砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

エイシンヒカリ論

昨年の秋天を敗れた後にエイシンヒカリは香港、シャンティイ、アスコットと転戦していった。香港カップを勝ち、イスバーン賞を快勝し、プリンスオブウェールズでは敗れた。だが、それらの騎乗は今までの弱気とも言えるものではなく、堂々とハナを切って突き放す王道の逃げ競馬だった。

考えられることは、

武豊エイシンヒカリの素質に強い自信を持ち始めた。

・同じペースで逃げているだけ。

・欧州向けの仕上げがエイシンヒカリにハマった。

・単純な話、エイシンヒカリが本格化を遂げた。

香港で武豊はイーブンラップで押し切った。

26.17-23.47-23.75-23.59-2:00:60であるから(13.085-13.085)-(11.735-11.735)-(11.875-11.875)-(11.795-11.795)-(11.81-11.81)というイメージだな。Mahmoudさんが書いていた記憶があるが、時計の始動とスタートのタイミングには色々あるらしい。なので前半ドスローとは単純に言うのは難しいかと。

しかし前半が遅いことに違いはない。というのも逃げ争いが最初の1Fで完結していて、そこから1角へ侵入していくからペースが落ちる。本格的にペースが上がったのは向こう正面からで、日本の12.6-11.0という類の速さではなかったと思う。速くても12.6-11.7というくらいだろう。秋天毎日王冠より遅いハナの切り方だったかと。

ただしペースはまるで落ちなかった。。アベレージ11.80375のペースで淡々と逃げていったわけだな。この内容で迫ってきたのがヌーヴォレコルトというのが迫力を感じない理由でもあって、平坦の中距離・・・それも渋った馬場なら世界でも随一の実力馬であることは疑わないけれども、その「平坦の中距離」のカテゴリでは日本が一番進んでいることも疑わないのよ。

もしこのメンバーで香港カップをやったらエイシンヒカリの本命は揺るがない。相手は強いけど堂々とした競馬で勝ち負け出来るはずだ。うん、なんか乗り気になってきたぞ。みんなジャパンカップ無視して香港カップ行こう。

でも東京ということになるとねぇ・・・。

武豊が東京でスローに落とそうとする理由は外回り適性の低さにあるだろう。エイシンの馬で外回り達者の重賞級を見たことがない。上手に立ち回ってすんごい良いところから突き抜けてくるイメージで、「エイシン=経済コース」と言ってもいいだろう。

そして経済コースと言えば逃げ馬だ。エイシンの追い込み馬はなかなか見ないのだが、逃げ馬はよく見る。逃げと追い込みが表裏一体であるのにも関わらず。なのでこの傾向は恣意的なものと見ることも出来るだろう。

なのにエイシンの逃げ馬は国内G1を勝てていない。象徴的なのはエイシンワシントンがフラワーパークに超激ハナ差で敗れたことだ。外国で勝つことも多い冠名なだけにパワー型の限界を感じる。そういった意味でもエイシンフラッシュの東京G1勝ちは例外として扱うべきだろう。

エイシンフラッシュはとことん例外的な馬である。ドイツ血統らしい黒光りするかっちょいい馬で、色調と合わせて締まりの感じる身体を持つ。血統からも馬体からも中長距離のスタミナを感じさせるし、その通りに春天なんかも好走する。げに恐ろしきはスロー時の弾け具合と賞味期限の長さ。あのスロー巧者っぷりを現役一杯まで維持したのはドイツ血統の面目躍如というものだろう。

産駒はノーザンファームがやばいメンツを揃えている。あれが走らなかったら将来が危ぶまれるな。

いずれ続く

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