ビッシュは母父AcatenangoのLyphardクロスディープだから、そりゃ34秒や35秒の持続戦を差し込むことは得意だ。しかしこの流れで1番人気が35秒3で突き抜けて、その勝ちタイムが1分59秒7程度であるってのは衝撃的としか言いようが無い。
過去、馬場改修以前の紫苑Sは普通に58秒で決着していたものだ。それも重賞ではない頃であり、ショウナンパンドラが秋華賞を制するまでこのレースから本番の勝ち馬は出ていなかった。とにかくレベルの低い時代である。
ディープが走ったのだから馬場は例年より速いのだろう。しかもクビ差4着に柴山ディープのパーシーズベストというのだから、事実上はディープ祭りだったと言っていい。おおよそ千八スピードで駆け抜けるレースだったのだ。
また牝馬限定中山二千とは思えないテンの速さだったな。12.0-10.9-11.9-12.1という前半4Fはかなり眉唾。札幌の中距離でも速い部類であるし、今年の安田記念が前4Fを47.0で行っているんだぜ。かなり狂ってるんじゃないかな・・・本当に初っ端から12.0秒で行っているのか?スプリント戦じゃん。
洋芝でよくあることだが、芝が重い状況で普段通りに出すとオーバーペースになりがちである。大事なのはラップに起伏を作らないこと、つまり切れないことである。Seattle SlewなんかはRivermanやMill Reefほどには切れない血統であるし、昨年の紫苑Sにおいては特注血統だった。
だから切れないディープであるビッシュが走ったことはよーく理解できる。母父Acatenangoならこういった展開で走ってなんぼであるし、ワールドエースもこういった展開が大好きだった。道悪適性が高い配合とは言えないが、綺麗に走るタイプでもないし。
ヴィブロスが差し込んだのは・・・ヴィルシーナも道悪大好きだったからそんなもんだろう。またFukunaga Yuichi Specialがハマった部分も大きい。ハイペースの差し競馬になった場合は大きなアドバンテージを得られる戦法だもの。
フロンテアクイーンはインベタでロスなく外へ出した。ドゥラメンテの皐月賞でミルコがやろうとしたことをきちんとやった形で、あれで並ぶ間もないのだからこのレースレベルはかなりのものだ。好配合のメイショウサムソンが好騎乗に導かれてなお・・・な。
1着と2着がちょっと抜けた存在だな。フロンテアクイーンが勝って「例年なみ」という評価を下すのが大体の予定だったわけだが、それを子供扱いしたビッシュと、きちんとそれを追いかけたヴィブロスがいた。これはとても有意義なレースだ。
ディープ天下の秋華賞へ挑むのだ。紫苑Sから2頭目の勝ち馬が出るかもしれない。
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