早々に現れたダノンシャンティの化物、それがスマートオーディン。
サンデー✕Alzao✕Bustedはディープインパクトと同じで、性能をみてもディープ産駒を思わせる。イメージとしてはマーティンボロとかに近いかと。
体全体は父に瓜二つなのだが後駆の非力な感じがマイラーと中距離馬の差であろう。この後駆の作りはモチジュン先生が仰るには「Habitat的」である。
これをもうちょっと上手いこと説明できないものかなぁ・・・と思うんだが。難しいよねぇ。
この作りを発現させた馬ってのはスーパーホーネットが代表例とモチジュン先生もおっしゃられている。その他にグランデッツァやケイアイエレガント。
問題として、これらの馬から共通点を見出しにくいことがあるだろう。
例えばグランデッツァとスーパーホーネット、ケイアイエレガントにはトライマイベスト=El Gran Senorという共通点があるが、スマートオーディンはそれを持たない。
ケイアイエレガントとスマートオーディンはSir Gaylordクロスだが、グランデッツァとスーパーホーネットはそうではない。
最も大きな共通点はケイアイエレガントとスーパーホーネットに共通するBitty Girl=ホットスパークになるだろうか。この観点から何か見つかりそうではある。
全頭に共通するのは近い代で「Royal Chager=Nasrullah」をHabitatに対して発生させていることだろうか。
グランデッツァとスーパーホーネットとケイアイエレガントはFlaring Top持ち。これ、トライマイベスト=El Gran Senorと持っている馬が同じだね。
一方で、グランデッツァとケイアイエレガントはラストタイクーンを持っている。それに伴ってMill Reef持ちはスマートオーディンが加わる。
ナスペリオンの観点からは
ケイアイエレガント~Special Hornbeam Mill Reef
スーパーホーネット~Strictly Speaking Sally Stark
とりあえず、スマートオーディンからは中距離馬の臭いがしないということだな。救いはBustedとVaguely NobleとAlycidonくらいなものか。これらの中距離的Hyperionを濃厚に含んでいるところが救いでもあり難しさでもある。
というのも、Habitatを基調としている以上はRoyal Chagerが肝となる。そうなるとSolario弄りも行っていなければならず、それを行っているからこその重賞2連勝である。
キタサンブラックと似たことをしているのだが方向性が真逆なのだ。中長距離の自在型粘り馬と切れ味抜群の気性難マイラーであるからな。
ちょっと前へ陣取っただけでやる気を失ってしまうモチベーションの難しさはヴァンセンヌも持っていた。Burghclere≒Aureoleがその理由だろうし、スマートオーディンもAureole≒Alycidonであるのだから理屈は成る。
そうなると更なる距離延長に加えて相手が強化されるダービーでは買うことは難しい。京都がベストコースであることは間違いがないのだし、これは1年後のマイルCSで狙うのが一番良いのではないか。
総評。マーティンボロとヴァンセンヌに似た配合形。最大の特徴はMill Reef系のマイラーMark of Esteemを引くこと。
Mill Reef(4分の1Tourbillon=Lalun)
→Shairley Heights(4分の3The Tetrarch)
→Darshaan(LalunのTeddy✕Tourbillonを強く刺激)
→Mark of Esteem(ナスキロ✕Hypeion✕Tom Fool✕Pretty Polly)
Darshaanまではフランス血統中心の配合となっている。Mill Reef系において最も繁栄している血統である理由がMark of Easteemの配合からも読み取れる。つまり流行血統に対する受け入れ体制が整った配合形なのだろう。ダラカニなどもそのパターン。
スタミナがある零細血統であるから現代競馬の中距離スピードを受け入れることを可能とすれば繁栄は容易い。好配合云々よりも相手に困らないタイプの繁殖なのだろう。フランス製のイギリスな馬で、相手にはアメリカンが好ましい・・・配合のお手本。
アメリカ産まれの名門牝系Glorious Songにそれを重ねてシャンソネット。それに最強の米血統サンデーであるフジキセキが入ってダノンシャンティ。この種牡馬から中距離馬に出そうというのであればTourbillonを弄らなければならないだろうね。
しかし弄りを加えているのはSir Gallahad=Bull DogやNasrullah=Royal Chager、Princequillo、Pretty Pollyである。特にHabitatやLady RebeccaによるSir Gaylordクロス+Roman≒Little Hustが目覚ましい。
そしてフジキセキのLe Fabuleuxを刺激しているところも面白い。SolarioとPretty Pollyの共演というのはキタサンブラック的で、使っている血統(BustedやTular、Dastur、Le Fabuleux≒Worden)も似通っている。
ここが少しパラドックス気味なのだよねぇ。フォトパドックでも「今の体形なら2400mは十分対応できそう」と書かれていて、血統を抜きに見ればまったくもってその通りなのよ。
ただ、配合そのものを考えるとどうしてもね。2400mG!で買うのはあまりにも難しい。素質を否定するわけではないんだが、どうしてもダービーで買うべき配合とは思えない。
ブラックタイド産駒とディープインパクト産駒とスマートオーディンの大きな差は後駆の作りにあるだろう。ブラックタイドはSolarioな後駆、ディープはFair Trialな後駆、スマートオーディンのそれは本当にHabitatなんだ。
スーパーホーネットとくらべてみると本当にそっくりだ。
しかしマイルCS2着の時のスーパーホーネットよりもずっと端正な馬体であることは間違いない。今のままでマイルCSを踏破出来るかと言えば怪しいし、本格化した時に重心が下がるとも限らないのだ。
この脚の長さは中距離馬のそれでもあり、また関節が柔らかい分だけ距離の融通が効く。しかしいつか関節周りが固まってね、ただただ俊敏に動き続ける様な馬になっても驚けないと思うだ。前残りの京都新聞杯をただ一頭スポーンと差し切ってしまった速さってのは中距離馬のものではないよ。
ただし、と置く。
トーセンラーがそうであったように得意の舞台であれば調教具合によって距離の融通が効く馬ってのはいるんだよね。たとえそれがG1の大舞台であっても。
実際、Solario後駆のキタサンブラックだって中距離馬の身でありながら春天を押し切ってしまったわけだ。G1級の器用貧乏ってのがこの世には存在する。
マツクニ厩舎はNHKマイルCと日本ダービーの二連覇を目指すローテで有名であり、そのあたりの調教具合ってのは心得ていると思うのよ。修練によって馬の距離適性をシフトさせることは可能であり、マイルのスピードもダービーのスタミナも表現できる馬が種牡馬として有用である。それを証明したダービートレーナーだからねぇ。
スマートオーディンもその二面性を持っている可能性は否めない。Aureole≒Alycidonのスタミナ、Habitatのスピード、それをスマートオーディンは持っている。
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