ここ数年の函館記念で逃げ先行馬が残ったパターンは
アンコイルド 吉田隼人 2、3番手 2着
ミッキーパンプキン 池添謙一 3番手まくり 3着
ドリームサンデー 池添謙一 2番手 3着
逃げ~3番手集団でも最強なのが池添謙一。落ちてくる逃げ馬をナイスタイミングで交わしてみせる天才。
基本的に勝ち負けに絡んだ馬は4角でポジションを動かしている。3角でポジションが動いているのはマイネルスターリー、トランスワープ、ミッキーパンプキン、ダークシャドウ、ダービーフィズ、ハギノハイブリッドなど。
前の馬が大チョンボやらかして勝手に落ちてくる昨年の様なこともあるので一概には・・・ね。外国人騎手は異様なほどに3角あたりから捲りかかっていくのだが、それがまた残るのだから不思議なもの。
三浦皇成のステラウインドなんて9-6-7-7という歪かつ素敵な通過順で走っているからな。これは緩めに正面を抜けていって、コーナーワークでスルスルとポジションを得たのだね。向こう正面の登坂区間では全く動かず、むしろまくられてしまったほどだ。
もう内枠の馬がスルスルと素晴らしいラップを刻んで自由に動いてしまったら勝ち負けよな。
ところがアスカクリチャンが7-10-12-6という変なラップを刻んで3着まで差し込んでいる。これは全盛期の岩田が見せた、外から内に入れてしまう神騎乗で全方面(馬主調教師馬券ファンetc)から信頼を得ていたころの騎乗。
ここでもう一つ書いておきたいことがあり、それは基本的に函館を得意とするのはまくりの名手ではなくイン差しの名手であること。「京都外の最内とかどうやって差し込むんだ。アホじゃないのか」みたいなタイプがいい。
アスカクリチャンは別にピッチで俊敏に動く馬ではなくて、それでも最内を機動しながらスルスルと差し込んでくるのだからおかしなことになっている。函館の常識からしても、七夕賞で大穴をぶちかますNijinskyが突っ込んでくるのはおかしい。
これを持ってくるからこそ岩田はすごかったわけだし、この時の騎乗が頭にあるからこそ、今の岩田はスランプだと言える。血統面ではちょっと説明がつきづらい結果を叩き出している。
ジェンティルドンナが内を捌いてオルフェーヴルを凌ぐってのは分かるんだ。けれど函館記念でNijinskyが内を捌いて突っ込んでくるという理屈は本当に謎すぎる。変に函館のセオリー通りの騎乗で突っ込んできているから謎が深まる。
いやね、アスカクリチャンが七夕賞の大外をダラダラと突っ込んでこなけりゃ納得できるのよ。スターリングローズはアフリート✕Danzig✕Buckpasserで、ダイナレターマルゼンスキーだもの。うん、小回りで上手いことスルリと加速しそうな配合。
血統だけみたら上位3頭には共通点は多々ある。米血統スピードを色濃く伝えられ、欧州のHyperion的なスタミナが縁の下に控えていた。やはり函館記念で狙うべき傾向である。
だがアスカクリチャンは七夕賞で変な勝ち方するくらいにNijinskyという米血統スタミナを受け継いでいたのである。
まぁ・・・うん・・・うん。元から変な馬だったからな。36秒きっかしの上がりでデンデコデンデコと七夕賞を勝ったと思えば、その2戦後の新潟記念では32秒6の上がりを叩きだして3着を得た。瞬発力と持続差しを両立している。
この点を思えばAR共を勝っちゃうことは想像できた。つまり、七夕賞の勝利はNijinskyだけを発現させた穴馬のものではなく、中距離馬としての高い素質とNijinskyスタミナを兼備した重賞馬のものだったのである。
仕組みとしては「4分の3ND、4分の1アフリート」であり、アフリートってのはミスプロナスキロトムフールだからMiswakiとも似ていて、その点からしてガリレオ産駒っぽい形とも言えそうである。
だがエイシンフラッシュなどを代表としたKingmamboっぽい傾向もある。アスカクリチャンという配合馬を考えるとMr. Prospectorの奥深さについて悩ましく思うこと間違いない。
まぁ、いづれにしても。前受けするならやはり米血統のスピードが必要であるし、そのたぐいの前向きさも欲しいところである。代表格はSpecialだが、アンコイルドのようにHalo≒Sir Ivor✕Secretariatの平坦下り能力で馬なり先行もありだ。特にRahy=Morn of Songが絡むと先行が楽になる。(メイショウクオリアは母父Rahy)
なのでGiant's Causwayを母父に持つツクバアズマオーを狙うのは極自然な流れと言えて、巴賞3着から適距離へ1F伸びる今回は間違いなくパフォーマンスが上がる。ステイゴールド産駒としても上等な配合であるし、ここを勝っても驚けない。
ステイヤーのトゥインクルが変な競馬で勝っちゃうことも想像できるが、これはヒモまで。アタマで狙うのであればラブイズブーシェくらいに変な流れとなることを考える必要がありそう。真っ向から勝ち切るにはゴールドシップ級の器が必要だろう。
あんまり狙いたくはない馬だが、レッドレイヴンも馬券圏内。2000m重賞・・・それも函館ともなると流石に距離が保たない。だがヨシトミ先生という残念トップジョッキーで出世を逃してきた馬が函館の池添で覚醒したのだから買わざるを得まい。巴賞なら楽勝してなんぼだが、函館記念では終いが保たないはずなんだよねぇ。
激しくはなくとも淀みなく続く先行争い・・・というのが巴賞にはない要素で、これは結構スタミナを削ってくる。レッドレイヴンは中距離のスタミナが強い配合ではないから、1800mのスピード勝負の中で、残り3Fをサッとまくるグラスワンダーアタックが真骨頂。
そういった争いにならないことは否定出来ないが、強く肯定する気もない。だって俺にとっての函館記念は最もタフなローカル2000m戦だから・・・。秋天に続くタフな2000m戦だから・・・。
[fin]