砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

硬い血統

ブライアンズタイムはダートの鬼を輩出し続ける化物血統で、ノーザンテーストも柔らかすぎるステイゴールド産駒を頑強なムチムチお化けを雨あられと輩出する大種牡馬

この二頭が出会うとそりゃ当然カッチコッチでまともに動かないべや・・・と。しかしここに偉大なる例外が存在する。スカイディグニティ(菊花賞ゴールドシップの2着)とレインボーダリアエリ女ヴィルシーナ破り)である。

そもそもブライアンズタイム産駒がカッチコッチだったかと言えばそうではないことは誰もが承知していることで、流石にサンデーサイレンスにゃ負けるけれどナリタブライアンマヤノトップガンを代表としてG1級の靭やか名馬を輩出している。それはノーザンテーストとて同じこと。

だから上記の2頭が京都の長丁場で一発ぶち当ててもおかしい話ではない。しかし血統論としてはその根拠が必要である。

ディグニティの場合はBold Bidderの作用が大きかろう。

レインボーの方もRivermanが大きい。

かといってナスキロを入れたことが重要であるかは別だろう。G1ホースとはそんなに甘いものではない。特筆すべきは、これらのナスキロとブライアンズタイムノーザンテーストの靭やかさが噛み合ったことなのだ。

どんなに硬質な血統であっても一筋の靭やか血統を糧に現役を生き抜いたのである。例えそれすら硬質なものであっても、実際にそうなってるんだからそうなんだよ。(投げやり)

それではブライアンズタイムの、ノーザンテーストのそれはなんであるかと言うと。

Alibhai&Lady Angelaに対するSir Gallahad✕Flambetteの血族がまず一つ。

もう一つはTraverse(TrafficとTransmuteの母)とTeresina(AlibhaiやTurkahanの血族)の出会いではないかと思う。一言で言えば「Tranceryを基幹とした何か」だ。

この血は父母英血統の米国産馬だが現役時代は欧州で送っている。1909年の産まれであるから禁酒法時代にはいささか早い。単純に遠征してきたのか、あるいはイギリス人が買って走らせたのか。ともかく欧州を拠点に走り、欧州を拠点にその血を伝えた。

有力な経由はPapyrusRibotPrincequillo、Specialにこの血は見られる。

「父系馬鹿」さんのブログによるとアルゼンチンで発展したCopyrightが最も父系として発展しているらしく、俺は必死にアルゼンチン血統を思い出したのだけれどペルーサくらいしか出てこなかった。でも例として結構良いところをついていると思う。あとはポトリザリスとかかな。

最近流行りのアルゼンチン娘と言えばサトノダイヤモンドの母マルペンサ。しかしこれにはCopyrightの血統は見られない。他にはクルソラ(ピオネロやクルミナルの母)とかかな?

いや、確かに見覚えがあるのだけれどねぇ。どこで見たかなぁ、と。

しかし母系に潜った場合はそれよりもたくさんの広がりを見せていて、その殆どはスタミナやパワーに偏った血統の中に見られる。靭やか血統には見られないね。TranverseとTeresinaもTraceryの娘だけれど、両者ともに米血統と一緒に伝わっている。

もしもこの血がRibotPrincequilloの持つスタミナ源となる靭やか血統であるならば・・・ブライアンズタイムノーザンテーストもこの靭やかさで走っていると言える。汎用性抜群だぜ?Lady Angela、ひいてはNearcticからも引き出し得る靭やかさだ。

そしてディーマジェスティオルフェーヴルを語るに欠かせない「国際色」にも一役買う。

Ribotはイタリア

Princequilloアイルランド産まれのアメリカ発展

Special(正確にはAdvocate)はアルゼンチン

Tranverseはフランス生まれのアメリカ発展

Teresinaはイギリス

深い関わりを持たないように思えるのはフランスくらいなもので、ドイツなんかはキングズベストワークフォースの血統を見る限りじゃTracery直系馬をちょこちょこ使っている。これはフランスがPrince BioやTouribollonなどの靭やか血統を自前で用意出来ていたからではないかと思う。

しかしフランスはTeddyも好きであるし、Rablaisも好きなのだ。これがTracery血脈の成れの果てであるLa France系の馬と脈絡する。ステイゴールドの靭やかさはこれを由来とするのではないかと推測もできよう。

ただ、Traceryの父Rock SandはMan o' Warの母父でもあり、これは緊張と緩和を繰り返しながらIn Realityを輩出した父系である。他にWar AdmiralやEight Thirtyらとの関連性も深く、いささか反応に困る。

そりゃ硬い血統にも一筋の靭やかさ云々とは言ったさ。けれどこれは別じゃね?と思ったり。これを解決するためにはリアルシャダイを掘り掘りしなきゃならない。Rock Sand自身は英三冠馬らしい胴長で靭やかそうな馬なんだ。それでも後駆に比べて前駆がマッチョすぎるかもしれないな。前足でゴリゴリ動きそう・・・。

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