砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

宝塚記念の時計事情

ゴールドシップが躍動し、ラブリーデイがぬけ出すここ3年の宝塚記念。だがこれらの年はとてもG1級の時計で決着していない事実がある。

阪神2200mのレコードはアーネストリー&サテツが押し切った11年の宝塚記念に記録された。ここ数年の宝塚はそれに比べて3秒以上遅いのである。OP以上の平均が2分11秒7であるのだから、まぁぶっちゃけレベルが低いと言わざるをえない。

だがそれは時計の話である。G1を二つ三つ・・・六つ勝ってしまう馬が35秒や34秒で押し切るレースに対し、レベルが低いとかそんなこと言えるはずもない。そもそもゴルシの場合は雨であった。

そもそも論として宝塚記念の馬場は極悪である。梅雨時に開催が行われて馬場が荒れ放題。中山のように大規模な馬場改修が行われているわけでもないからホントに荒れ放題。

東京の水はけはかなりのものであるし、また直線の長くて複合コーナーも非常に淀みない流れを演出する。負荷の強い4角周辺が荒れないとは言えないのだが、そんなにひどいことにはならない。あるいは、ひどいことになっていても目にする機会がない。エプソムカップで芝重賞が終わるから。

なので11年の馬場が異常であると言える。前3Fを33秒6というスプリンターズSも真っ青の高速展開に付き合っての押し切り・・・こんなことが出来るからこそサテツは唯一無二である。重賞でならば函館SSマルキョウの如く、あるいは巴賞で丹内が見せたマイネルミラノの押し切りの如く、そういった流れ込みで勝ちきる馬と騎手は少なくない。しかしG1でそれをやってのけ、その上でポンポンとG1を勝たせてしまうサテツは本当に素晴らしい騎手だったのだ。

モチジュン先生が佐藤哲三騎手の駆るキズナも見たかったと仰るのもそこであり、エイシンヒカリの様な逃げを押し切りをキズナで行う可能性があったのだ。その結果に日本ダービー制覇、凱旋門賞への挑戦があったかは別なのだが、きっと競馬ファンを楽しませる騎乗を見せてくれたに違いない。あるいはエピファネイアの様な勝ち方をしていたかもしれない・・・という夢想もあるがね。

阪神2200mそのもを考えると、やはりスローになりやすいコースレイアウトである。スタート直後に2mの登坂を控えているのだ。残り1000m地点から下りが始まり、3角4角直線と勝負どころを迎える。そういうレイアウトなら前半スローのロンスパ戦へ持ち込むのが道理・・・と言わざるをえない。

また2200mをよどみなく逃げて押し切るタイプの馬もいないのだわな。いるにはいるのだが、その素質を開花させてこのG1へ挑んでくる馬は皆無である。開花させる騎手はいるのだが阪神で面白い騎手でもないのだわ。

今回はドゥラメンテがいるからねぇ・・・。そして前には菊花賞春天を勝ったキタサンブラックだ。他のメンツが一体どちらをマークするのかを知る術はないのかもしれない。まぁわりかし好き勝手するタイプが多いわけで、ショウナンパンドラに池添が乗っていれば違うのかもしれないがそうではないからな。ヤマカツエースでマーク戦術をするほど暇な男でもあるまい。

にしても4角がごちゃつきそうでごちゃつかないメンバーだな。ぶん回す馬、スマートにまくる馬、スマートにはまくらない馬、インを突く馬、こりゃ楽しいぞっ!

そういう時は間違いなく好位からヌルッと差してくる奴が勝つんだが、ドゥラメンテ皐月賞でおかしな勝ち方してるからねぇ・・・。あれは本当に意味の分からない勝ち方で、あの形でリアルスティールが勝てないのは本当におかしい。勝ち馬はリアルスティールで変態はドゥラメンテ、という結果だった。

ドゥラメンテはちょっと隙がないな。京都ならやりようはあると思うんだが、東京と阪神で負けるイメージがまるでわかない。そりゃアンビシャスの差しとか怖いものはあるけれど、ドゥラメンテとて早熟血統ではないからな。むしろアンビシャス以上の晩成血統であるのだ。本当にこれは怖い話。

アンビシャスは胴体が比較的安定しているところがあって、それはエルコン的というよりMixed Marriage的である。それに対してBlushing Groomを重ねたあたりを非凡であるし、更にエルコンというのが妙味ありすぎて鼻血出る。

つまり函館SSで語ったウォーニング-Known Factの働きに対してエルコンドルパサーという菊花賞血統を配したのがすごいのだ。スプリンターもステイヤーも仕組みとして大きな違いはない。胴体を安定させて燃費良く走るという観点で何も違わない。

中長距離✕短距離という配合のカーニバルソング。これに配したのがディープインパクトという中距離的靭やかさにおける最強血統なのだからもっとすごい。胴体の安定をそのままに後駆と前駆がまこと靭やかに躍動する馬となった。

後駆を踏み込む時に、沈み込んだ前駆に対応するようにケツがスッと持ち上がるのよ。持ち上がった状態から後ろ足が鋭く前へ切れ込んでいくところが格好良い。

そこら辺はアンビシャス配合論にて細かくやろうと思う。

というより、4歳馬の配合論で大体の予想は終わると思う。

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