砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

歴史を変えたドスロー 桜花賞回顧

コンテッサトゥーレとクルミナルのワイドが美味しい結果となったなorz


ルージュバッククイーンズリングも届かない・・・散々考えて考えて「いやいや」と否定してきた超スローが岩田によって実現。しかも直線を向くまでペースがほとんど上がらないという1800mでも1400mでもない・・・いわば「格下競馬」に落としこんでのルージュ破り。確かに馬場に対するアドバンテージこそココロノアイに劣るが、レッツゴードンキと岩田は試行錯誤を重ねてここまで来たわけで。それでも想定外よ。スローに落としこむならルメールが行くと思ってたし。岩田が持って行って折り合いつかせてのドスロー・・・というのはちょいとなぁ・・・。

ルージュもリングも揉まれて揉まれてひどかったな。外の馬が好位に取り付いてごった返していた。そのくせ前の馬は折り合いをつけるために引っ張ってるしね。外にも前にもスペースがないまま4角を迎えてしまった時点で終わりも終わり。それならクルミナルが弾け飛んで欲しかったが・・・やっぱり綺麗な馬場でこそ弾けるタイプなんだな。位置取りもスローの割りにはきつかったし、仕方ないなぁ・・・。

それにしても勝ち時計1分36秒きっかしとは・・・これはちょいと恐ろしいことをしでかしたな。マイルでこんなドスローに落ち込んだのは俺の競馬歴の中では見当たらない(1年と10ヶ月ちょい)。先行勢が内枠でかためられてしまうのは桜花賞の習いなんだが・・・ここまで消極的に団結出来てしまうというのは面白い話だ。ルージュバックはそれほど恐ろしい敵だった、ということだね。

ノットフォーマルはドスローに落とし込んでフェアリーSを勝ち切った鈍足馬で、ムーンエクスプレスはマイルでは長いから溜めたいタイプ。コンテッサトゥーレは調教師が道悪に対応できなかったことを嘆いていた馬であるし、アースライズは1800mで頭角を現した馬だ。そんでレオパルディナはスプリンター。トーセンラークも中距離馬っぽいし、テンダリーヴォイスは僕らの福永さん。ローデッドもまた中距離っぽい。

積極的に動いて展開しようという馬はそれこそココロノアイしかいないわけだが・・・それが出遅れて後方から。面白いことだが・・・有力馬たちは一箇所にそろって硬直状態なんだわなorz

良馬場の外回り桜花賞における最遅記録での勝利ということで、私達は歴史の目撃者となりました。勝ち切れないがために猿知恵絞ってドスロー戦略を練っていた男にかんぱい。

[追記]

だがまぁ・・・クラシック戦線を予想するにあたっていろいろなレースを見て、そんでまた色々と予想を重ねて、「こいつはこういう馬なんだな」と血統とすりあわせて楽しんできた身としては・・・あまりにも面白くない結果といえる。

岩田の素晴らしい騎乗に拍手とか罵声とかいろいろ送りたい気持ちはあるのだけど・・・なんて言えばいいのかな。「花神大村益次郎の言葉を借りるならば戦略と戦術の違いよ。

桜花賞においてはそんなにペースをアレコレと弄って欲しくないのよ。桜花賞という舞台はもう俺の凝り固まった頭のなかで完結しているの。その舞台の中で騎手は戦術を駆使してどう差すか、どう行くか、っていうことだけをするものだと思っていた。ところが岩田は戦略という大きなところを大きく弄ってしまった。ちょいとそれは面白くない。

「いやぁ、ルージュバックってのはすごいなぁ。こんなの差し切っちゃうんだもん」

「ルージュも迫ったけどミルコがなんとか凌いだなぁ。ま、オークスは負けるが一矢報いてやったな!」

「このスローじゃ弾けきれないか。流石のディープだな。」

そういうことしか考えてなかった。池添か戸崎かミルコか。あとルメールかな、と。ところがキンカメだしレッツゴードンキだし岩田だし。お前この野郎!こんなつまらんレースを演出しやがって!空気読め!先行集団空気読め!エンターテイメントしろ!

まぁ、一歩譲って岩田は許す。勝つために練って、それで勝ち切った。素晴らしい男だ。褒めて使わす。だが先行集団は許さん。

君たちは折り合うことばかりを考えて何をしているの?違うでしょ?クルミナルの進路を塞がなきゃだめよ。ルージュはもう外へ持ちだした時点で終わってるから。なおかつレッツゴードンキにプレッシャーを与えなきゃ駄目なのさ。先行~好位の集団が前への意識を断ってしまったらお終いよ?。ルメールもディープ×トニービンをあんなに丁寧に溜めてるんじゃないよ。さっさとレッツゴードンキに絡みつきなさいよ。エアトゥーレの仔をなんだと思ってるの!でもその仔はまだ本格化まで遠いからその消極性も仕方がないのよねぇ・・・。直線で一杯一杯になってたし。母父トニービンだからもう少し、せめて3歳秋までは様子を見たいところ。

ノットフォーマルがもう少し素早い馬だったらハナを奪うくらいの積極騎乗が出来ただろうにな。実際問題、騎手を責められる要素はほとんどない。だって前にマイル実績のある馬がいないんだもん。望ましきスローをわざわざ潰しに行く意味が見出だせないのは当然のことだ。

それぞれの騎手が常識の範囲内で行動した。異常な行動によってこのドスローが生まれたわけではないのだから、頑なに「良馬場桜花賞は34秒決着」という常識を信じた自分こそがアホだったのである。

だがまぁ・・・内枠の岩田伝説は継続されたな。内差しの帝王、通称サル。サルはいつでも内にいる。内にいれば何かしでかす。外枠からもたまに内にいる。でも大抵の外枠は外でまごついたまま見せ場な沈んでいく。

サル(褒め言葉)め。

[追記]

また過去の桜花賞を見直すとモチジュン先生のコメントの様に「スピードで逃げ切っちゃうスプリンター」がいるからこそ桜花賞はあのペースで行われていたのが分かる。例えばフォーエバーマークとか。あれは吉田豊がパーッと飛ばしてパーッと行かせちゃった感じなんだ。それで阪神JFもそこそこ走ったからもう一回似た競馬やってやろう、と桜花賞でパーッと。

今年はそういう奴がいない・・・と思ったらムーンエクスプレスが前受けで阪神JFを4着しているのだわ。これって面白いよねぇ。松山は「上手に折り合ったからこその4着」と見たんだろうか?

武豊+サンデー」という俺にとっては歴史的な世界。「気性の荒いサンデー産駒だが上手に丸め込んでやれば直線で驚くほど切れる」という日本ダービーチックな競馬を常識と変えてしまった彼らのインパクト、これが未だに根強いということなんだろうか?中央競馬はおそらくその常識にとらわれているのかもしれない。

一方で地方競馬なんてのは馬の能力を引き出した所で何にも出てこない。しかも直線が短い砂場だから弾けるなら初めのスタートで弾けて欲しいくらいだろう。つまり地方の騎手たちは逃げ~好位競馬における引き出しを多く持っているのだ。

そういう土壌で育った地方騎手にとって折り合いというのは前に行くためのものなんだよね。それじゃ中央騎手の折り合いって何なの?という疑問がやっぱり残る。彼らにとって折り合いとはなんなのだろう、と。間違いなくそれは脚の温存であって差し追い込み的なものの考え方だ。

また松山も24歳・・・もう25になるのか?上手い下手以前にまだまだ紐付きなところもありそうだし、「控えた競馬を」となればそっちに夢中になってしまうのだろう。言ってしまえば福永祐一でさえもまだ騎乗技術に夢中になっているわけで、調教師と騎手の住み分けってのはかなり高いレベルで行われているのかもしれない。

となると調教師に関してもまたいろいろと知る必要がありそうだ。どういう起用で勝っているのか、とかその際にはどういった騎手を使うのか、とか。騎手が駄目だから溜め殺しになる、とかではなく溜め殺しの形すら許容する調教師が多いということじゃないだろうか?かかり「癖」と言うくらいだからあんまりカリカリさせるのは調教師の視点からすると面白くないのだと思う。そんな癖つけるくらいなら大事に大事に乗っていつか展開が向くのを待つのだ。

そうして前で折り合いをつけることを覚えないままに中央の騎手は過ごしている。一方で地方やフランスでは前で折り合いをつけてなんぼ。モチジュン先生はたしか「あっち(外国)では馬はかかるものだと考えている節がある」みたいなことを言っていた。ジャパンカップエピファネイアはスミヨンに手綱をしっちゃかめっちゃかされながらも口を割ることなく抑えられることなく飛んで行くことなく先行していった。もちろん、これは馬の能力があってこその話であるから今回とは違った話なのだけども。

今年の桜花賞ノットフォーマル以外に逃げ馬がいなかった。だけど逃げ馬不在のレースなんてよくあることで、そういったレースはむしろスローに落ちたりしない。なぜならスローに落とすことも逃げ馬としての素養であるからだ。エイシンフラッシュはスロー巧者だったが押し出されて逃げてしまったジャパンカップは例年程度のペースに落ち着いた。金鯱賞メイショウナルトも目標なくビュンビュンと飛んでいってしまっただろう。

ところがレッツゴードンキ岩田は例外的にドスローで折り合いをつけてしまった。モチジュン先生は中距離馬と見立てておられるからあのくらいのペースも守備範囲ではあるのだろうが・・・折り合いよなぁ。一番前にいる馬が一番初めに折り合いつかせてしまったんだから後ろは困るべなぁ。

もしムーンエクスプレス松山が1400mで逃げ切った経歴を持つならば「あ、行っちゃえ」と思えただろう。ところが抑えて折り合いをつける競馬を繰り返し要求されてきた馬だ。先頭へ押し出されて折り合える自信を松山は持たなかったし、調教師がそれを恐れていたからこそデビューからずっと番手競馬を教えこんできたのだ。ドスローだから、と先頭になりかわるだけの土壌がまるで揃っていない。3歳春だからこその力技なのだなぁ。

改めて考えてみると・・・怒りの向かう場所は黛弘人になる。

中山を逃げ切った馬を3F競馬にまで持ち込んでしまう屑な騎乗。お前は本当に関東の騎手なのか?といいたくなる。中山競馬からいったい何を学んできたのかと。あれだけスローになったんだから4Fから動きに行けばよかったのだ。中山マイル勝ちの馬をわざわざ3F瞬発の前受けに落としこむ必要がどこにあるのだろう?もっと逃げ方を学ぶべきよ。中舘英字なり吉田豊なり柴田大知なり前受けの騎手はたくさんいるじゃないか。吉田豊フォーエバーマークの桜花賞を見てみろ、と。あの逃げを桜花賞でやっちゃうんだぜ?中山外回りじゃなくて阪神外回りでやっちゃうんだぜ!?

道悪適性ならヴァーミリアン産駒のノットフォーマルにも多少なりあると思うよ。サンデークロスだからそこまではないにしてもね。

[fin]