砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ロンスパトニービン、前受けトニービンを活かす 小倉記念回顧

上がりのしょっぱさは折り紙つきで、あのど消耗戦を後ろから差す馬がいなかったのは不甲斐ない。クランモンタナは7歳になってからズブさ≒しぶとさが増し増しで、この内容はトーセンジョーダンジャパンカップで3着まで差し返したアレと似ている。

和田竜二の仕掛けも上手くいった。消耗戦だから溜めるのではなく、消耗戦だからこそ早めに抜け出すのだという気概の勝利。また、若き名手松若風馬によるスロー&ロングスパートの後方潰しを老獪に受け継いだとも言えよう。

4角直後は「あーダコールマーティンボロ差しきるなー。でも3着はこれクランモンタナだなー」ってなもんだったが、そこからもう一度伸び返すのだから恐れ入る。秋天ダイワスカーレットとか、ダービー卿のカレンブラックヒルとか、京都記念デスペラードとかを思い出す好内容。

ベルーフはこの後方潰しを真っ向勝負で差して2着を得た。この馬は中山と阪神を差し切っていれば良いのだから、こんなつまらない条件で勝つ必要はない。勝つなら楽勝じゃなきゃ駄目だね。

浜中エキストラエンドがインを差して3着を得た。こいつはイン差しの出来る小脚を持つのが特徴で、外回りのスローや内回りをスルスルと差してどうこうしていた馬だ。上位陣の中で最も進路にロスがなく、しかも途中でピッチを下げることもできた。

ベルーフと同じように、きちんと流れに沿って脚を使える様に仕掛けた馬だ。サトノラーゼン岩田とテイエムイナズマフルキチはきちんと仕掛けた人たちだ。それを無茶振りマーティンボロダコールが超えて行ってしまったのが虚しい。

伸び悩んだ馬は休みなくロングスパートをかけてしまったことが原因で、その多くの騎手がスパートの中でスパートをかけたことに気づいていない様子がある。アングライフェンはその顕著な例であり、序盤にあの位置に落ち着いた時点でレースは終わっていた。

先行戦術だけでG1を何個も勝たせている川田将雅があんなアホなことを重賞でやらかすとは珍しい。イーブンに出せば真っ直ぐ行くだけでベストポジションっていう枠だったからな、まぁ、あくまでも好意的に見ればそういうことだったのではないかと。クランモンタナに寄られ、エキストラエンドに寄られ、その結果として行き脚を失ってしまったかなぁ。

元々燃える気性で先行する馬でもないからなぁ。そもそもそんな気性があったらこんな使いっぱなしで重賞に挑戦することは出来やしない。消耗の度合いが違うもの。

マーティンボロはパフォーマンスとしては完全復活している様子があるが、今回はヨレてひどいことになってしまった。被害馬のダコールに先着されたし、しかも流れそのものはマーティンボロ向きのものだった。7歳のマーティンボロよりも8歳のダコールの方が競争能力を維持している様子が伺える。

ダコールは鞍上の太っつぁんが外へこだわり過ぎたのか、それとも馬首がマーティンボロの外へ巡っていたのか、外へヨレていくマーティンボロと一緒に外へ外へ付き合っていった。右ムチを察知してすぐさま進路をクロスさせられていればエキストラエンドの進路を奪えたはずだ。惜しい負け方。

ダコールの本命競馬やエキストラエンドの伏兵競馬を見る限りでは差し切りはさほど難しくない流れであったのではないかと。クランモンタナの粘り腰も素晴らしいものであったが、ベルーフしか差しにこないのはレベルを疑ってしまうね。

また前が手薄であったことも問題で、ナルトやモンタナはともかくアングライフェンが先行予定であったのだ。もっと前に意識を向けて乗ってくれないとこういう穴が出るんだ。

だが出るべくして出た穴だったかなぁ。出して行って折り合いをビッとつけられる騎手が一人としていないもの。フワッと出してソロソロ~と好位で折り合いをつけるタイプばっかりさ。今更言うなって話だけれどね・・・。

けれど松若もまたえげつないペースを刻んだよな。この8歳ロートルでここまで勝負を賭けるんだからねぇ。ドスロー瞬発ではなく後方潰しのドスローロングスパートを選択したことは名手の器を伺わせるが、まさか2角から緩めずに流れこむとは。これは名手の証明ではなく若さの証明。

確かにロートルが残るにはこのペースしかないって逃げだよね。実際にクランモンタナが残しきったわけであるし。だが彼はどういった経験を以ってこの選択を果たしたのか・・・ここ最近に見られる淀みのない老獪な逃げ味を松若風馬はいつ取得したのか・・・謎ばかりねぇ。

こういった逃げは関西では育ちづらいはずなんだけどね。ん~、いや最近の傾向としてはこういった逃げがスタンダードになっているかな。

最近の若い騎手って諦めが早いんだよね。特に期待されている騎手はあんまり競りかけない。でも逃げを確定させるタイミングもまた早いんだわ。この早いタイミングの逃げ確定&早期のスローダウンが実に上手い。

まぁクイーンSではそれが裏目に出たし、中京記念では一定の効果があったかな。ちょっとココらへんのことを調べたら面白いと思うけれど・・・。とりあえずここ数戦は負荷の強いスローを実現しているよな。

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