砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

クイーンS展望2

10頭立ての重賞も久しぶりだ。

札幌開催においては最小頭数となるんだね。これって本当に珍しいことよ。

札幌コースって別にタフなわけじゃなく、そりゃ洋芝は大変なことだけれどもコースレイアウトを思えば非常に軽やかなもの。日本一平坦なコースよ。上り下りほぼ無しよ。高低差が最大で3.5mほどの函館と一緒にしちゃだめよ。札幌は1mないからね。

タイム差を見てみるとそれは歴然としている。古馬混合のOPの平均だと函館は1分49秒0で、札幌は1分47秒9。1秒の差がある。他の四角1800mだと中山が1分48秒2、小倉が1分46秒0。なるほど洋芝なだけあって小倉には大きく劣る。

ではレコードタイムはどうだろう。札幌は昨年のキャトルフィーユによる1分45秒7、函館はなんと昭和63年にさかのぼって1分46秒0。洋芝なのか疑惑が残る。小倉は平成16年のダイタクバートラムの1分44秒1、中山も平成16年だね。サクラプレジデントの1分44秒9。

タイム差の一番大きいものが中山で3秒4の開き。次に函館の3秒。札幌の2秒2に小倉の1秒9と続く。

中山は開催と馬場の関係で渋りがひどいコースだった。だからタイム差があるのには納得。昨年末に馬場の改修が行われたこともあるから今年はそんなに平均は下がらないだろう。函館の洋芝は94年から始まっているからタイム差は当然のものだと。

てなわけで、洋芝の効果は確かにある。図らずも函館のタイム差によってそれは証明。洋芝によってタフなコースとなるのは間違いない。うん。小倉と札幌のタイム差が平均では1秒9でレコードでは1秒6違うもんな。

ここからちょいと違う材料を出すならば・・・レース数だろう。札幌は4回で小倉は8回。調べてみると小倉は小倉大賞典と小倉日経OP、札幌はクイーンSと巴賞によるデータであった。(小倉は11年~14年の4年間、札幌は08年~10年の3年間で集計されていた。競馬ラボのデータね)

なので札幌の千八というのは巴賞の様な開催のイレギュラーがない限りは牡馬のオープン級が競うことがないのだから、あんまりデータとしての平等性ってのはないのだわ。この巴賞だってスロー瞬発の展開で1分47秒5の決着よ。

なので札幌記念小倉記念を比べた方がまだデータとして健全だろう。09年~14年で集計してみると・・・いやいやこれは勝負にならん。そういや開幕週と閉幕週の違いがあるじゃねぇか。俺はアホか。

大人しく競馬ラボの混合500万下、1000万下のデータを引用すると

札幌 1分49秒6 1分48秒8

小倉 1分47秒7 1分47秒0

1秒9と1秒8の違いがあった。上の平均差と大差ないものである。

おっかしいなぁ。雨渋りなんかも小倉の方が多いんだよなぁ。同じ開幕週を比較しても全然違う。むしろ差は広がるくらいだ。

気になることと言えば・・・札幌ってほとんどのレースで脚を使いきってないんだわ。11秒台で締めることが小倉に比べて圧倒的に多い。

競馬ラボには前4Fと後4Fの差もまとめてあるんだけれど、札幌は1秒以上あるのが当たり前なんだな。データの多い2歳未勝利でコンマ7秒、あと混合500万下で1秒1。極端ではないが確実に後傾ラップへ誘導している。

小倉は混合OPになるとコンマ4秒差という数値。3歳未勝利ではコンマ5秒、混合500万下では1.1秒の後継ラップだ。

ここから導き出される答えは・・・まずジョッキーが札幌で乗り慣れていないということだ。そして函館と同様にテン乗りが多いことも挙げられる。馬もコースも理解していないから脚を余すのだろう。

小倉は中京と並んで関西のホームコースみたいなものだ。でも札幌って東西どちらのホームでもない上に開催も少ない。若い内に札幌で修行したんだぜ!みたいな騎手も少ないだろう。なんたって札幌芝は平成元年からスタートしたのだ。トップジョッキーあたりの年代になると札幌経験は非常に薄いのではないか。

札幌マスターと言えば遊び人藤田伸二だろう。前受け有利の札幌で「恫喝逃げ」と揶揄される行為を繰り返していた。それが全てではないにしても競りかけてこない突っついてこないでは楽な勝負ではある。でも本人もまた突っかけないから番手から勝ち切ることも微妙に少ないのよねぇ。

スローで逃げることがどれだけ勝ちへつながるかってのは藤田伸二が教えてくれているんだけれども、クイーンSが初週へ移ってからは前残りだけどスローじゃないという展開が多い。若手が果敢に逃げたりヨコノリが小雨に乗じてペースを刻んだり、あとは黛がペース判断ミスったり松田がオツウに任せたのか芝の速さを信じたのか分からないがすごいペースを刻んだり。

クイーンSだけでなく開幕初週から次週までは積極的な逃げを図る騎手は多い。北海道のくくりで函館逃げを引きずる関西騎手もいるのが面白いところ。一方で中山や福島の流れで逃げる関東騎手もいるし。

少頭数とかもう関係ないのよな。ペース刻んで後ろが離れるなら函館式(≒関西式)に道中で溜めてしまえばいいわけだから。ついてきてもイーブンを意識してじっくりと刻めば勝ち目は十分にある。序盤でよほど無理な逃げ方をしない限りは前が有利なのは変わらないのだわ。

ド平坦だからこその七色逃げよ。どんな逃げ方をしても馬が許すならそれは勝ち負けに絡める。だからどんなラップとなるのかを読むのは至難の業で、横ノリさんみたいにその場その場でプランを変えることもあるわけだから更に難解。

そこで原点に立ち返ってみると・・・やっぱり4角で突き放していたいのが騎手の心理としてあるはずで、それは道中で突き放すか4角の加速で突き放すかの二択。でも「他の競馬場で千八の成績がいいから」という馬に対してイーブンペースで殺しにかかるのは非常に有効なのよ。千八はスローになりやすいけれど札幌はド平坦の丸型だからペースの落とし所もがない。かといって後ろから差し込むだけの直線もないわけなのでスロー巧者には鬼門とも言えるコース。

でもイーブンにする人は限られるからな。ちょいと難しいところ。

その点では黛ノットフォーマルの存在は結構ありがたいね。逃げるなら関東的だろうし、2番手3番手に位置しても前を突っつかないペース依存型だものな。場を乱さないタイプ。

札幌が好きな騎手は例年通りにやってくるわけで、その方々がやすやすと逃げ馬特権を譲り渡すとは思えない。吉田隼人と藤岡弟が先行馬に乗っているからね。加えてイリュミナンス横ノリ。流石にここで逃げを打てるタイプではないが外枠からすっ飛んでくる可能性は否定出来ない。内に入ってくれれば安心なんだがなぁ。

札幌ってまんまるだから外からガーッと出して行っても案外ふくらまないのよ。1角2角間の頂点へ到達するまでにペースが落ちればよい、という考え方が出来るのさ。ノリさん、それを地でやってのける格好いい人だから。めっちゃ面倒くさい。

いや、むしろそちらの方がペース予想は固まりやすいかな。上のメンツならノリが無理な逃げ方をしても突っつかないから関東逃げにするだろう。大外からかっ飛ばしてイーブンを刻むというアホなことを横ノリさんはしないはず。理路整然と関東逃げだ。

ノリが外に入ることを期待しよう。それが一番分かりやすい。

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