルシーナの素晴らしき争いが行われた年だ。この年は雨がひどく、2月下旬から桜花賞までの間に土日共に晴れたのは桜花賞の週を含めて2度だけ。常に雨に悩まされた阪神開催だったと言える・・・。

そのため雨ではなく馬場の荒れがひどい。時計が遅い上に仕掛けのタイミングも遅い。それでも終い1Fが12秒2に収まるのだから恐るべき馬場だ。10番手からジェンティルドンナが鋭く届かせてきたのはLyphardクロスの切れによるものか、やはり化け物じみたスロー瞬発っぷり。

ヴィルシーナはジェンティと自分の土俵で争えた最後の勝負・・・いや秋華賞ジェンティルドンナを自分の土俵に引きずり込んだな。そう考えるとジェンティルドンナってのはエゲツナイ加速装置を持っていたのだなぁ。あれだけヴィルシが展開にハマっていてもズバッと突き抜けてしまう。卑怯だわー。秋華賞とか完璧だったのになしてあんなところから届かせてくるのかねぇ。

ヴィルシーナってのは気性に優れた馬だったが、もう一つの特性として道悪に強かった。宝塚記念はその特性を活かして割りとフラットに刻んだ展開で、直線に向いてもまだもう一伸びするのには驚かされた。桜花賞の走りにもそこらへんが覗いていて、今年で言えばココロノアイあたりが似たことを出来るのではないか、と思っている。

つぎ11年。

時計は1分33秒9。12.1-11.0-11.5-12.1-11.8-11.3-12.0-12.1のラップ。

最速ラップは4角近辺の11.3で、ここが速くなったことで外へ回した馬の負担が大きくなった。京都牝馬Sでウチパクケイアイエレガントがやったことと同じである。速いペースの中で外を回ると速く走り過ぎるので、そこからもう一度ズバッと切れるラップを切れる馬はそうそういない。つまりは「外差し殺し」のラップなんだね。

周知の通り京都牝馬ケイアイエレガントの逃げ切り。そして最内を淀みなく追走し、そこからスルスルと抜け出してきたゴールデンナンバーが迫った。そして好位から進んだパワースポットが3着、と。

だが京都牝馬Sは外回り巧者がいなかったし、外差し馬場でもなかったから。というかゴルナンとパワスポくらいだろう。外回り巧者の差し馬は。11年の桜花賞は外差し馬場だったしきちんと外回り向きの差し馬もいたのだ。だから一気に外差しが迫ってきたのは当然のこと。

だがマルセリーナの勝ち切りはアンカツさんならではだろう。ゴルナン的に内を淀みなく行って、直線向いたらチョイ外差し。展開を味方につけた完璧すぎる差しだった。それを4分の3馬身まで迫ってきたホエールキャプチャは伊達じゃないし、連れて伸びてきたマンカフェのトレンドハンターも同様に伊達じゃない。

トレンドハンターは珍しいフラワーカップ組で、豪快なストライドで外をまくりかかってそのまんま差し切ってしまった。この厳しい展開の中で伸びてきたのはマンカフェの突進力ならではか。このレースを最後に引退してしまったから計りづらいところはあるものの、なかなか優れた競走馬であっただろう。ちなみにモチジュン先生のブログでは「幻のオークス馬」と紹介されている。

マルセリーナは後に阪神内2000mのマーメイドSを勝っている様に結構軽やかに加速できる馬なんだね。外回り向きじゃないとは言わないけど生粋の外回り巧者というわけでもなく、ちょいと鋭い加速をもうひと踏ん張りさせる土壌がないのが玉に瑕。それがあるならばVMを勝ったりスローのジャパンカップを好走したり出来たはず。

ホエールキャプチャに関してはモチジュン先生のブログが「解体新書」的な役割を果たしているので改めて書く必要もなく。

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