砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

出走馬チェックその2 マイルCS予想

1枠2番サトノアラジン 川田将雅

 全姉にエリ女勝ち馬のラキシスがある名血。またディープ×嵐猫はニックスでもある。

 母母がMr. Prospector×Nijinskyで、母がStorm BirdNijinskyFappianoはナスキロラトロの血統と見る手もあるし、HaloやSir Ivorと「Mahmoud、Nasrullah、Bull Dog、Man o'War、Sickle」などを共通とする見方もある。見た目よりずっと深い配合。

 ただディープ牡馬としては欧州血脈の不足が深刻であり、そのくせナスキロ血脈がうるさく、しかもFlare=Omaha≒Johnstownのクロス群が強い。Secretariatの軟さが邪魔だとも言えるし、AlzaoStorm Catのスタミナがあるからこそ千四で差せるのだとも言える。少なくともマイルCSにおいてStorm Catの血が邪魔というわけではないから良いとしよう。

 牝馬で成功したディープ嵐猫配合は基本的に北米的であって、つまりディープのHalo≒Sir Ivor×Lyphardで強調された靭やかさと相性が良い。この配合はサンデーサイレンスというよりもキングヘイローに近く、ローレルゲレイロカワカミプリンセスが北米のスピードを取り入れて成功したのと同じ理屈だろう。

 だからこそTurn-to~Haloのスピードを強調する配合が必要なのであって、そこにHyperion×Swinfordの組み合わせを投じることは大きな意味を持つ。これはNearcticのスピードを糧に中距離力を高めたNorthern Dancerの配合に逆らうことでもあり、G1を勝つディープ牡馬というのはその処理に優れているものだ。理想はキズナだろう。

 その点からディープ産駒の兄妹(姉弟)が共にG1馬となるということは不可能ではないかと思う。あくまでも現在の番組における考えではあって、今時期に東京か京都で千四のG1があれば話は違ってくるかな。それならそれでミッキーアイルフィエロが立ちふさがるわけだがねぇ。

 日本の千四・・・特に東京と京都はナスキロ柔い短距離馬が勝ちやすい条件で、下りでじっくりとスピードを乗せてガーッと突っ込む競馬がしやすいことが理由。だからどこのポジションからでも馬は飛んでくるし、ナスキロ柔さの一つ技で勝ち切ることが多い。

 けれどマイルCSともなると前のめりにペースが上がる土壌があって、それだけにナスキロ柔さだけで突っ込むことが難しい。柔らかいから位置を取りづらく、柔らかいから下りの速さに賭けるしかなく、柔らかいから4角での捌きが難しい。競馬がしづらいということは馬の気性を活かしきれない面もあって、それはディープの牡馬にとって致命的ですらある。

 ディープ牡馬って末脚が一本調子なところがあって、つまり速いペースを刻んだ後にフワッとペースダウンする様な器用さがないのだわ。だから差し競馬になるし、人気を負って持続脚を繰り出すものだからまくり差しの体を成すことが多い。ガーッと出して、フッと落ち着いて、もう一回ガーッと追う・・・そんな競馬が出来ないのがディープ牡馬。ディープ牝馬はそれが身上なのだけどねぇ。

 それを克服できる条件が千四と言えて、これは大きなペースの起伏がないからゲートから二の脚を繰り出したまんまに末脚の域へ踏み込めるわけだな。しかも末脚特化の競馬をしても届くから外を通ることの不利が少ない。もちろん卓越した末脚を持つことが条件だが、それを本馬は満たしている。

 どうしてもマイルだと何処かで脚を溜める必要があって、本馬がそれをやるとペースアップした時の反応が遅れ気味なのだ。一昨年くらいにペースが流れるのであれば面白いのだけれども、そこらへんはミッキーアイル次第かな。

8枠16番ミッキーアイル 浜中俊

 今がまさに油が乗っている時期で、松山弘平が鞍上だったここ3戦は全連帯。これはゲートを8分目に出したあとに二の脚で逃げる騎乗がハマったからだと考えられる。松山ってスロー請負人ではあるけど荒い気性を背景としたスピードの扱いが上手いんだよね。スローにするってことは、気性に対して素直な騎乗をするってことでもある。それだけに綺麗に番手を取ることが下手なんだけれど。

 今回は浜中俊に戻しての参戦。こっちはもっとゲートを出していかないし、二の脚を使わせることもないスロー傾向の騎乗。末脚特化の騎乗とも言うし、番手のオーダーが出ていたころはゴタゴタしてばかりだった。浜中はそういった騎乗を重ねてリーディングを獲ったわけでもあるが、前目から上がりを使うスタイルはディープ牡馬に合わない。ディープ牝馬と浜中はいいコンビなのだけれども。

 今回も少し中だるみ気味に乗るはずで、あくまでも末脚を活かそうとするだろう。だがそれは距離短縮の乗り方であって距離延長の乗り方ではない。ディープ牡馬の短距離は千四タイプに出るわけであり、基本はワンペースの馬であるはずだ。馬の適性とレース選びの両面から距離延長とする今走においては、浜中俊の騎乗がハマりづらいだろう。

 

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