オルフェーヴルの靭やかさはどこから出てきたのかはさっぱりで、おそらく配合に対して直球に出たのは全兄のドリームジャーニーだと思う。ただあの華麗なる瞬発力はVictoria ParkとNasrullahから派生したものにも思え、つまりそれはNantallahではないかと。
Nantallahスピードで走るのであればディーマジェスティとの共通点と言える。
ただNantallahスピードとは何なのかって話でもあって、たいていの経由がThong-Specialなのだからこの路線で間違いはないだろう。つまりナスペリオン✕Lady Jororに米血統を組み合わせ、高度なレベルでそれを両立させること。
実際のところ、それはサンデーサイレンスの面目躍如である。La France=La Ramblaは伊達じゃない。
この血統はNantallah≒NashuaとVictoria Parkへ繋がる。ちょっと珍しいところではTo Marketがあり、よくあるところではNijinskyやStorm Birdなどのノーザンダンサー系がある。ちなみにStorm CatはオルフェーヴルやBold Commanderと同じCherokee Rose牝系で、エレクトロアート≒Storm Catという手もあるんじゃないかとも思う。オルフェの仔では、
オルフェーヴル✕ストレイキャット(キャットコインの4分の3妹)
オルフェーヴル✕ウィキッドリーパーフェクト(ハートレーの妹)
などがあり、ほとんどが社台系列だ。なお5代以降までnetkeibaの検索は対応していないので調べられない。同様の理由でBold Commander持ちやBold Bidder持ちなどの検索は難しい。ディーマジェスティの近親にもオルフェーヴルとドリームジャーニーの仔はいないな。
まぁ実際のところヌレサドでニアリーかました方が率は上がるだろう。Nantallahのクロスをいれた方が断然賢い。あとはサンデーサイレンスクロスでどれだけ成功するかってことになるが・・・濃ゆい相似配合より4分の1異系がベターだろう。だけどそれを満たす繁殖は決して多くないし、強いクロスを入れるなら工夫が必要だ。一発が出るかもしれないが出ないかもしれない、リスキーである。
Wild RiskやSicambreのRabelais的な弄りも見たいよねぇ。ラブレーラブレー言い始めたら終わりが見えないんだがな。だってNearcoもラブレーだし・・・。いつかきちんとまとめたい題材なんだけれどなぁ。
脱線したな。大雑把にいうとオルフェーヴルの頑強とディーマジェスティの頑強、その大元は同じなのだわ。ただ派生の仕方がメジロマックイーンにRoberto✕Bold Reasonとで異なる。そのズレを父の違いで処理しきれたのかが焦点だろう。ディープへの周到なCosmic Bombアタックと、ステゴへのTourbillon祭り&ノーザンテーストクロス。
大元が同じであるG1馬なのだ。これがまるっきり違う結果へ傾くとは考えづらく、おそらく同じような状態へ馬を持って行っているのではないかと思う。重賞勝ち程度なら理想形への誤差があってもやれるのだが、G1勝ちということになると誤差は限りなく小さい。大元から導き出される理想形はほとんど同じなのだから似ているはずだ。(暴論)
ていうかやってることにズレがあっても構成する血統はほとんど同じなんだよ。ディープもステゴも同じ柔らか血統であるし、それに強烈なフランス的北米的頑強をぶつけてゴリゴリと靭やかに動く馬にしたのも同じ。だから似ているはずだ。(暴論)
あの「僕はパワータイプです!」みたいなピッチ走法なのに、スピードが乗った瞬間に首がスッと下がり推進力たっぷりにストライドが伸び始める鋭い走りは絶妙。
だからこの春の主役はディーマジェスティなのだと考える。この馬の底はまだ見えず、ただの道悪巧者と高をくくってはいけない。ディープ産駒「だから」最後のストライドが伸びるのか、ブライアンズタイム✕Sadler's Wells「なのに」伸びるのか、それがまだ見えてこないのだ。前者であればあのハイペースを踏破する能力はないのだが、後者を消去法的に決めるには尚早である。
オルフェーヴルと比較したけどブライアンズタイムの方向から次は考えようか。そういえばマヤノトップガンも首がグッと下がるタイプだった。
[追記]
しかしレースを見れば見るほど惜しい。マカヒキがもっとエアシャカールしていればディーマジェスティの右ムチ連打の外回しをまくり殺せたのに。あそこで一息にまくれないのがマカヒキの(中山を走る上で生じる)弱さなんだよなぁ。
ディーマジェはピッチでスピードを乗せられるのが大きくて、これはピッチ走法というよりパワーが強いから出来る芸当だろう。坂を駆け上がりながらも最後の最後にもう一度スピードを乗せられるところがCourt Martialらしい。あれが出来たからジェンティルドンナも有馬記念を勝てた。
つまりそれはHaloではなくHail to Reasonの頑強由来であり、Haloの軽快なスピードではなくサンデーサイレンスそのものを弄った好配合だからこそ出来た芸当でもある。明らかに諸刃の剣なんだけれどねぇ。同配合馬の10頭中9頭はパワーに傾きすぎて函館や渋った馬場でしか買えない馬になっていたはずだ。サンデー自身はダート馬だから。
それもやはりCherokee Roseを基礎とした名繁殖を母系に持つから出来る芸当であり、サンデーサイレンスの正統進化にこの血は欠かせないことがこれからも証明されていくのではないか。サンデー✕Cherokee Roseの中距離G1勝ち馬があまりにも多すぎる。
まぁ暴論くさいのは承知なんだけど。
しかしサンデークロス初の重賞勝ち馬がCherokee Rose持ちから出たのは確かだ。ノットフォーマルはMajestic Lightを通じてDynamoを持つ。
ていうかBe My GuestやMajestic Light、Bold Commander、スデューペンダス、Storm Cat、Icecapade持ちを挙げるだけでいいんだから楽なものだわ。ジャスタウェイでしょ、キズナでしょ、ミッキーアイルでしょ、ラキシスでしょ、エイシンヒカリでしょ、ミッキークイーンでしょ、アユサンでしょ、リアルスティールでしょ、
・・・マイル勝ちのディープ多すぎるわ。
あれ、キンカメのCherokee Roseはダートや短距離に傾くな。ロードカナロアにホッコータルマエがある。二頭とも非サンデーなのも共通。
そんでカレンブラックヒル、いきなり飛んでジェニュイン、サイレンススズカ、ゼンノロブロイ。
これにオルフェとドリジャニとディーマジェ入れて、か。3歳マイル勝ちのミッキーアイルとアユサンとカレンブラックヒルをいれてこれなんだから案外少ない。もちろん漏れもあるだろうけれどねぇ。
何よりディープ率が非常に高い。いやディープというよりMr. Prospectorの方向なのかね。SSMrBuの代表格二頭がいらっしゃるわけだしな。あるいはNashua≒Nantallahか、はたまたRibotか、
牡馬に偏っちゃいるがラキシスとアユサンとミッキークイーンに共通点はあるだろうか。ミッキークイーンのハイペース適性の証左にはなりそうだがラキシスとアユサンの能力を語るには対して役に立たないぜ。
また外回りタイプと内回りタイプが混在しているのがね。流石にCherokee Rose一つで語るには血が遠すぎる。もうちっとまとめ上げなきゃならん。特に嵐猫はSecretariatという強力な血を持つだけにオリジナルになってるな。
ジェニュインを語るのには少し役立ちそうではある。嵐猫組を除けばハイペースでゴリゴリ行くタイプが多いからねぇ。
あっ、IntentもCherokee Roseか。したらIn RealityもCherokee Roseなわけで・・・。フジキセキやリアルシャダイが加わってくるぞ。そしてアグネスタキオンも、Unbridledもだ。ラブリーデイにイスラボニータにダイワスカーレットにトーホウジャッカル、ここらへんのメンツが加わるのか。大変だ。スローの帝王が加わってしまった。
いや、スローの帝王と言えども中山2000mのコースレコードホルダーだし・・・。
しかしこの傾向通りなら春天でCherokee Roseの出番はないな。ライスシャワーやイングランディーレ、アドマイヤジュピタを輩出したリアルシャダイには気を配る必要はあるだろうが。それでも非サンデーのリアルシャダイなど現れることはあるまい。
[fin]