千六に限ったことではなく中山のレースとは先手の争いが激しくなりがちである。例外を挙げるとすれば千八くらいなもので、二千二も二千五も二千も千六も千二も前半のペースがグッと速い。牝馬限定戦ならと紫苑Sを見ていたのだが、それも速かった。
なのでここも速いと見るべきだが・・・前を主張する馬がいない。ペイシャフェリスは逃げても味のある馬だが大野ってまくるイメージなんだよねぇ。
逃げって戦法はかなり気難しいところがあって、よく「目標にされてしまった」とかいうコメントがあるけれど、追いかける対象を持った方がよっぽど脚を使ってくれるものだ。後方のプレッシャーに晒されるというのは、よほど基礎スピード能力が抜けていなければストレスにしかならない。
しかも日本の場合は切れを使って逃げることが多い。追い込み馬か何かかと思わんばかりの切れを見せて逃げることもたまにある。ジャパンカップでも地元のG1を押し切ってしまうような馬が内枠から逃げを打てないことがあった。
よって逃げ馬とは、馬群を嫌うだとかの要素を必要とする。あくまでも緊急避難的なやり方だろう。「おっ、こいつは良い逃げ馬になるな!」とか調教師が見立てることは少ないだろうねぇ・・・。「逃げるな」の注文をつけることはザラだろうけど。
それに、逃げるほどの行き脚をつけることや、逃げ争うだけの長いスパートをかけること、これらは技術として非常に難しいだろう。そりゃゲートをバッと出して押しまくれば逃げることになるけれども、それで勝ち負けできるかっていうと怪しい。その塩梅を知る騎手ってのは少ないだろう。多くの逃げは馬の気性に寄るのだろう。
そういったことを考えてみると、京成杯AHに揃ったメンバーで「逃げを良くする」馬はいないのである。この類の逃げ馬不在はペースが淀みなく遅いことが多いから競馬の上手い先行馬を狙う。エイシンフラッシュが逃げたジャパンカップをジェンティルドンナが制したイメージだ。
おそらく行くのはピークトラムだろう。馬群嫌いの先行馬がこんなど真ん中に入れられちゃって、しかも前走のスタートは抜群だった。あれを抑えざるを得なかったのは同厩舎で太さん自身も騎乗経験が豊富なレッドアリオンが来ることを察していたからだ。アリオンのいない今回は逃げる覚悟を決めて出してくる。
なら外からソロソロと様子を伺いながらやってくるのを狙いたい。ダノンリバティかペイシャフェリスかってところ。リバティさんの配合も能力もそんなに褒め称えたくなるものじゃないのだけれど、前走に続いて展開がハマるのだから仕方がない。あとは松若の若大将が中山で仕事を出来るかどうか。川田だったら無問題だったのになっ!「将雅さん!ちょっとダノンバラードやってきてくださいな!」って。
ペイシャフェリスも好きな馬だが母父Cape Crossだから牡馬を相手にするなら重馬場くらいに渋って欲しい。大野だというならなおさらだ。
すると内から捌いて味がある・・・戸崎圭太かなぁ。カフェブリリアントはRoberto✕Nijinsky✕Mr. Prospectorだから道悪が鬼のまくり配合馬。ここ一番でまくってやれば仕事をこなせそうなところがある。リーディングジョッキーの得意分野だもの。
もう一つの抜け道は差し追い込み。テンが遅いから届かないはずなんだけれど、道中が淀みなく流れて関西騎手が先頭を行くのであれば・・・4角前に少しペースダウンされるはず。つまり語り継がれ得るドスロースプリンターズと同じ理屈で東京型のストライド差しを狙える。
逃げがピークトラム小牧太、番手にダノンリバティ松若風馬、折り合いとまくりの達人戸崎圭太withカフェブリリアント、公務員ジョッキーヨシトミ駆るラングレー、吉田家から謎の寵愛を受ける柴山雄一・・・いやぁ、間違いなく太さんのペースだね。関東勢は関与しません。
ならBold Rulerの瞬発馬ロードクエスト、ディープ✕Unbridled's Songのダノンプラチナのあたりだな。これらは実績上位なだけにまずまずヒモまでは差し込めそうな雰囲気。彼らが飛んでこそ中山ハンデG3だというのにな。
最悪のパターンはダノンプラチナとロードクエストで決着してカフェブリリアントやダノンリバティが残す奴。馬券が悲しくなる嫌なパターン。田辺のまくりが絡んでくるとマシかなぁ・・・。
せめて最終兵器彼女リーサルウェポンが、競馬ファンを不安にさせるラトロ型ピッチ追い込みが差し込んでくれればよいのだけれど・・・。吉田隼人の差し込みじゃ別の意味の不安が増す。彼は内枠先行でこそ美味しい騎手だから。
俺の嬉しいパターンは小牧太の神騎乗だね。「太っつぁん!まるで柴田大知か石川ユキト!」という4角でペースを緩めない突き放す競馬。これならストライド馬は競馬はしづらいし、内潜りの松岡がBold Rulerを届かせてくる可能性を見込める。京都のスローよりかなり厳しい展開になるが、後の先方式松岡イン差しが活きる面白い展開である。
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