ここ10年で秋華賞馬がエリザベス女王杯を制した例は少ない。少ないが、少ないと断言するのもどうかと思う程度には存在する。メイショウマンボ、ダイワスカーレット、そして降着したカワカミプリンセス。
マンボとスカーレットは秋華賞から連勝での制覇であり、カワカミプリンセスも連続の1着入線であった。さらに言えば05年のスイープトウショウは3歳時に敗れて4歳時に制覇を遂げた。
カワカミプリンセスと言えば当時の牝馬路線では無敗であった絶対的な強者であったし、メイショウマンボもなんやかんやでオークス、秋華賞、エリ女の三冠を勝ち取った名馬である。ダイワスカーレットも有馬記念を逃げ切った名牝であり、スイープトウショウは宝塚記念で名馬たちを撫で切ったエンドスウィープの代表産駒。
秋華賞と言えば母父スピード血統が猛威を振るうレースであるが、上記の牝馬はダイワスカーレットを除いて母父が中距離馬である。グラスワンダー(有馬記念連覇)、ダンシングブレーヴ(凱旋門賞)、Seattle Slew(米三冠)。彼女らはみな差し競馬で秋華賞へ臨み、それを制したのだ。
ダイワスカーレットは明らかに小回りタイプであり、着差以上に強い内容で秋華賞を勝ちきっている。中距離の小回りで敗れた例はなく、その年の宝塚記念勝ち馬を相手に逃げ切った大阪杯などそのパフォーマンスは絶対的ですらある。外回りではウオッカにしか負けていないし、桜花賞ではそれを突き放している。まさに化け物、まさに名牝。
今年、エリザベス女王杯へ臨む秋華賞勝ち馬は2頭。ミッキークイーンとメイショウマンボだ。マンボはその格を既に証明し既にそれを喪失している様子であるが、果たしてミッキークイーンは・・・?(母父Gold Awayはマイル重賞勝ち馬)
して、母父に中距離血統を抱えている特別登録馬を並べてみるか。
シュンドルボン(エルコンドルパサー)
タッチングスピーチ(Sadler's Wells)
デンコウアンジュ(マリエンバード)
パールコード(Lost Code)←ギリギリ中距離馬?
ヒルノマテーラ(Concern)
プロレタリアト(キングカメハメハ)
マキシマムドパリ(サンデーサイレンス)
アスカビレン、クイーンズリング、シャルール、プリメラアスール、ミッキークイーンしか母父短距離がいないのだね。
と、ここまで書いたはいいけれども、別にND系であれば母父短距離はそんなに大きな問題ではないんだよね。2005年以降の勝ち馬だって母父嵐猫のファレノプシス、母父Nureyevのトゥザグローリーなどの例がある。そもそも母父ND系は嗜みみたいなもんだぜ。
エルコンとキンカメはNDクロスの種牡馬なので例外としていいだろう。正確には「Kingmambo直系のNDクロス血統だから」だな。
こういった考え方はあくまでも切り口だ。予想には直結しないけれども、「なんでシンプルに考えられなかったんだ」と頭を抱えることも少なくない。しかし頭を空っぽにしての予想なんてのは糞みたいなもんで、精一杯悩んだ上で妥協点を見出すのが大事なこと。
そして妥協点を間違えたことに発狂し、それを通り越して恍惚の念を覚えるまでがテンプレート。
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