砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

Danzig配合論 Anabaa編

次はAnabaaを。

http://www.jbis.or.jp/horse/0000365067/pedigree/

4代母Bergameが仏オークス2着馬で、それにつけられたKashmir英2000ギニー勝ち馬。その次のRivermanが中距離馬で、そのまた次のゲイメセンAureole系らしい中長距離馬である。そうして生まれたAnabaaの母Balbonellaが1100m~1800mを走り、Anabaa自身はジュライSを勝ったスプリンターと出た。

TourbillonのクロスはあってもNever Bend×My Babuでは表現されづらくて、My BabuはTurn-toやAmbiorix、Kraironなどと同族のスプリンターだから「Tourbillonを異系とした米血緊張」の配合がハマりやすく、それはNever Bendの経由元であるRivermanも同じこと。Raise a Nativeの様に「Ultimusを伴ったCommando&Sweep集合体」なのでAdmiral's Voyageへ流れ込んでスプリンター化を助ける。更に言えばPrince Johnの母Not AfraidがThe Tetrarchクロスだから「4分の3Mumtaz Mahal、4分の1非Mumtaz Mahal」のスピードへ脈絡するな。

Turn-to×My BabuのスピードはPharos=Fairway×Swinford×Mumtaz Mahalに由来するからKashmirがドンピシャ。そしてまたこれが短距離のHyperionであるからLady Angela≒Heliopolisへ脈絡する。結果、AureoleとHautainの中長距離的ハイインローを縁の下へ押し込んでしまうんだ。またナスペリオンを引かないこともあってDanzigの硬質なスプリントを和らげる様子もなく、おそらくそれはHyperion×Blandfordが担っているのだろうが効果薄だな。ゲイメセンとBamieresをナスペリオンと呼ぶことも出来るがNasrullah≒Royal Chagerの経由が上の通りであるから効果が出るのは数世代後のことだ。

Vaguely Nobleという短距離馬には似つかわしくないスタミナを持っているから母系に入れば中距離馬に出せるわなぁ・・・。母父としてトレヴクイーンズリングがあり、ともにRivermanクロスで成功している。トレヴは父が「米血を母系に組み込んだ欧州血統馬」で、Eight ThirtyとかRaise a NativeとかあってDanzig×Rivermanへ関係してくる。けれどNever BendBold Reasonはスタミナ化する配合形であるし、またSadler's Wellsの父系は短距離力を封殺する勢いのクラシック主流血統なのだわ。

そしてこれにはSir GaylordSecretariatとTurn-toのHail to Reasonへの派生などが影響している。最もPrincequilloSecretariatSir Gaylordをニアリーし、スプリント血統のTurn-toをクラシック血統へ持ち上げた後継Hail to ReasonをクロスすることでAnabaaの短距離力を打ち消せる。それはそれでMr. Prospector×Buckpasserの俊敏性が出るが・・・それもまたSecretariatSir Gaylordが全て解決してくれるし、Mr. ProspectorGone Westと派生してきたRaise a Nativeはそこまで頑固なものではないだろう。

よってDanzigは後に血を残すことを考えると強いスタミナ血統を組み込んだほうが良いだろう。Anabaaの素晴らしいところはSir GaylordのTurn-toを緊張させた配合としたことで、後からSecretariatを組み込んでも俊敏性に大きな影響を与えないのだわ。Sir GaylordSecretariatとニアリーとするけれどもBold RulerとTurn-toはさほど脈絡するものではないし、配合のコンセプトも異なる。だからこそDanzig×SecretariatSir Gaylordの形は中距離~中長距離配合として素晴らしい。これはChief's Crown産駒のGrand Rodgeがそうであるし、チーフベアハート産駒のマイネルラクリマも同様。この中距離馬が出る段階においてVaguely Nobleみたいなスタミナがあるのとないのではまるで話は違ってくる。

Rivermanクロスに関して調べてみるとなかなかおもしろくて、これってAnabaa産駒の黄金配合なんだわ。

Goldikova

Anabaa Blue

GoldikovaBCマイル3連覇の名牝。あの俊敏な差し脚はモーリスに近いもので、やはりRiverman牝馬は俊敏な脚で抜け出す姿がよく似合う。それを思うとモーリスのあの俊敏さは牝馬的とも言えるが・・・それはサンデーサイレンスの小さな影響なのだろうか。Goldikovaはゴリゴリと走るイメージしか血統表からは探れず、スペシャルウィーク産駒が切れる産駒を牝馬からしか出せなかったようなものかな。モーリスは牡馬だけれどもサンデーサイレンスの靭やかさが小さく影響しているからマイルでスパッと切れる・・・のかも。

Anabaa Blueは21世紀最初の「ダービー」馬。20世紀最後の「ダービー」馬Sinndarに続いてDanzig系が2連勝しているんだね。この二頭には面白い相違点があって、21世紀の方はRivermanクロス+Sir GaylordDanzigで走り、20世紀の方はSir GaylordSecretariatMill ReefDanzigで走っているんだ。母父AnabaaトレヴRivermanクロス+Sir GaylordSecretariatDanzig、Sinndar産駒の愛オークス馬ShawandaはMill Reefクロス+Sir GaylordSecretariatDanzigよ。結局行き着く先はSomethingroyal兄弟+ナスキロラトロクロス+Danzigなのになぁ。

この段階になるとDanzigっていうオリジナルから派生したAnabaaやChief's Crownの財産を食いつぶしたとも言えるわけで、薄い脈絡だけで一流馬を送り出せるオリジナルが新たに生まれていない現状ではこれらの枝葉の今後は怪しいものだ。次はそのオリジナルに限りなく等しいDanehillについて。

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