砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

菊花賞回顧

ちょいとあれこれあって菊花賞予想は放棄していた。

ミュゼエイリアンがいいんじゃねぇかなー、このくらいの人気なら単勝だけ買おうかなー、とか。まぁ色々考えていたわけなんだけれども、モチジュン先生の予想やブログでの発言なんかを考えて買わないことに。過去の傾向とは違った予想と不安を煽る発言をなさっていたのでね・・・実際にそれらはニアピンだったのだけれども。

結局「スローの京都をピッチで」という決着だったわけだが。このくらいの持続ラップでも中距離馬たちには脚が残るのが今の京都で、高速馬場なんて生易しいものではなく・・・これはもはや鏡面仕上げに近い。ツルッツルじゃん!って。

まぁデータ的に正しいかは別としてね。ある側面としての見方をする。意味はないかもしれん。

05年のL8Fが

12.6-12.0-12.3-12.2-12.1-12.0-12.1-11.6 97秒2

今年のL8Fが

13.7-11.8-12.1-12.0-11.9-11.6-12.2-11.6 96秒9

別にディープの菊花賞はパフォーマンスとして異常ではあるんだが時計としてはさほどすごいもんではない。L8Fで言えば昨年は96秒きっかしだからね。だけどL7Fで見ると昨年の83秒5に対して05年が83秒6で今年が83秒2。今年は最速となる。

でも13秒7とか鏡面馬場での超遅速ラップがあるわけだからね。それも2Fにわたってだし、13秒台で言えば3F間で刻まれているのだわ。速い馬場でこんな緩みが生じてしまうと・・・。

普通なら休んだ分だけ長くスパート出来るなんてことはないんだが・・・鏡面馬場だとスパートの定義がどこまでも分からなくなる。どうも今年の菊花賞は12秒台でもスパートの範疇から外れている様子があるのだわ・・・。

つまり「超ゆっくり走って、普通に走る」ってのが13秒7~12秒前半の世界なのだろう。ロングスパートと言える速度域で走っていたからこそ、あの4角前ののんびりした区間を演出している。ところが実質的にはスパートなど何もなかったのだ。あれは小倉スプリントで3角過ぎをスローで通過しようとするヘタクソ関西騎手の逃げに等しい愚行であったのだ。

ワンツーの二頭は北九州記念ベルカントに似ている。前が淀みなく行って、緩めて、溜まった脚を一気に鋭く伸ばして差し切る。なんということだろう。病的なほどに速い馬場は名手をバカ若手に変えてしまう。

だってさ。スプリンターズで酒井学の愚行を華麗に差し切った横ノリさんがこの菊花賞酒井学と同じことをしちゃったわけでもあるのよ?「あ、どうぞ差しきってください」と言わんばかりのタイミングでスローに落としてしまったのよ!?この馬場はいけないよ。やばいよ。騎手泣かせだよ。

そりゃヒロシや福永は良い競馬をした。けれどそれは彼らの普段通りがハマっただけであって、上手いから勝ったというわけじゃないのだわ。まぁ老獪とも言えるよい競馬だったけれどね!素晴らしかったよ!

けれど釈然としない。俺の脳みそでは消化しきれないものが京都には存在している。

血統面ではウインドインハーヘア母ちゃんの毒殺が決まり手でキタサンブラックが勝った。やはりしぶとい脚を使わせれば深衝撃より黒潮だな!

というのもブワッと切れてからの先が求められたレースだから粘りがより強く求められたのだわ。これはロゴタイプがあれほどまでの機動力を持ちながらヌーヴォレコルトジャスタウェイに敗れたことに似ている。

福永はやっぱり牝馬切れというかスパッと切れる馬をきっかし間に合わせるのが身上だ。だからその先の牡馬っぽいあたりを要求されるといけないし、そういった馬もなかなか任せられない。エピファネイアもそうやって繰ったのが間違いよなぁ。

北村宏司も似たようなもんなんだが・・・これはまぁ馬とコネの質が違ったということで。牝馬の福永と呼ばれたくさんの牝馬を勝たせてきた男と、関東の名門厩舎で男女問わずに様々な馬を動かしてきた男ではな。経験と求められるモノが些細な差となった。

うーむ、ココに来てなおRomanが京都で躍動するか・・・。ゼンノロブロイの一本調子なものがピタリとハマるってのも面白い。ドスローからはほぼ一本調子に走ってヌルッと微細に切れてからの先が足りなかったがねぇ。

Romanの突進差しの先にウインドインハーヘア母ちゃんが「兄貴の方がかわいいのよ!」と半ば狂乱する様に残した・・・というのが俺のイメージ。ディープインパクトサンデーサイレンス直仔世代の大種牡馬であるが、ウインドインハーヘアの仔という観点においてはブラックタイドの方が強くその傾向を受け継いでいる。

サンデーサイレンスの孫としてきっちり切れるリアルスティールウインドインハーヘアの孫としてきっちり突進して粘着するキタサンブラック

うーん、これは別に新しい発見でもなくスプリングSからして当たり前のように知られていたことだわな。そして上積みの多さもPretty Pollyいじりの有無でようよう分かるもの。

そういや菊花賞馬はジャパンカップ有馬記念を勝つものだと自分で言っていたな。そして有馬記念ブラックタイドの大花火をぶちまけて欲しいとキタサンブラックに関しても言っていた。競馬予想って情報の整理が肝なのだなぁ。

でも今年最後の大一番、有馬記念ってのは最高に面白いレースになりそうね。菊花賞キタサンブラック宝塚記念ラブリーデイの中山マイスター二頭揃い踏みだ。これにモーリスとかも来ちゃったらどうすんのーウフフフフ。スローになったときの菊花賞皐月賞2着馬リアルスティールも全くもって馬鹿にならないしさぁ。春天勝ちのゴールドシップさんだっていちゃうんだぜ!

昨年に劣らない・・・まぁ昨年は少し中山適性という点においては微妙だったかな。でも今年は中山が得意な馬が非常に高いレベルで揃っている。いいよいいよー。こんなに東京競馬がつまらなく感じるほどのメンバーが揃うなんて。素晴らしいよー。

[追記]

モチジュン先生の回顧がアップされた。

リアルスティールジェンティルドンナというのはよく比較なされていたが、そうなるとJC勝ち馬リアルスティールというのもいいなぁ。3歳馬に秋4戦は厳しいけれどもそこから有馬にも参戦してくれたら嬉しいものね。

加えてサトノクラウンがいるわけで、これが秋天を勝っちゃったりしたら・・・もう今年の三歳は化け物揃いと、もう伝説級の世代だと言われるのだろうな。

ようよう考えてみればドゥラメンテなんてアホなパフォーマンスを見せる馬に対して「いやいやリアルスティールの方が」「いやいやサトノクラウンの方が」「いやいやキタサンブラックなんてのもいるぞ」と予想家や競馬ファンを悩ませて、そして結果を出してしまうのであればね、これはすごい世代だぞと。

まぁなんというか・・・強い弱いの前に・・・ニュー・ウェーブだね。ダービーも以前の様な外差し一辺倒のレースではなくなって立ち回りを要求される様になった。これは他のG1もそうであって外差しってのが本当に効かない。

そういった中で立ち回りの上手いリアルスティールキタサンブラックサトノクラウンがやってきた。そしてそれを遥か高みからなぎ倒すドゥラメンテってのも出てきた。この世代から本格的に競馬は変わってくるんじゃないだろうか。

上がりの競馬は消えて位置の競馬が始まる。今の今までが武豊時代だとすれば、もうじき新たなスターが現れる頃合いだろう。

その時にエージェント制は試されるだろう。この制度にスターを生み出す器量があるのかどうか。

[fin]