砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

一頭一頭part3 秋華賞予想

タチツテト・・・

ディアマイダーリン

 ハーツクライ準黄金配合馬。ハーツクライ×Kingmamboにはコウエイオトメがあって、こちらは母母父がA.P. Indyで自身はPromised Landクロスなので珍しいハーツクライの差し馬となっている。本馬よりコウエイオトメの方がSeattle Slewを持つだけ、そしてそのラトロ血脈へのアプローチの多さから考えて上だろう。

 そもそもからしハーツクライ牝馬というのはさほど旨味がなく、根っこがハイインローであることから骨っぽい男馬の方がその素質を扱いやすい。ヌーヴォレコルトとてきちっと流れたマイル戦に対応できないくらいであって、オールカマーでも切れの鈍さを見せて古牝馬戦線でも少し曖昧な位置にいることを再確認させた。

 ともかく本馬としてはラトロの扱いが弱いことがモチジュン先生も指摘されている。ハーツクライ黄金配合はトニービン×Specialのナスペリオン切れをRivermanSeattle Slewで回転させることが重要で、その回転力はラトロ血脈から得ている。

 ゴールドアリュールと同牝系であるから根っこの活力に不安はないんだが・・・4分の3同血のコウエイオトメが2勝まで13戦かかっているからね。そこからはほとんど好走続きなんだけどオープン入りは5歳時。フローラSのレベルの低さとオークスの力負けを思えば能力が一つ足りないのではないかなぁ。

ディープジュエリー

 ジャイアンツコーズウェイ好きだからディープとの配合形を今か今かと待ち望んでいた。しかしいざこうして見てみると日本競馬に順応するにはなかなか難しいところがある血統で、悪いところは何もないんだがRobertoの扱いで全てが台無しになるような危うさを秘めている。

 本馬だと母親からして綺麗な配合をしている。RobertoがSeattle Slewへ流れ込んでスタミナ化、重ねてGlorious SongのHalo、Blushing GroomRed God・・・ChieftainのRomanがStorm Birdに流れ込んでRoberto×Seattle Slewを助け、更にRoberto×Alyder×NijinskyでBull Leaで脈絡して・・・あとはEight Thirty≒War Relicか。

 これにディープよ。Haloニアリーがグワッと押し寄せてSir GaylordSecretariatが発生。そのくせBull Lea群にRoman≒Chop Chop、Eight Thirty≒War Relic、柔らかい要素も硬い要素も満遍なくバランスを取ろうと押し寄せてくる。でもハイインローはRahy経由のTuder MinstrelとSwapsだけというね。足りないことはない。

 これは確かに東京も中山もきっちり辛うじて勝てる馬だろう。初重賞のローズSで少しころんだのも順当だ。ただHalo的な前捌きによって登坂を過ぎてから一気に差し切るところとか、中山の外を膨れながらも全速力で駆け抜ける機動力とか、これはちょいと秋華賞には持って来いの馬じゃないかねぇ・・・。

 ディープインパクトのスピード源をとことん刺激しているからそこに苦しむことはまずありえない。そして表面化しているピッチ走法をSeattle Slew×Glorious Songで回すんだから・・・ジェンティほどではないにしてもこれは好配合。この類のピッチ走法が鬼門とするのは阪神外回りだからローズSの敗戦はそこまで悪いものでもなく・・・ていうかあんなに置いて行かれて走る気をなくさなかったんだからすごいよ。随分と前向きな気性なんだな。馬群に入れても大丈夫そうだ。

 ここまで来たら問題は鞍上だけだな。ここまでのチグハグな騎乗を見てると不安。

テンダリーヴォイス

 日本競馬史に名を残す種牡馬長者と言えば金子真人オーナー。本馬は御大の元所有馬ディープインパクトキングカメハメハという世紀の大傑作配合。スロー専門の追い込み馬という変態乙女デニムアンドルビーをすでに輩出し金子伝説継続中である。

 加えて自分を含む「にわか競馬ファン」が大好きな砂追い込み名牝であるブロードアピールが母母である。誰かが言った「リアルウイニングポスト」と名高い金子正人オーナーらしい配合だ。自前(正確に言うと違う)の馬でこれだけ豪華な馬作りができるのはこの人だけ!

 しかしブロードアピールに関してモチジュン先生は多少の苦言を呈している。ハイインローがないから差し切れる位置にいられないしG1で勝てないのだと。つまり牝系自体に底力を持っているわけではないのだわ。

 その辺りは元東京優駿レコードホルダーの父と母父がカバーしてくれそうだが・・・あともう一代足りないかもしれんねぇ。ディーキン配合というよりブロードアピールの孫っ子らしいG1での物足りなさがたしかにある。

 前走の紫苑Sは小回り適性以前の問題。あの差し切れるポジションで競馬をしただけで道中にて力尽きてしまった。1番人気が当たり前に勝てる位置を戸崎はとったし、彼は無理をしてあの位置を取る騎手ではない。無理のない範囲できっちりと得た位置だ。

 4角でヨレて左ムチを必要としてしまったのはね・・・完全に力負けだ。過剰人気だったとしか言えない内容。そこがブロードアピールの孫っ子らしいのよ。秋華賞のタフな展開を戦うには足りないなぁ。

興が乗ってしまうと文字が増えてしまう。

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