砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

キタサンブラックの配合と姿

大抵のディープ=ブラックタイドの産駒はHyperionで走っているのだが、この馬は少し趣が違っている。彼はGainsboroughとHurry OnとSundridgeとSir GallahadとDominoとFair Trialで走っているのだろう。


Roman≒Victoria Park~Sir GallahadとBuchan(Sundridgeの孫)とUltimus(Domino2*2)が共通。 Lyphardクロス~Fair TrialとHurry OnとGainsborough そしてSolario(Gainsborogh×Sundridge)が

ティズリー~1本 ジャッジアンジェルーチ~2本 サクラユタカオー~3本 Burghclere~1本 Alzao~1本 Halo~1本 他に目立つクロスはBuchanやMahmoud(母Mah MahalがGainsborough×The Tetrach×Sundridge)。 まず前情報を言うと、SolarioとHurry Onってのはアスコットゴールドカップの勝ち馬だ。アスコット20Fの歴史的な長距離レースのね。Sir Gallahadは仏2000ギニーやジャックマロワ賞の勝ち馬で他にロワイヤルオーク賞の2着がある。Lyphardもジャックマロワ賞の勝ち馬だ。Victoria Parkはクイーンズプレートを制している。コレの距離が10F。その孫らはと言えばノーザンテーストフォレ賞で、ジャッジアンジェルーチカルフォルニアンS(?)。これらは10F未満のレースだ。Fair Trialもまたイギリスのベストマイラーに選出されているらしいよ。 まぁ、実際問題・・・確かに長い距離を走りそうには見えないわな。けれど競走実績と種牡馬として伝えるものってのは別問題であるし、その遺伝するものだって血統表の奥底に潜ってしまえばインブリードによって違うものを呼び覚ますことだって出来てしまう。それがブラッドスポーツたる所以ってもんだろう。 サクラユタカオーは短距離馬をよく出した。サクラバクシンオーも短距離馬をよく出した。しかし血統というものはそんな単純なものじゃぁない。アラブの王様ほどの大資産家ですら掴みきれない深い深い世界だ。 SolarioやHurry Onといったゴールドカップ勝ちの馬が長距離馬ばかりを出したかと言えばそうでもないし、Solarioの本数が多いサクラユタカオーが長距離力を伝えたこともまたない。けれどSolarioを表現した馬を作るためにサクラユタカオーの血が不要であるかと言えば・・・それもまた違う。そしてキタサンブラックがSolarioを表現された馬かと言えば、もちろんコレも違うだろう。 しかしインブリードされた以上はSolario的な何かは伝わっているはずだ。   馬を見る目はないがとりあえず並べてみた。上からキタサンブラック、Solario、サクラユタカオーブラックタイドサクラバクシンオー、Hurry On。 こうして見るとサクラユタカオーの脚の長さというのはSolario由来なのかもなぁ、とか思うね。それがキタサンブラックにも受け継がれているのかもしれない。 ユタカオーってのはナスルーラクロスらしい非常に柔らかい馬だが、驚くべきは胴体の安定っぷりだろう。あれだけ柔らかいというのに機敏に動いて見せるのだから、あれはかなり関節を動かす力が強いはずだ。 バクシンオーはその靭やかさを踏襲しながらもノーザンテースト的に脚が短い。だから距離が短くなったのだろう。柔らかくも俊敏に動く・・・これはユタカオーの系譜だ。 だから代が遠くなって脚長を得てしまえば強い中距離馬となってもおかしくないのだわ。むしろユタカオーの燃費の良さそうな胴体の安定っぷりが受け継がれたら長距離馬が出てもおかしくないんじゃないかねぇ。 あれだけ柔らかく動いて優れたスピードを持続させる馬だ。燃費の良さってのはあるだろう。 [追記] そもそもディープインパクトブラックタイドの産駒というのは足が短いことが多いのよね。ディープの場合はHalo≒Sir Ivorに加えてナスキロを入れ、全身運動的な靭やかさで走るのがほとんどだ。上級産駒になるほどその柔らかさを俊敏に動かすわけで、キズナなどもクルクルと脚を回しながら加速していく。 だから(比較的)脚が長く出たキタサンブラックだからこそ母父サクラバクシンオーが作用したとも言えて、短距離馬的な関節の強靭さがあるからこそブラックタイドらしく中山的な機動力を得たのだろう。 「サクラバクシンオー的ではないから菊花賞を勝てた」というのは半分あたりで半分はずれなんだわなぁ。体形はサクラユタカオーだが関節はサクラバクシンオー、そして脚さばきはブラックタイド。 うーん、実際に流行してみなきゃ分からないがブラックタイド×サクラバクシンオーLyphardクロスが正しいっていう様子ではないんだよなぁ。ジャッジアンジェルーチもバクシンオー的要素に一枚噛んでるだろう。 またアデイインザライフ(ディープ×驀進×デインヒル)もなかなか脚長なんだよね。これはNijinskyの影響も多少なりあるんだろうが・・・ラキシスNijinsky持ちだね。そしてサクラバクシンオーNijinskyとニックスがあるね・・・。 んー、ノーザンテースト×Nijinskyとなるとブラックタイドじゃ捌き切れないかもしれんねぇ。やはりこの方向性においてはキタサンブラックが唯一無二の絶対的な配合馬だろう。種牡馬として弟を打破するにはお手軽ニックスが欲しいところだが・・・。 [fin]