砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

足利滞在2日目 昼

雨が止んだので足利学校へ向かった。

ちなみに朝は新郎の家族と同席した。新郎の家族とも同じホテルであり、朝食のタイミングがかぶったらしい。新郎は小学からの友人であるために家族とも付き合いがある。進んでどうこうというわけではないのだが、偶然が起こればそういうことにもなるだろう。

「今日はどうするの」と新郎の母。「それが問題ですよね」と俺。雨マークであったから。

上の通りに、その雨が止んだ。「したらば」とバスを探して、北へ向かう。バス停で待っていると新郎の家族がタクシーに乗って通り過ぎていった。「あっ」とお互いに顔を瞬間に見合わせたのを覚えている。「行き先が同じだったら面白いな。そうだったら同乗するのも手だったかな」、そんなことを考えながらバスを待った。

バスに乗って駅前に降りる。徒歩でぶらりぶらりとして足利学校を探す。釧路住みの俺にも風は冷たく感じられた。雨が上がったとはいっても天気が悪いことに変わりはなく、予報が予報であったし冷雨に晒されることは避けたかった。間違いなく風邪をひく。しかしこれは杞憂であった。

後で知ったのだが、新婦が雨女であったらしい。新郎は自他共に認める超雨男である。参席者の大勢が当日の雨を想定していたらしく、実際に雨予報であった。これが翻されたことに結婚に対してスピリチュアルなパワーを感じる。

そのおかげで徐々に気温も上がっていき、また歩き回ったこともあって体温も上がっていた。実に良い観光となったことを改めて感謝したい。ありがとう、新郎新婦。おめでとう、新郎新婦。

足利学校をぐるりと回って、「いや、えがったわ」と感想を思う。

學校の門前に味噌屋がある。そこでは味噌汁の試飲を行っており、その試飲を勧めるおばちゃんが実に良かった。観光地の店員というのはかなり殿様商売の気質がある。分かっていれば愛想の悪さを乙と見て笑うことも出来るのだが、用意なく接すると穏やかにはいられない。

そのおばちゃんは、フットワークに優れ、対応にそつがなく、またささやかに懸命な雰囲気を持っていた。風貌もまたそれに相応しい「気立ての良い友だちのお母さん」というものである。何かを買おうと思った。

學校へ入る際に味噌汁を一杯もらい、出る際に二杯目をもらった。しょっぱいものを飲めば、当然の様に甘いものを欲するものである。みそまんじゅうがあった。味噌が被るが仕方なし、注文をした。

學校を対面にして長椅子に座り、みそまんじゅうを食べていると、おばちゃんが茶を淹れてくれた。コーヒー党であるが日本茶も好きである。気温が上がったとはいっても風の冷たさに大きな変わりはない。すするとホッとした。

そう落ち着いていれば左手より新郎の家族が歩いてきた。新郎の父が「何落ち着いてるんだ」と笑いながら声をかけて、去っていった。続いて母、弟の順でやってくる。旅の恥はかき捨て、そう考えての浸りであったのだ。それを小学からの付き合いがある友人の家族に見られるというのは気恥ずかしい。おそらく母親コミュニティでこちらの母にも情報が上がるのだろう。

気を取り直してその左手へと歩を進める。向かうは鑁阿寺である。

寺であるのに堀がある。そこに鯉が泳いでいた。橋の起伏に難儀を覚えたのだが、そこに立っていた和装のお姉さんが美人であった。一般の人だと思うが、よく似合われていた。立ち振舞いまでは見ることはなかったが、こうして書いてみると、もっと、こう、ジロジロと観察しても良かったかもしれない。良くはないな。

足利学校ほどに見るべきものはない。和装美人に文量を割くくらいである。

お守り売りのジジが鼻につく態度であったが、あのくらいの年齢であれば珍しくはない。もう少し回ってみると一切経堂があり、ちょうど中を見学できた。300円を取られて見る様なものでもなかったが、だからこそ金を取る必要はあるのだろう。

バスの時間が迫っていたので早歩きで向かう。堀に沿って大きな通りへ向かったのだが、途中にまた鯉が多く泳いでおり、カルガモまでいた。向かいには等間隔に羽を休めている姿が見られ、人間と違ってしみじみと凝視出来るメリットを思った。もう少し歩くと角の店にキャットフードが置かれており、そこに野良猫がいた。凝視してみると警戒しながらも逃げはしない。野良であるが人間への警戒心は薄れている様子。鳥も良いが、猫もまた良い。

バスに乗り、APITAとかいう釧路におけるポスフール(正確にはイオン釧路天)にあたるであろうスーパーで降り、徒歩でホテルへ向かった。改めて、せめて駅の近くに宿を取るべきだったと。

[fin]