砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

オルフェーヴル✕キングカメハメハは短距離馬を出すのではないか その2

前回の復習

オルフェーヴルの中距離的靭やかさはSir Gallahad=Bull Dog✕Flembetteによるもの(だろう)


1 メジロマックイーンに対して

より厳密なことを言うとFlembetteはDubar-Rablaisと共に伝わることがほとんどである。Teddy✕Dubar(Rablais)のフランス血統はメジロティターンの根幹を為していて、ここに脈絡するのは面白い仕組みである。

ステマステマと言って、「母父メジロマックイーンだから」とただ単に言うだけでは「父父サンデーサイレンスだから」と同じ域を出ない。そのくらいの単純さも必要ではあるが、血統論とは突き詰めすぎて馬券をハズすくらいが調度良い。

なのでメジロティターンメジロオーロラの二つに分断して考えるわけだが、そうするとこの二頭が異系同士であることが分かるだろう。ティターンは仏米蜜月配合のお手本の様なものだ。対してオーロラは英血統の偏りが非常に強い。

「父が米仏、母が英」

こういった配合は意外と少ない。ましてやTourbillon直系であればなおさらだ。父のスピードで母のスタミナを発現させるって仕組みはベタなものであるが、米仏スピードとは非常に中長距離的なものである。ここにスタミナたっぷりの英血統を取り入れるというのは当たり外れの強い緊張と緩和だろう。

My Babu直系✕Alycidon直系の同牝系配合がそれを和らげるのだね。ほぼ純英であるメジロオーロラからしたらメジロティターンに対してアプローチ出来るところはパーソロンしかなかった。Pharos✕Swinfordの短距離力を刺激し、それにGainsboroughを加えてTurn-to的トライアングルを形成するのは非常に合理的である。

2 メジロマックイーンへのスピード注入

Turn-toスピードが有望視されるが相性はイマイチであった。地方重賞複勝圏を捉えた馬が数頭出る程度であり、中央の重賞を勝った5頭のうち3頭が非Turn-to。残りの2頭は母父サンデーである

基本はやはりNijinskyなどを使ったSir Gallahad=Bull Dogアタックで、それと同程度にMan o'Warの血が重視された。そしてFair Trialも好成績である。Tourbillonへの脈絡を好むLyphardを持つ産駒も多い。母父Sadler's Wellsも重賞勝ち負け級にはいるのだが微妙であった。

これらの傾向を見る限り、どうもMy Babu✕AlycidonへのアプローチとしてTurn-toを盛り込むのは時期尚早であるようだ。成功例である二頭でも、ヤマニンベルメイユはTurn-toクロス、ホクトスルタンHail to Reasonを持つのは偶然ではないだろう。繁殖牝馬側で受け入れ体制を整えなければならなかった。

よくよく考えてみると当たり前の話である。メジロマックイーンは非緊張の種牡馬であるのだから、強いクロスを持つ繁殖牝馬を好むのが道理だ。柔らかく包み込み、その上で表現してみせるダンディズムがメジロマックイーンの真骨頂。

オリエンタルアートの場合はノーザンテーストのLady Angelaクロスを緩和しているのだね。その上で全体的に血統が脈絡するのが素晴らしく、真の意味で緩和しているのはVictoria Park✕Nantallah間のFlaresクロスであることが興味深い。

3 オリエンタルアートの緊張

My Babu6✕5

Nasrullah7✕5

Royal Minstrel6✕7*8

Alycidon≒Lady Angela5✕4*5

などが代表的なところかと。「Pharos✕Gainsborough✕Swinford」の組み合わせを並べるのは骨かな。NearcticやDhow、Alicideなどがあるけれども・・・この組み合わせは非常に原始的なものであるから派生パターンが広いのよ。

更にThe TetrarchTourbillonとTeddyが加わってね。この6つの血統が緊張と緩和を重ねながら現代に繋がってくるわけよ。7代血統表を作って一つ一つ埋めていかなきゃ把握しきれない。

NasrullahとMy Babuの関係も面白いし、それにMahmoudが加わってくる。ココらへんのニアリークロスが強いのもオリエンタルアートの特徴で、その集約がNantallah✕ノーザンテーストへ繋がるから本当に難しい。

更に米血統がさりげなーく繋がっているんだよね。Dominoの血統がちょこちょこ脈絡しているのが厄介である。Ultimusなんかは累代でクロスが入っているはずだね。MenowとNantallahとVictoria Parkと・・・あれ、メジロマックイーンは非Ultimusだ。Blue Eyed MomoでDomino血統が入ってはいるんだが、この血統構成ではそこまで強い緊張は施されていないな。

これならメジロマックイーン産駒らはWar Relicなんかを使うことになるわな。Blue Eyed Momoを使わないことにはTeddyを弄っても効果を見込めない。オリエンタルアートはBull Dog=Sir Gallahad絡みのDomino血統を積み重ねることで条件をクリアしたのか。

4 ステイゴールドの配合形

オルフェーヴルの血統表で最も目立つのがノーザンテースト3✕4である。

であるが、やはり重要であるのはさりげない脈絡である。「Pharos✕Swinford✕Gainsborough」のトライアングル+αに目を向けてみると・・・少しだけ面白く感じるかも。ロイヤルサッシュの血統を見て欲しい。

Nasrullah~Pharos✕Rabelais✕Swinford✕The Tetrarch

Blue Gem~Fairway✕The Tetrarch✕Swinford

Sylko~Pharos✕Rabelais✕Gainsborough✕Swinford

母父Prince Chavalierを異系とした強烈な相似配合となっていることが分かる。これにノーザンテーストが入ると・・・数えるのが面倒な状態になるわけだな。Nearco4✕4*4かつNearcticNasrullah✕Blue Gem✕Sylko3✕3*3*3の強烈な配合となる。

Nearctic~Pharos✕Rabelais✕Gainsborough✕Swinford

そこにディクタスが入って強烈な緩和を施すこととなる・・・というのはモチジュン先生がステイゴールドを語る際によく仰ることだ。しかし緩やかなクロスは継続されている。でなければサッカーボーイなどの名馬が産まれるはずがないのである。

Dulzetta~Pharos✕Swinford✕Teddy

Worden~Rabelais✕Swinford✕Gainsborough✕Teddy

Sanelta~Tourbillon✕Teddy✕Swinford✕GainsboroughThe Tetrarch

Fine Top~Gainsborough✕Teddy✕Swinford

色分けすると分かりやすいと思うのだがそこまで頑張ることは伊佐坂先生難しい。データ作んぞ!ってなると違ってくるんだけれども、今回はただ考えるだけだから・・・。

また正確に考えるならMahmoudないしAlmahmoudも加える必要もあるんだ。そしてこのくらいの濃度になるとSwinfordではなくBlandfordって話になるし、BlenheimだのMahmoudだのって話になってくる。実際、Rabelaisと表記するのではなくTourbillonとしてしまったしな。

まぁ雰囲気だよな。WordenだのNorthern DancerだのPrincely Giftだのと言っても構成している血統には大きな違いがないってこと。そして現代競馬に大きな影響を与えているNearctic-Nothern Dancerと脈絡するのだから、偉大な血統の影響を受けざるを得ないということ。

そしてその中で何が表現されるのかを探さなきゃならないってこと。大変だ。

ディクタスの大きな特徴として・・・上記の血統群を見てもらえれば分かるのだが、Pharosを一本しか引かないことが分かる。そしてSwinford-BlandfordWild Riskという大種牡馬から引いていることで、スタミナ化が強そうであることも分かる。

ダイナサッシュの持つSwinfordをスタミナへ変化させることが期待される。だが牝系奥で積み重ねられたものを跳ね除けられるかと言うと少し違うようだ。サッカーボーイはマイルG1を2勝した名馬であったし、そもそもディクタスもまたマイラーであった。

ステイゴールドの代になるとスタミナが発現した。この仕組みはなかなか面白いものである。なんたってディクタスもノーザンテーストPrincely Giftも短距離馬であったのだ。

この仕組みの正体はどういったものであるかというと・・・

ディクタスのTeddyをノーザンテーストが始末していたわけだが、その主導権がHail to Reasonへ移行したのだね。加えてHyperionが周りを巻き込んでスタミナ化したことも伺える。サンデーサイレンスの素晴らしきはHyperionを巻き込んだ上で柔軟に動けることだろう。

その3へ続く。

[fin]