砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

君もステイゴールド 函館記念回顧

函館記念マイネルミラノが快勝。これはちょいと想定外。

ここまでスローになったのは初めてかもしれず、そしてスローからこれだけの好時計を記録したのも初めてだろう。それを為したのがマイネルミラノと言うのであれば、これはもう今までの非礼を詫びるしかあるまい。ごめんなさい、あなたも上級ステイゴールドでしたと。

ノーザンテーストStorm BirdにDanzg✕Robertoのダート的パワーも加わっていて、とにかく小回りに特化した配合形。それはもうステイゴールド産駒においてはトップクラスの小回り配合と言える。むしろ母父メジロマックイーンのあいつらがどうして小回り特化するのかが謎なくらいである。オルフェ=ドリジャニってなんなの?と。

前半に溜めを作って2000mを1800m戦とするのがマイネルミラノの定石であるが、そうなるとグラスワンダーの一族が飛んでくる・・・というのが普通である。ところが今回、それを見事に封じてしまった。フルゲートのスローロンスパでインベタ馬場の外を通させる戦術だ。

普通は函館でこういう逃げ方をすると潰れるんだよね。登りでスパートをかけるわけだからさ。そんなのゴールドシップとかオルフェーヴルじゃないとやっちゃいけないよ。ディープだといっそうやったりしない。でもそれで逃げ切ってね、結果を残したんだから困るよなぁ・・・。

おそらく馬場は速い。その状態に稍重が乗っかったイメージ。その分だけパワー過多のマイネルミラノが上手いこと走ったのだ・・・という結論で良いかと。しかしまたDanzigだぜ。夏のローカルはDanzigラトロという風になってきたかも。

実際問題、この配合で函館を勝とうとするならばこの戦法しかなかったかもしれない。

下りで速く走ることに関してのアドバンテージは少ない。そんなのはディープインパクトなんかの方が得意であるからね。ステイゴールドで下るのであればPrincely Giftのクロスがなきゃならないわな。(といってもPast ExampleはボルキロラトロTom Foolである)

登りで突き放すというのはかなりゴリ押し戦術で、逃げ先行でそういうことをやらかしたのはビートブラックくらいだろう。それも継続した登りで突き放すともなると、少し例が浮かばないかな。いや、オールカマーの大逃げツインターボがあるな。

にしてもゲートがすごく速かったな。トウケイヘイローが23秒2で2Fを行っているからほぼ同レベルの速さ。それも稍重で同レベルっていうんだから、道悪適性の高さを物語っている。そんな速いスタートについてこられる馬がいなくて早々に単騎逃げを確定させてしまった。

遅れてやってきたオツウなんかは競りかける選択すら持てない速い逃げ。そこからスローにしちゃうんだから丹内とは嫌味な男だわ。しかも大きなモーションもなく緩やかな下りの中でペースを落としていった。こういうのは主戦ならではの芸当である。

1800m的な2000m戦というのはマイネルミラノの得意分野。しかし決してスローの瞬発戦ではなく、むしろ体力≒パワーを要求する面白い展開だったと思う。そうだ、ステイゴールド産駒とはこういうものだったのだ・・・と改めて認識させられた。

オルフェーヴルのベストパフォーマンスであろう、伝説のラストラン。あの時は強い風が吹いてスタミナをひどく要求された(らしい)。(Mahmoudさんのブログを参照されたし。ディーマジェスティ皐月賞も同様であったらしい。)

ディープにはないステゴの魅力。それはスタミナ的な靭やかさである。その上でパワー補完の仕組みも両立している点が素晴らしい。芝が遅ければ本命のステゴ産駒ツクバアズマオーの領域だったのだろうが、まぁこれも2000mが短い馬である。おとなしくオールカマー→AR共→ジャパンカップで会いましょう。

[fin]