砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

出走馬チェックpart1 皐月賞予想

さて本腰入れるか

ブライトエンブレム

 秋華賞馬にネオユニであるからバリバリの内回り配合。それだけに少しパワーが豊富なところがあるから今の中山馬場には疑問。母のブラックエンブレムは春にフラワーカップをまくって秋には秋華賞をまくったまくり馬。Our Emblemヘクタープロテクター2*2の強烈なニアリークロスによってヘクプロという欠点を解消した、というのがモチジュン先生の見立て。ネオユニの芝馬はミスプロを入れることによってスピードを補完し、Haloを加えることで小回り適性を増幅させるという手法を取られる。本馬の場合はミスプロを二本取り入れてHalo≒Sir Ivorであるから血統表上における問題点はない。加えてVaguely Nobleもあるから「一手間」も加えられている。ネオユニ配合としては満点だろう。弥生賞では大外をまくって最後は底力で敗れた形だがあの形はストライド馬でこそ光る戦法で、馬場の抵抗があれば内をクイックに行っても面白い。ところがその抵抗が今年の中山馬場にはあまりないものだから結局は外側をまくってスピード持続を図った方が得策・・・という難しいことになっている。最内枠からならば後方から徐々にまくり上がる必要があるので大外をまわるハメになる。すると馬場悪の弥生賞より届かない可能性はあるのではないか。

ドゥラメンテ

モチジュン先生は「配合はこっちが上」と仰っている。母父サンデーの恩恵というのはあるのだ。そしてキンカメトニービンだからルーラーシップと同じように大飛のナタ切れがあって、そこはまぁ母父サンデーの分なのか、あるいは生まれ持ったものか、叔父ほどに残酷な切れ方はしない。ただ基本的にエアグルーヴ一家は晩成なのでまだまだこれからの馬だ。それでも現時点でも強烈なパフォーマンスを持っているし、血統背景も素晴らしい。人気になるのも頷ける話ではあるけれど他の人気勢とはちょいと一つ足りないところがあるのも確かなのだ。そもそも例年通りの皐月賞ならば追い込み様もあるだろうに、今年の馬場は超綺麗で速い芝だ。これをキンカメサンデートニービンで差し切ろうだなんてあんまりな話じゃないかね?そんな事できるならダービー馬も内定しちゃうよ。こんなこと言ったらあれだけど、ミッキードリームと16分の15が同血の関係なんだからさぁ(キンカメサンデートニービンノーテーまで同じ)

スピリッツミノル

アグネスタキオンの後継として有望視されていたディープスカイの仔。ディスカはDanzigの手先の強さとかKey to the Mintのスタミナなんかを強く伝える種牡馬で、アグタキさんは空気のような存在。スクリーンヒーローグラスワンダーを伝えない様なものらしく、どうも母系の強さを豊富すぎるほどに供給してしまう。ところが本馬はアビ≒ストームザミント2*2という諸悪の根源をまるまるニアリーするという荒業に出ている。しかしKey to the Mintは米血パワーを補完する役割を強く持っていてアビのDanzigと脈絡している。つまりこれをクロスさせることはGaustarkのハイインロー+中長距離適性を増幅させると共にDanzigの増幅も図られることになるので、やはりパワーとスタミナにパラメータは振られることとなる。それに加えてラムタラというNijinsky×Blushing Groomという黄金配合馬がいることで、NijinskyStorm Birdが発生する上にロイヤルスキーへ脈絡するものだからもう大変。米血パワーを更に増し増しする嫌な展開である。それでも芝を走っているのはSecretariatのクロスの賜物だろう。諸悪の根源たるアビをクロスすることでブラックエンブレム(ヘクプロ≒アワエン)やメイショウマンボ(キンマン≒ジェイロバ)の様なことが期待できたかもしれないが、これは名配合と重ねあわせることで不要な血統を希薄にするという試みである。ブラックエンブレムプレイメイトという名繁殖の増幅が肝であるし、メイショウマンボはSpecialとノーザンダンサーの増幅が重要だった。ディスカはChief's Crown≒Storm Catで十分であろう。

ワンダーアツレッタ

ファピアノ系はミスプロの重厚さを弄らないのでスピード補完としてのミスプロクロスは有効だろう。キンググローリアスを使うのもなかなか面白くて、これはなかなかスピード補完として有効な手段だと思う。ただミルジョージを入れることで少しスタミナ寄りにシフトしてくるし、母系の奥底も特に面白いものは見当たらない。やはりラトロ的な頑強さを受け流して軽いスピードを身に付けるだけの背景はなさそうだ。綺麗なストライドで走る馬で、今はすこし緩さすら見え隠れするくらい。これが中山を走るとなればやはり番手競馬が理想だろう。先頭へ立ってしまうと4角で窮屈になってしまう。柴田大知はそこまで強気に前を交わしに行かないかもしれない。

リアルスティール

ディープ嵐猫の配合だが2代母にあたるKingmambo全妹のピッチ走法が伝わっている、というがモチジュン先生の見立て。こういう機敏な馬に福永を搭載するというのは賛成で、きっと上手に差しきってくれるだろうと思える。ただしそれは比較的スロー展開となった場合だけで、900m的なロングスパート展開になると息切れしてしまうはず。そこら辺の底力ってのを証明するレースが今までなかったのがこの馬の弱点だ。そしてもう一つは福永に2000mを走るこの馬を経験させなかったことも問題として挙げられる。福永は溜める騎手であるから距離延長となればいつもより一層溜めに行くだろう。そして相対的なものの見方をするから前半がドスローでも後方寄りに位置する。そしてそこから中山式にペースが上がっていくと・・・間違いなく底力で負ける。血統背景からしてロングスパートに耐えられる要素がないし、Kingmanbo全妹の要素があるのならば1800mベストだとしてもマイラーよりだろう。中山2000mのG1でスローロンスパをされて届く馬でもなければ届かせられる騎手でもない。逃げ先行勢の策にすっぽりハマって6着惨敗、というシナリオで間違いなさそう。

タガノエスプレッソ

ブラックタイド×キンカメという血統上においては優れた配合をしている。しかしキンカメトニービンでもあるからルーラーシップやミッキードリーム、ドゥラメンテなどと同じHormbeamクロスを持っていてNureyevクロスと競合する結果となった。Nureyevクロスならばトゥザワールドトゥザグローリー兄弟の様な小回りの効いた粘り脚ピッチに出たのだろうが、レースを見る限りはどっちつかずな走りをしている。デイリー杯を見る限りは加速力に秀でたところもあるのだが、内々を回った弥生賞では少し反応しきれていない感じもある。このストライドはなんというかHyperion的という感じもあって、あんまりピッチ数の上下がないのだ。いわばハーツクライ的と言っても良い。弥生賞の競馬は中山記念ヌーヴォレコルトを彷彿とさせるから、出来れば前で受けて第2線目をキープしつつ前が崩れたところをスルリと抜けだしてジリジリしたい。ロングスパートはハマるタイプだがサトノクラウンの鋭さと完成度には劣る。それに鞍上の菱田裕二が中山を綺麗にさばける気もしない。これもまた基本的に溜める騎手であるからだ。

キタサンブラック

Lyphardクロスのブラックタイド産駒という血統通りにスプリングSを勝利した。終い4Fが12.0-11.8-11.2-11.5という緩やかに加速していく流れで、後ろから猛追したリアルスティールは直線を一気に弾け飛んできたが前を行く本馬には届かなかった。今走では2戦続けて乗っていた北村宏司が騎乗停止中なので浜中俊に乗り替わりとなっている。控えて行くというコメントは距離不安というより浜中の特色と見えて、おそらく少し外へ回していきたいのではないかと思う。先週の時点でも少し内馬場を嫌う騎手が増えてきているし、外の馬の方が伸び脚が良い。真ん中の枠を得たのであるから内に3頭くらいいれてまくりかかる方が得策と言えば得策である。小回り脚を持った持続馬、という観点を思うと面白いのだが前を主張しない分だけ鋭さは求められる。下手をすればサトノクラウンとヨーイドンするハメになるのだから1着は流石に厳しそうである。

サトノクラウン

弥生賞の勝利は2000m適性と持続力、そして切れまでをも証明してみせた完璧な内容だった。千八っぽい展開になると厳しくなってくるがスローはスローでリアルスティールという難敵がいるのだから前も極端に落としこんではこないだろう。配合形は端的に言えば相似で、ナスキロラトロがミスプロサーアイヴァーを着て歩いているようなものだろう。本質質としては外回り馬なのだが今の中山は外差しも届くし、この馬の持続切れならばブライトエンブレムと同じ走りをしてもブライトエンブレムに先着できる。弥生賞よりもパフォーマンスは上がる見込みであるから3馬身は突き放して見せるのではないか。これだけ展開がハマってしまうと逆らえない。

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