砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

何が逃げるか何が残るか クイーンS予想

チェッキーノが戦線離脱したことを受けて一気に混戦模様となったクイーンS。月曜では穴っぽかったテルメディカラカラも、今では立派な本命クラスの9.4倍の低配当馬に。おかしいなぁ。

またテルメディカラカラにはルメールが乗るし、モチジュン先生がそれにちなんだ記事をアップしたり、単勝二刀流の石橋センセーが穴馬として挙げたり、穴人気長じて人気馬となる後押し山程たっぷり。実に旨味がない。

競馬新聞でも印打たれてんのか?東京1400mの1600万下を辛勝した馬にこんなに人気が集まるとは予想外も甚だしい。どんだけ低レベルな争いが予想されてんの?あるいは・・・ハービンジャーの札幌適性がそれほどに評価されているのかな?

第一候補は池添の3歳牝馬ロッテンマイヤー。池添の逃げってなると想像しがたいところがあり、本人としても積極的に逃げようとは思っていないはず。クロフネの中距離馬であるから動きは俊敏ではなく、あまりビュンビュンと動かしてしまうと消耗が大きい。位置は取りに行くのだろうが積極的なものではないかな。

逃げた桜花賞ビワハイジの直孫と考えれば前へ受けるだけの素質はあるけれど、それを増幅していった配合かと言えば怪しい。Bold Rulerクロスだから小回りの脚はありそうだが、それでもクロフネ産駒が俊敏に動く可能性は考えづらい。またビワハイジマンハッタンカフェと同牝系であり、この牝系は現代的なスピードを要することが多い。札幌はベストに近い舞台だがあと1F伸びた方が旨味がある。

ならば第二の松若リラヴァティ。前走は綺麗な押し切り勝ちで、松若風馬騎手は昨年のアズマシャトル小倉記念に続いて重賞2勝目となった。最近は無理逃げ&ドスローというパターンが少なくなって淀みない逃げで押し切ることが多い。

今回は大外枠であるから期待はしづらいものの、馬場は外差しへシフトしていて馬の方も生来の逃げ馬ではない。というよりも逃げて妙味があるわけではなく、あくまでも道中で動いていく押し切りスタイルが身上である。

シンハリーズの娘であるからアダムスピークシンハライトやアダムスブリッジらときょうだいの間柄だ。ゼンノロブロイシングスピールは他にコスモネモシンがある特注のニックス配合形。小回り内回りなら場所を選ばない重賞馬であるが、やっぱり大外13番がネックである。

ということで、逃げ馬ではないが鞍上が逃げ男であるマイネグレヴィル丹内が逃げる可能性が大だ。母がマルゼンスキー2*3かつヒンドスタン4*5という強烈な配合形で、それを緩和するのが父ブライアンズタイム。緊張と緩和のリズムばっちりのビッグレッドファーム生産馬だ。

雨が降り出した。馬も道悪で実績をあげてきたのだからここは逃げる一手だろう。ただ丹内の逃げはスロー&スパートの中山的なもの。札幌は全ての、あらゆる手法の逃げを許容するTHE平坦オーバルコースだが、起伏のない平坦ラップこそこのコースの王道である。

そんな丹内グレヴィルには、黒帽子の2番から前受け敢行、四位のおっさんマコトブリジャールが不吉。四位洋文騎手はストライドロスとラップの起伏の二つを最小限に抑える騎乗が持ち味で、昨年の札幌記念ではディサイファに騎乗し、無理逃げトウケイヘイローを見ながら淀みなく押し切ってしまった。

ストーミングホームブライアンズタイムの配合形で、非サンデーサイレンスの千六気味千八馬。マイフェイバリットレースその1の15年京都牝馬Sにおいて4着に滑り込んだ記憶が強く、ハイペースVMでも好成績のケイアイエレガントのペースを追走して6番手からゴロゴロと流れこんだ4着は素晴らしい。

前走の福島牝馬Sは大敗街道から予兆なく抜け出した大金星。ストーミングホーム産駒にはサドンストームティーハーフの二頭がいるが、偉大なる兄貴ラッキーナイン以上に気性が難しい。これは偉大なる母ビールジャントからではなくストーミングホームから受け継がれた気性だろう。

マコトブリジャールも父から気性難を受け継いだ産駒であって、前受けにはかなりの折り合い技術を要する。今年の秋山は牝馬との折り合いがくそったれな状況で、適正距離から伸びる愛知杯ではなおさら折り合いが難しかった。向こう正面でかかって飛んでいったのも仕方がない。

その点では北村友一という選択は素晴らしい。机の異名を取るこの中堅騎手は折り合いの技術だけが持ち味で、13年に京都大賞典ゴールドシップ破り&単勝万馬券を演出したことも記憶に新しい。可能な限り前で折り合おうとするところがまた素晴らしい。

今回は北村友一が騎乗するわけではないが、四位のおっさんがきちんと出して淀みなく追っかけて行くなら折り合いに問題はないだろう。ディサイファほどの血統背景を持たないが、ここは距離適性とHalo≒Sir Ivorの靭やかさで札幌千八を一本釣り出来るのではないか。

他にもウインプリメーラの後出し福永アタックとか、説明不要のルメールテルメディカラカラとか、ちょっと混戦に拍車がかかっているし馬券の候補も多けりゃ人気も適性な感じ。メイショウスザンナの大野流ぶん回し差しが届くのであれば面白いが、昨年のパフォーマンスがあっても今年のメンツでは届き難い。

油の乗ったシャルール、マツミキ厩舎の横ノリ鞍上というトリプルコンボも良い。小回りの1800mならば重賞を勝ち負けして当然という素質馬だ。ダンツキャンサー勝浦ってのは今ひとつだがペースが速くなって淀みない最内追走なら一発があってもいい。

札幌は展開がフワフワしているからなんでも飛んで来る。エンパイアメーカー三浦皇成、ナムラアンも飛んで来る可能性がある。母ちゃんはハーツクライの全きょうだいだし、ここまで順調にきているし。イマイチこの馬のことは分からないんだよなぁ。

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