※SS~Sunday Silence
※ND~Northern Dancer
※BP~Buckpasser
※ナスキロ~Nasrullah✕Princequillo
書きたいことはタイトルで終了している。だが一つここから提起したい問題があるのだ。
「何故キンカメサンデーの勝ち馬がいないのか」である。キンカメやステゴから大物を輩出した繁殖が活躍するエリ女であるのに、キンカメサンデーが実に不調なのだ。2000年からHail to Reason系が大活躍で、例外はデインヒルのファインモーションだけである。サンデーとRoberto強すぎ。
一応はディアデラマドレやアロマティコの例がある。アパパネも2年連続で3着している。だがステゴもキンカメも連対馬を輩出するには至っていない。これって結構不思議。母父キンカメのデニムアンドルビーも駄目だったし。
キンカメは各路線のG1級を出せる血統であるが牝馬はアパパネやレッツゴードンキくらいしかいない。明確に牡馬優勢の種牡馬である。それなら仕方がないとも思うが、様々なタイプを出せるくせにアパパネ・アロマティコ・ディアデラマドレとピッチタイプに好走パターンが偏っているんだよね。
アパパネはナスキロクロスだけれどアロマティコとディアデラマドレは非ナスキロクロス。
だからアパパネは厳密に言えばピッチ走法ではなく、外回りでも俊敏に切れるイメージの方が正しい。Deputy Ministerにボルキロ噛ませてTom Foolで処理をする・・・外回り向き牝馬のズンドバ切れの名門配合にギリギリ当てはまる。サンデーの助けなしに父キンカメでこれを表現したというのは貴重な例である。
この3頭に共通するのはキンカメのNashua≒Nantallahに対してLa France的な継続を行っていること。
アパパネ~Spectacular Bid、Nantallah
La Franceはナスペリオン血脈であるSpecialを巻き込むピッチ血統であることが最大の利点。Mr. Prospector✕Nureyev✕Nijinskyの流れを踏襲するから割りと簡単にピッチ走法に誘導できる。Fair Trialを絡めるのも良い。
そしてNijinskyを使うということはMenow-Tom Foolの流れにも繋がる。それをやったのがアパパネであり、キンカメダンスインザダークのショウリュウムーンやラブリーデイだろう。DanzigもBuckpasser大好きだが、本領はやはりNijinsky。それもMenowの状態からアイラビューアイニジューなのはやはりNijinsky。アロマティコはHalo≒Red GodかつNijinsky✕Menowだ。
こういう脈絡は決してエリ女にマイナスなものではない。しかしどうしても足りない。その理由があるとすれば・・・Mr. Prospector✕NIjinsky✕Nureyev✕Buckpasserというのは力っぽすぎるのだ。この米血統のパワーを牝馬に注入して中距離馬を作ることは実に難しい。
そのあたりを全てクロスしたのがレッツゴードンキである。キーンランドC3着、函館SS3着、JBCレディスクラシック2着、桜花賞1着などなど。
牡馬のラブリーデイでさえ二千二がギリギリだった。牝馬なら二千二はこなす程度と考えた方がいいだろう。真っ向勝負では足りないのでスローで差し込むくらいか。
こういった中で中長距離のスタミナを補完しようとするならば、やはりトニービンを使う一手だろう。ナスペリオンPretty Pollyを使ってNureyevやラストタイクーンをスタミナ化する。
しかしキンカメトニービンの牝馬はイメージ通りにズブい。唯一の出世馬はドゥラメンテの全姉アドマイヤセプターくらいなものだし、他にもソウルフルヴォイスなどがいるけれどやはりズブい。
そもそもトニービン持ちの名牝にMill Reefを使った例はない。Mill Reefってスピードの供給をしないし、BlandfordとかTourbillonとかSolarioとかスタミナに関わる血統ばかり好むんだ。Bold Rulerが2Fの切れ、Rivermanが3Fの切れ、という風に考えるならばMill Reefは4F~5Fの切れと言うべきだろう。
その例外としてリスグラシューは実に有用なサラブレッドである。Lyphard✕2とSadler's Wellsを使ってナスペリオンのズブさをカバーした力技の配合が、古馬になってからどういった変化を見せるのかが楽しみである。
おそらく牡馬の方が走りやすい配合だが本馬を含め姉妹はみんな小柄である。ナスペリオンの牡馬なら500近くは欲しいところであるから化け物に出るかは怪しいかな。ここも含めて今後の活躍に期待したい。
[fin]