砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

トニービンよフォーエバー・ソー・ファイン

切れに似て切れではない、という血統にTourbillonがある。Tourbillonは血統としての繁栄は脇役的である。だが主役がガチのスターであった為に活躍の場は非情に多い。

Lalunを見ての通りに同じフランス仲間のTeddyと相性がよく、そしてまたWild Riskなどのフランス仲間と同様にBlandfordと出会うことで名血統へ昇華を果たした。それがNever BendBold Reasonだろう。

この血統の流れはTourbillonというよりもRabelaisのものだ。その直系Wild Riskとこの点における傾向が似ているのは納得。またその仔Durbar(初のフランス産英ダービー勝ち馬)を共通として多くの名血統の名が挙がる。それがNashua≒Nantallahであり、Wishing Wellであり、ノーザンテースト、Night Shift、The MinstrelNijinsky・・・と暇がない。なお、これらの馬はBlandfordとの出会いがあった代で書いている。

挙げた血統は全てMumtaz Mahal≒MahmoudからBlandfordを引いていて、これが現代競馬の礎というべきもの。対して生身のBlandfordを得たWild Riskはというと、全く違うルートからこの現代的なスピードへたどり着こうとしたのだね。血統を重ねる順番で道筋が大きく変わっていき、その途上に化け物が出るか出ないかの波乱万丈ブラッドスペクタクル。どちらが正解であったかだなんて2代3代じゃ分かりゃしないな。

トニービン産駒においてTourbillon持ちは珍しくないが、総称金額ツートップにして最も血統的繁栄を遂げたエアグルーヴジャングルポケットは非Tourbillonである。母父トニービンも同様の傾向が強いものの、リンカーントランセンドドリームパスポートカレンチャンルーラーシップなどなど一気に代表馬が増える。それでもやはり血統的な成功を納めたのは非Tourbillonハーツクライである。

そのハーツクライの代表産駒も非Tourbillonジャスタウェイである。これってトリビアになりませんかね?

そしてその理由がまた難儀な話。

スペリオンは緩々と走る仕組みであるから回転力の補完が必要で、そのために米血統を取り入れる。ダート的なパワーを取り入れるためにNijinskyMr. Prospector✕Nureyevを使うのがベター。芝適性を増幅させるためにここでTourbillonを使い、米血統のパワー&スピードをスタミナへ変換するためにハイインローPretty Pollyを。

シンプルにDanzigを使う手もある。Danzigは最もナスペリオンハイインローPretty Pollyを糧にして繁栄した血統と言えるのだ。ただDanzigは芝を走ることに関してはMr. Prospectorとの絡みが望ましくない。北米ではポピュラーな組み合わせであるし、日本ダートでもシンコウスプレンダハッピースプリントDayjurの血を近くに持つ。だがそのたぐいの血統を持って芝で活躍した馬は多くない。

多くはないのだがハーツクライ産駒からは2頭のG1馬がいるのだよね。ヌーヴォレコルトワンアンドオンリーが。あとブラックタイドマイネルフロスト(母母父Dayjur)を輩出した。

ディープインパクト産駒のDazig持ちG1勝ち馬は3頭いる。ジェンティルドンナミッキーアイルサトノダイヤモンド。3頭そろって母がDanzig直系馬であり、ジェンティルドンナは母父BeltoliniがDanzigAlydarミッキーアイルは母がロックオブジブラルタル✕Nureyev✕Alydarサトノダイヤモンドは母の2代父LureがDanzigAlydar、みんなAlydar持ちで非Mr. Prospectorである。

それほどまでにこのDanzigAlydarというのは熱いニックスなのだ。それなのにハーツクライの2頭はそれを否定しやがる。これは別にディープインパクトに限った話ではない。大抵の国産G1馬はDanzigにはAlydarなのだ。世界の常識だよ!と言わんばかりにダンジグアリダー!

なのにハーツクライと言ったらっ!何なんだ!俺のDanzig魂に火をつけやがるっ!

だが、それも「トニービンだから」という諦めで理屈は通る。この日記で書いておきたいことはここなのだ。トニービンは世界でも稀に見る変態血統なんだということ。わりとおかしな発展を遂げていた血統であるということ。

これがトニービンの持つオリジナルとしての傾向なのか、それともGrey Sovereign系の傾向なのか、それを知らねばならない。かといって、そんなことやっていたらAR共には間に合わない。

未だ頭はごちゃついているが、なんとなくで予想をしてみる。

ちなみにトニービンは2000年に亡くなっている。(天国でも)フォーエバーソー・ファイン。

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