砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

フローラステークス展望

なんか気分が乗ったから・・・


東京2000mで開催される3歳牝馬のレースで、マイラーの春は終わって中距離馬の春がやってくる。と言っても今年の実績馬及び素質馬は中距離に向きそうであるからマイラーの春なんてどこにもなかったのだよ。レッツゴードンキだってラブリーデイと同じような配合形だから中距離馬だろう。

だからフローラステークスに来る馬ってのは「マイルを格でねじ伏せられない中距離馬」であって、本番も当然のことながら古馬になってもイマイチ弾けきれないのが実情である。例外としてデニムアンドルビーなんかの晩成馬だろうか。春天が楽しみである。

あぁ、でもサンテミリオンオークスを勝っているか。それ以降はさっぱりだが。根強く活躍した馬とすればベッラレイアとかディアデラノビアとか、古くはスティンガーとかキョウエイタップとか。スティンガーはちょいと別物だな。間隔をあまり空けたくなかった感じだ。

古い話はさておいて、ここ数年の良馬場開催では2分そこそこでの決着になっている。流石に2分を切ることはないが昨年はきっかし2分での決着になっているな。終い1Fが12.5秒という限界に近いラップを刻んだ上での前崩れであるからこの時期の牝馬にはここが限界なのだろう。ギリギリまで粘ったのがブランネージュで、ボリクリ×FD×SSという配合のしぶとい馬だ。古馬になってからはパッとしないが。

ブランネージュは今週の福島牝馬Sに出てくるが、これはなかなかおもしろいところだろう。エリ女はスローだったし、中山牝馬は前残り。平坦向きの小回り馬だから福島牝馬Sはドンピシャの条件だ。

基本的にこういった小回り馬がドスローからビュンっと弾けてなんぼのレースで、サングレアルデニムアンドルビーの様な外回り馬が躍動することはない。やはりミッドサマーフェアとかのようなタイプが好ましい。

だからハーツクライトニービン)やブラックタイド(ハイインロー)なんかの産駒は少し面白くない。本番では話が違うのだがドスローの瞬発勝負だからなぁ。ロックキャンディなんかはここで出走権を得られたならば本番で狙いたいところよ。ラトロパワーが強すぎるところとかBuckpasserを持ってきたところとか、ヌレイエフではなくサドラーズウェルズを持ってきたところとか、色々と不安はあるがちょいと面白そうな配合だ。だがモンジューを脚長にしたような感じの馬で、想像を絶してジワジワと伸びるタイプ。そりゃダートで未勝利を勝つわ、と。伸びるというか同じ脚で延々と走る感じ。

シングウィズジョイの3代母はフリートークなのか。コスモドリームオークスで一時は先頭に立った馬だ。マンカフェ×ボリクリ×NTか。ヘイルトゥリーズンのクロスに加えてRobertoまでクロス。その結果が牝馬ではちょいと面白くない。こういう配合はやっぱり男馬ならではだろう。今年の阪神で勝ちきれてしまう牝馬というのは大成の予感がない。しかも先行押し切りだし。

アドマイヤピンクは外回り向きの配合と言えなくもないが、フォーティナイナー経由でのミスプロクロスというのはキンカメ産駒としてどうなのだろうなぁ・・・。相似配合じみたところもあるから力強くストライドを伸ばすイメージかね。これもやっぱり牝馬らしからぬ脚の太さがあるからなぁ。東京でスラッと差しにまわるイメージがない。

やっぱりリアンドジュエリーあたりがシンプルに狙いたいところかな。競走馬としての完成度は高い。クロフネサンデー×NTのシンプルな配合であるし、なかなか靭やかに動くから東京へ変わって上積みがありそうだ。だがあの持続力を活かせる流れになるか。

エバーシャルマンもそうだけどフォーティナイナーを持つ馬がやたらと多いな。さすが中山や阪神開催で勝ち上がって来た奴らなだけある。こういったパワー傾向の産駒が多いからペースが落ち着くのかねぇ。

お、バンゴールってローズキングダムと4分の3が同血じゃないか。間に挟まったクロフネがどうなるか・・・。クロフネってかなり頑強な血統で、流石のノーザンダンサー直系と言えなくもないが、いざこうなると邪魔でしかねぇな。ローキンでG1馬を出せる配合なのだから異物とか余計なものと言っても構わなさそう。だがやっていることはボルキロやNever Bendの継続で、柔らかさを増幅させていなくもない。だが中山であまりにも綺麗に勝ちすぎている気もして、もう少し4角で追う動作を見せてもいい。あそこら辺はやっぱりクロフネ的頑強さが出ているのかねぇ。持ったままで4角を外からまくりかけてしまう手応えってのは・・・格の違いなのか適性の違いなのか。

[続き]

で、それに続くのがトーセンラースピルバーグ兄弟の姪にあたるフロレットアレーなんだよね。間に挟んだのはシンボリクリスエス。ディープ×ボリクリという配合形はちょいと怪しいし、そもそもRobertoを入れていいのかねぇ。

Robertoとミスプロを出会わせることは芝馬にはさほどプラスの出来事ではないし、Robertoってのは牝馬にとって毒にしかならない血統でもある。繁殖生活を考えりゃ薬なんだけども、あんまり競走馬としては大成できるもんじゃないんだよねぇ。

またディープ産駒というのはAlzaoを刺激する血統とBurgclereを刺激する血統をそれぞれ上手に組み込むことでG1級が生まれるわけであるから、こういう独自に頑張れてしまうSeattle Slewなんかの血統ってのはあんまりおもしろくないのよ。基本的にディープさんはウインドインハーヘアをいじり倒すことが大切なのだし。

別にサンデーを聖域としろとは言わないが(事実、Sadler's WellsでHail to Reasonを弄っている)、シンボリクリスエスでサンデーをいじりすぎるのはあんまりおもしろい話ではない。ボリクリサンデーでG1級がなかなか出ないのはそこら辺の調和が難しい組み合わせであるからに違いない。まぁ、ボリクリスペで爆発した馬もいるわけであるからディープボリクリでも何かしらやれなくはないとは思う。それでもボリクリは牡馬なのだ。ここで重賞を勝つこともないだろうし、ディープ産駒として優れた配合形でもない。

俺としてはゴージャスガールの様な渋い配合の方が好き。母母父サンデーもこれからどんどん増えていくのだから、正しい配合形を把握していかなきゃならんね。

で、ゴージャスガールはジャンポケ×クロフネ×サンデー×Caerleon×Thatchというもの。渋いぜ。渋いけれど地味な血統ではなく、3代母のビバムールはウェルシュマフィンの全妹。2代母のピースオブワールドタイキシャトルと4分の3が同血の関係となって、自身は阪神JF勝ちの実績を持つ。このピースオブワールドからはイマイチ良い仔が出ていないが血族全体で見れば悪くない自責を持つ。ゴージャスガールも何か良い所があればいいんだが。

新馬戦から人気に関わらずしっかりと掲示板をはずさない競馬を見るに、伸び脚は確かなものだ。東京だろうが札幌だろうが中山だろうが結果をきちんと出すあたりに素質の高さが見え隠れする気もするが、ジャンポケとしてあんまり一貫性があるとも思わん。

ジャンポケの強さってのは5代血統表にHyperionの名が残るという事であって、とりあえずHyperionを増し増ししておけばよいのである。母父にノーザンテーストを引っ張りこんできたトーセンジョーダンなんかが顕著な例だろう。5代血統表内でHyperionがクロスされるなんてことは滅多にありやしない。

そしてトニービンによって「4分の3ノーザンダンサー4分の1非ノーザンダンサー」の世界的な配合ブームに乗っかることが出来るのも一つで、オウケンブルースリがそういった配合。キンカメと違って母父サンデーによるアドバンテージを得ないところがジャンポケの辛い所で、非サンデーにしてサンデー産駒と戦わなければならない状況だ。それだけに長い目で見ればどんどん組み入れた方がいいと思うんだよ。トニービンやNureyevなどは入っていて損をする血統ではないのだから。サンデーのひ孫世代になれば母系に入ったジャンポケが躍動することもあるはずなのだ。

それでもサンデーを入れるならば靭やかさを増す方向性を上手に操作する必要があって、「とりあえずボルキロ!」みたいな気安い話ではなくなってしまう。シンプルにノーザンダンサー・・・特にノーザンテーストによってHyperion的強化を図るのがベターなのだが、ヴェルデグリーンの様にラトロな方向を加えるのも一つの選択ではある。

だがヴェルヴェルはBlandford攻めによる切れ方が影響しているところもあって、Nasrullah過多によるマムタズマハル的なサムシングがエヴリデイしている感じだ。つまりSS+NDクロスによるアルマームードの重なりがまたひと味演出しているジャンポケらしからぬジャンポケ産駒であった。生存して種牡馬となっていれば面白い産駒を出したと思う。そして一体何を伝える種牡馬となったのだろうなぁ。

そういったことを考えると母母父サンデーというのは母父サンデーよりは随分と使い勝手は良さそうだ。代わりに主張するクロフネというのはHyperion攻めにもラトロ攻めにも対応できる面白い血統であるし、ボルキロもまた含むのでジャンポケとの相性は良さそうである。ライバルの血統を組み入れて種牡馬は成長する、まさしく。

多分この馬はジャンポケというよりクロフネな感じであって、クロフネサンデーにハイペリオンを増し増しした感じだと思う。つまりモチジュン先生用語における「クロペリオン」だね。クロフネトニービンからカレンチャンが、クロフネNureyevからはスリープレスナイトが出ている。

こうしてみるとクロフネってのは今のサンデー系肌なら何を相手にしてもオープン級を出せる様な種牡馬だね。クロフネステゴとかクロフネハーツとか見られるくらいに長生きして欲しいな。決してG1級をほいほい出すような種牡馬ではないのだけれど、NDを薄く一本引いただけの配合であるから父になっても肌に回っても美味しいという素晴らしい種牡馬だ。

このジワジワジワジワと伸びる感じはクロペリオンでもありジャンポケでもある。東京における持続脚勝負で敗れた相手がミュゼゴーストだが、これもまたなかなかおもしろい男馬であるから決して悪い内容ではない。牝馬の持続力としては及第点も及第点で、田辺の騎乗次第ではゴージャスガールは連対まで考えられる馬だと思う。

って鞍上は大野かよ。田辺ぇ!裏切ったなぁぁぁぁ!まぁ、ジワジワ系に乗せるとするなら大野も悪い騎手じゃないし、むしろ良い部類かもしれん。

[続き]

サダムブルーハワイ・・・。サダムって冠名だったのか。この馬も新馬戦で4着してから3着3着1着と掲示板を外していない。素質はあるけど馬が出来上がっていない、というパターンかね。

ハービンジャー×アグネスタキオン×Great Commotion×Brigalier Gerardという配合。ハービンジャー自身がハイハットAureoleのニアリーを持っているわけで、それにアグタキのAlycidonを重ね、Great CommotionもまたAureoleを持つので更に重なる。母のショウナンタレントフラワーカップを逃げ切った馬であるから「Aureole魂」の牝馬。それにハービンジャーであるからバリバリの逃げ馬と見ていいだろう。馬群に入れてはならぬ。前走の勝ちも外につけた3番手から抜けだした形で、Aureole魂がなけりゃ本当に綺麗な競馬が出来るタイプなんだが・・・惜しい。

乗るのが松岡正海でしかも外枠、こりゃ面白い。単騎で行くか外につけて行くか、いずれにしてもスローにゃならんだろう。

グリシーヌシチー・・・ハーツクライ×ホワイトマズル×Alysheba×Key to the Mintか。Lyphardをクロスさせるハーツ産駒は珍しい。ホワイトマズルは鈍足種牡馬との相性が良いからハーツクライを相手にしても悪くないとは思うけど、母母からはスピードを感じないのが嫌なところだし、今時期に活躍できるタイプでもないはず。

ガラフラワーってのもすごいことしてんな。ダンスインザダーク×ロックオブジブラルタル×Sadler's Wells×Mr. Prospector×Riverman。River Ladyを5*6で抱えるというのはどうなんだろうねぇ。

ロックオブジブラルタルはこの距離を走るダンス産駒には有用な血統だろう。ただ、サドラーというのは少しスタミナっぽいのではないかなぁ、と。それに加えてGraustark=His Majestyの兄弟クロスを持つのだがDanzigRivermanだし・・・。またDanehill経由でBuckpasserを持つわけであるから「ダンス産駒に必要な物を揃えました!」的な配合なんだけど、長距離向きのものも中距離向きなものも揃えられているからよく分からなくて、その上牝馬ってもうどういうことなの?と。

だがエルフィンのレースぶりを思えば悪くない。鞍上のファインプレー込みの2着だがピッチぽくなかなか粘り強く加速している。そうか。逆に考えればロックオブジブラルタルが上手く刺激されているわけか。フローラステークスに合うかもしれない。

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