ドスローであっても切れ勝負にならないのが菊花賞で、普段は仕掛けの遅いダメ若手たちでも3角を過ぎて下りに入れば思い切り良くまくっていく。昨年のシャンパーニュ松山弘平などは最たる例で、桜花賞ドスローの片棒を担いだり色々と消極的な騎乗が目立つ彼でも遅くなった馬を交わすことにためらいがない。
京都大賞典がドスロー賛美の舞台であるのに菊花賞はドスローにならない。不思議よねぇ。
秋華賞の様にハイペースにならなきゃ3F瞬発戦にはならない。
けれどシャドウゲイト佐藤哲三→アドマイヤジャパン横山典弘と受け継がれた完璧なシナリオを3F瞬発で撫で斬ったディープインパクトは化け物だよなぁ。逃げの名手が実力馬を完璧に導いても勝てない馬なのかと。
13年のエピファネイアはおそらく今年の秋華賞に近い形だったのではないかと思う。ただ2Fスパートでズバッと駆け抜ける余力があったかなかったかの差だろう。切れるというより底力で踏ん張ったという内容で、名馬があるべき場所からあるべきように駆け抜けた。
底力って言葉のあやふやさを本当に示した馬だよねぇエピファネイアって。底力があればロングスパート戦でも切れを鈍らせないはずなんだが、この馬の場合は12秒台前半の燃費が段違いに高いだけだ。この馬が05年のアドマイヤジャパンの位置にいたらディープインパクトは捉え切れただろうか?
むしろ前がスローに落とそうとした時の方が持続戦の傾向が強まるってのも面白い。ゴルシの年なんかはそうだよねぇ。これはビッグウィーク的とも言えて、登坂でスパートをかけて詰めて行ってから更に合理的に下れるからこそのパーフェクトプラン。
登坂力+持続力でも制することが出来るというのもまたこのレースの魅力。例えスローでもディープならさっさと行ってしまう(意訳)とMahmoud様がTwitterで仰られていたのはここだ。もちろんゴールドシップにそれが可能かは別として、切れと下り力と持続力を完備した京都マスターにはスローなんてかっこうのまくりロケーション。
今年のスプリンターズなんてのはまさにそんな内容で、武豊ならあんなヘタクソなペースの落とし方は絶対にしない。スローの落とし方にも技術は必要で、横ノリさんのスローを許せるのはそこなのよ。実際にあのヘタクソスローに完璧に呼応したのはノリさんで、勝ち切ったのはスロー瞬発まくりの達人戸崎圭太だった。この二人のスピードキャリーはトップクラス。秋華賞でもこの二人は後ろからズバッと差し切りにくるから予想をしている時は気が気じゃなかった・・・。でもミルコみたいに馬群を縫ってなお綺麗にまくるダーティさは持っていないわな。あんなことしてよく落馬事故を引き起こさないものだ。
いや、ほんとに不思議。スローの方がL1Fは遅くなるってのはねぇ。
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