砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ノリマジックの歴史

ルメールと横ノリ。この二人の因縁はハーツクライに始まる。あのディープインパクトを破った有馬記念

といっても因縁というには薄い。2006年から横ノリの競馬が劇的に変わったとかそういうことはないし、むしろ先行馬を後方から展開させる様なことの方が目立つ。ノリポツンの方だ。

ノリマジックの初出はカンパニーの中山記念と考えられる。08年の春に見せたこの競馬は当時の競馬村には衝撃的だったらしくノリには「G1を勝ち切れない」級ではなく「G1をあともう二つ勝たせなきゃオーナーに申し訳が立たない」という化け物クラスの依頼が入るようになった。

08年秋にカワカミプリンセスの依頼。G1を勝ちきるには至らず、期待には応えられなかった。

同年秋にジャパンカップネヴァブションテン乗り。ここで同馬初の逃げを打ってみせた。これに呼応して抜けだしたスクリーンヒーローはミルコが鞍上であったため免許が切れてからの主戦が不在であった。

09年春にスクリーンヒーローへ騎乗。これがまるでさっぱりだった。

08年秋にロジユニヴァースを獲得。後のダービー馬である。

09年最大の事件はブエナビスタだろう。アンカツが構えすぎて前が捕まらなかったエリ女で最も早く動いた男がカワカミプリンセスの横ノリだった。カワカミプリンセスは同レースで引退であったが次の馬を得た形。ただこのコンビでは一定の結果を残すがグランプリではステイゴールド産駒に敗れてしまう。

などなど幾多の名馬へ騎乗したが・・・この時代は馬の奪い合いがヒートアップした時代だ。そういった中で横ノリが一人の「名手」として名馬への騎乗を得られたのは件のマジックが理由だと思う。「ノリなら・・・」と思わせられる大きなアピールポイントだろう。

誰だって「あなたのところの名馬、前で折り合ってみませんか」とエージェントが営業に来たら「お、それなら春いっぱいまで頼むかな」ってなるだろう。またカンパニーが08年春~09年冬まできちんと仕事してくれたもの。競争生活の最後に見せたG1二連勝は強烈過ぎる。

ノリマジックの拠り所は追い込みと大まくりににあり、それは北米のパワーを背景にしたものだった。パワーでズバッと加速して後方一気、パワーでまくってそのまま差しきる、といった風の競馬だった。

しかし北米血統は欧州の前向きさと粘り込みの裏返しでもある。それを逃げという手段で表現したポッセ直系のセイウンスカイともまた手が合い、ここから「Fair Trial+NasrullahHyperion」との深い繋がりが産まれた。

つまりそれはSpecialの血であり、トニービンである。ネオユニヴァースもギリギリ含まれると思うし、「サンデー✕Lyphard+ハイインロー」もそうなのではないかと思う。有効範囲が実に広いのだが・・・やっぱりトニービンやSpecialでガツンッと決めておきたい。ディープ✕ファルブラヴトニービンハープスターとか、ネオユニ✕トニービンデスペラードとか。

またNijinskyマルゼンスキーのラインとも好相性なのが面白い。直近ではサクラゴスペルクラリティスカイがあるし、ワンアンドオンリーとて母父タイキシャトルNijinsky系だし、ホクトベガNijinsky直系だし、極めつけはNijinskyクロスのブエナビスタだ。

もう一つ言えばDanzigともだな。デインヒル直仔のツクバシンフォニーとか母父Green Desertロジユニヴァースとか母父デインヒルココロノアイとか母母父Danzigワンアンドオンリーとか。

メジロライアンを代表にノーザンテーストとも相性が悪いわけじゃないしなぁ。カンパニーがそもそも母父ノーザンテーストだし、ステイゴールド産駒とも手が合うイメージだもの。

もしオルフェーヴルドリームジャーニーから化物が出た時には横ノリの出番かもしれないな。ただドリームジャーニー産駒は中団からまくってなんぼだからノリのイメージではない。折り合いに困る様な産駒は出てないからなぁ。今のところステゴマック配合の子どもは凶悪とも言えるスピードを見せていない。

かといってステイゴールド産駒からオルフェーヴルが産まれることを予期していたかと言えばそうでもないし、そこまでではなくともココロノアイみたいな牝馬もいる。これからこれから。

むしろエピファネイア産駒に期待したい。ヌレサドニアリーやマルゼンスキー弄り、どちらに転んでも横ノリには良好だ。あの気性を伝えるのであればより有力馬への騎乗は増えることだろう。

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