東京二千では末脚の質が一本調子であったほうが差しやすく、ジャスタウェイなどが綺麗に差し切っている。更に遡るとトーセンジョーダンやブエナビスタ、ダイワメジャー、シンボリクリスエス・・・暇無し。
ブエナビスタが顕著だが、あれはエンジンの違いを見せつける様に登坂の最中にかっ飛んでいったな。トーセンジョーダンも登坂部分で追い上げて、残り200m地点で前と並んで粘り続けた。ジャスタウェイは、うん、直線向いてすぐにビューンってなったよね。
彼らは登坂をきっかけに脚を伸ばしていき、駆け上がった勢いのままズンドコする。残り200mをドシーンドシーンと粘っこく走って後続を寄せ付けない。「お前ら一番最初に脚を使ったくせになんで」という寸法。
しかしところどころに挟まるピッチ勢がある。ラブリーデイ、カンパニー、ウオッカ、ヘヴンリーロマンスなどなど。彼らはみな単なるピッチ走法ではなく、駆け上がるピッチ走法である点が似ている。
ひ弱なストライドでは失速してしまうところを、駆け上がるピッチ走法の彼らは大きな失速をしない。しかも4分の1サンデーの世においてのピッチ走法はそこまで劇的ではない。ヘヴンリーロマンスはともかくとして、ラブリーデイとカンパニーはトニービンであるし、ウオッカはRivermanだ。必ず外回り切れの担保を持つ。
あくまでも「比較的ピッチ走法」である。こういった切れがズルズルと好位から登っていって、登り終えた瞬間にビュンッと切れて入線まで持たせてしまう。上の粘りタイプと違って切れたマージンを活かした残るのだな。
これに関して更にもう一つ言えば鞍上の騎手。浜中俊、横山典弘、武豊、松永幹夫と脚の使い方が持続的な騎手が多い。
坂を登ってさぁ行くぞ!という騎手がスローでは差し切りやすく、富士Sのワンツーだった戸崎圭太とルメールが現役だと代表的だろう。この騎乗が出来るということは、好位で綺麗に折り合えることとイコールでもある。福永祐一もそうなんだけども、東京だと外に出しがちなんだ。
外が悪いということじゃなくて、外に進路を求めるときに脚を使ってしまう弱点がある。気性がアレな馬だとそこからスピードが乗ってしまって脚を使うどころじゃなくて消耗してしまうときもあるんだ。戸崎やルメールは直線に入るまで壁を退けるのに積極的ではない。
ミルコは4角前に壁を退ける算段をつけて、それを目掛けて突っ込んでくる。「とりあえず行ってみて、塞がったら他人の進路を奪い取る。」
スピルバーグがちょいと別枠で、これ、ピッチの持続脚なんだよな。だから秋天はねじ伏せた内容とも言えて、本領はもうちょいと別のところにあったんじゃないかと思う。長いところとか中山とか、東京に腐心したのはもったいなかったかなぁ・・・とも。
ディーマジェスティみたいにねじ伏せるタイプだったかもしれず、それなら内を差した晩年の競馬はちょっと良くなかったかもしれない。ディープインパクトもステイゴールドもパワーに振れた息子はまくったほうが味があり、しかもディープの場合はFair Trialでまくるから気性難も一緒にやってくることもある。
やっぱりディープは牝馬が最強・・・でもハープスターみたいな化け物ピッチだと、それでも馬群を嫌ってしまうし、ジェンティルドンナみたいにアホみたいな競馬達者が必ず出てくるわけでもない。今考えてみたら東京二千でポンッとスタート切って好位にスッと控えられる牝馬ってすごいわ。
ということで注意したいのは「馬群嫌い系の変態ディープ」。馬場バイアスの大きな助けがなくても届かせてくるやつが、いなくはない。
エイシンフラッシュも別枠なんだけども、これは血統からして別だから一括りに出来ない。
[fin]