トウカイテイオーを母父に持つ馬には
オツウ(父ハーツクライ。福島牝馬S3着、ターコイズS3着)
マイネルアウラート(父ステイゴールド。東京新聞杯3着、パラダイスS1着)
ブレイブスマッシュ(父トーセンファントム。サウジアラビアRC1着、ファルコンS2着)
トウカイテイオー産駒にはかしわ記念を制したストロングブラッド、マイルCSを制したトウカイポイント、阪神JFを制したヤマニンシュクルなど。つまり短距離的なアレを伝えるところがあるし、そういった傾向を伝えられた馬が走る。
これはMilesian3*5とRoyal Chager≒Nasrullah5*5の影響だろう。更にMilesianの父母父BadruddinがMumtaz Begumと4分の3兄妹であり、「8分の5Mumtaz Mahal」という配合形。皐月賞、東京優駿、ジャパンカップ、有馬記念を制した奇跡の名馬にしては短距離的スピードをよく伝える。ここらへんは社台としても誤算であったことだろう。
中京記念に出走するケントオーはダンスインザダーク✕トウカイテイオーの配合形。ダンスはNasrullahやMy Babuのスピードで中距離やマイルを走る産駒を出すのも得意で、ダークシャドウやツルマルボーイなどを輩出した。ただ大物ということになるとステイヤーでなければならない。
母父として好調であることからしてダンスインザダーク自身はNijinskyのスタミナをよく伝えるのだろう。Nasrullahのスピードを血統的には継続(HaloとNorthern Dancer)しながらも、実際にはHail to ReasonをNijinsky-ダンシングキイと反応させてスタミナを抽出するという仕組みだ。
一言で表すと「Nasrullah的なスピード≒靭やかを活かしたスタミナをダンスインザダークは伝え得る」となるかな?Key to the MintにはMahmoudとPrincequilloが内蔵されているから、このあたりと脈絡してNasrullahはスピードを表現しづらい。これがダンスインザダークが一流の中距離馬を輩出するに至らなかった要因かと。
ラブリーデイはKey to the Mint(あるいはダンシングキイ)に対してMiesqueという競馬史上においてもトップクラスの名牝を重ねられたのが大きいだろう。似た血統を重ねることによって、まぁどちらが表現されるかはギャンブルとなるわけだが、ラブリーデイのように鋭いスピードを得ることもある。全兄キングジャズなんかはダート馬に出てしまったわけであるし、これはおそらくMIesqueのスピードではなく、ダンシングキイのズブさが出たのではないかと思う。
ピッチ馬って紙一重だよな。特に米ダートを活躍の場とした米血統を利用したピッチ馬というのは真に紙一重だ。場合によっては掻き込みながら砂をずっどこずっどこと走り回ることになりかねない。
Haloとナスキロで上手いこと軽やかな脚さばきを得てさ。そのくせ足回りはダート馬かよと思わんばかりの筋肉質でね。でも軽やかに鋭く靭やかにピッチを刻む馬になるんだ。このバランスってのは奇跡の様なものだろう。
オルフェーヴル=ドリームジャーニーの様な奇跡2連発をしでかす配合もある。だが大抵の場合において、そこまでの名繁殖は現れないものである。そうだね、だいたい10年に10頭くらいかな。1年に1頭くらい「すわっ!名繁殖!」みたいのが現れる気がする。
ケントオーは母ポポチャンが社台ファームからお払い箱(もうちょっとマシな言い方はないものか)になって放出されたアトラクトの娘。しかしハクツ牧場とか言う中小牧場にしては良い馬をつけている感もある。ナリタブライアン、エリシオ、アグネスタキオン、トウカイテイオー・・・ウインブレイズの一発牧場がつけるランクではないと思うのだが。
セールの売買を見ても結構高い繁殖買ってたりするんだよね。金持ちが預託してんのか?
そのくらいに中小牧場が抱えるには勿体無い血統と言えて、確かにこれは悪くない。うん、全く以て悪くない。しかも13年と14年にブラックタイドをつける先見の明があり、メジロベイリー→ダンスインザダークとNijinsky✕Blushing Groom狙い撃ちを行う血統論的な手法も持つ。
そして2015年がスズカマンボである。メイショウマンボの巻き起こした流行が一段落してからの種付けであるが、2015年はスズカマンボがもう一度ブレイクした年でもある。春には大穴請負馬ミナレット、大穴請負騎手エダテルのコンビがVMで3着を得た。それだけに留まらない。サンビスタが12番人気から幾多の名馬たちを退けてチャンピオンズCを制してしまったのだ。またサンビスタは14年の夏からブレイクしており、同年にJBCレディスクラシックを制覇している。混合戦においても大崩れすることなく、とうとうハイペースのチャンピオンズCを差し切って締まったのだ。
※幾多の名馬たち~ノンコノユメ、ホッコータルマエ、コパノリッキー、サウンドトゥルー、そのほか旬の過ぎた感の否めないG1馬たち多数。
今代だけで言えばスズカマンボが一番期待値の高い配合ではないだろうか。トウカイテイオーとMr. Prospectorはニックスの間柄であり、またラブリーデイを輩出したMiesque✕キーフライヤー(ダンシングキイの全妹)を行っている。ただスズカマンボはフィリーサイアーである。牝馬と出なかったことが悔やまれるな。
それとハクツ牧場はサウスヴィグラスに早い段階から目をつけていて、これがかなり大当たりの種牡馬だったんだよね。よほど血統論に通じた人が関係しているのだろうな。
とまぁ、ケントオーの配合にも血統論の裏付けがある。それはどうも狙ってやっている様子である。もしこれが牝馬であったならばお宝で、ダンスインザダーク✕トウカイテイオーというちょっと目新しい配合形であるのだが、むしろオーソドックスな好配合と言える。
Milesianの血を使ってスピードを補完する仕組み。これを伝えるのは世界広しとてトウカイテイオーだけである。そう断言できるほどに、このTourbillon系の短距離血統は影の薄い零細血統だ。
だがルドルフやテイオーといった名馬を出すだけのパフォーマンスは持つ。父My Babuからして十分過ぎる名血統であるのだし、トウカイテイオーだって立派に名血統なのだ。ただG1級を出すにはステマ配合くらいの大技が必要であることに違いはない。サンデーサイレンスと直接的なニックスがあるわけじゃないからな。
配合だけを見れば・・・うーん、マイル寄りの千八馬かな。ガチンコマイルでは足りないのだけれども、緩んだ流れからロングスパートがかかり・・・それを前受けからジリジリと差し込むのが勝ちパターンかな。ダンスインザダークでは切れ負けするだろうし、ロングスパートでダラダラと行くのがベターだ。
サンデーサイレンス✕Blushing GroomかつNijinsky✕Red Godっていうんだからベター&ベターな配合形だよな。サンデーサイレンスから靭やかさを抽出したくてたまらんダンスインザダークにおいては、Blushing Groomなんかは悪くない。だが本道たるDroneやSir Ivor、Miswakiなどに比べるとパンチが弱いかな?
だがメインディッシュはトウカイテイオーである。ここのスピードをさばく仕組みこそ弱いのだが、連ねたインブリードの強さとダンスインザダークの緩和力があれば悪くない。ラトロワンヌの牝系、Princequillo、Nashua、Blushing Groom、トウカイテイオー、ダンスインザダーク、牝系も一流であれば連ねた血統も一流(半)である。理論に敵うのであれば重賞級が出てもおかしくないだろう。
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