砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

朝日杯FS回顧

テンの3Fは35秒6だから逃げた馬の消耗はかなりのもの。そこからスローに落としてしまうのが松山流なわけだが、やれることはやったのではないか。トニービンを活かすにはまだ早いかと思うし、あれだけマージンを取ったのだからペースを落とした決断は悪くない。

勝ち馬サトノアレスはディープインパクト×デインヒルを地で行ったタイプだから強い馬ではない。デインヒルDanzigの処理をしなければならない配合であるし、それをしないことには重賞でどうこうできるはずがない。ただ思ったより完成が早かったかなぁ。早熟の勝利。

この早熟は嵐猫の祖母Crimson Saint由来だろう。ディープ嵐猫はSecretariatSir Gaylordのスタミナによって早熟性と中距離馬の格を維持していたが、本馬の場合はSecretariatを持たないためにスタミナ≒晩生傾向に対するスイッチを持たない。むしろ米血が増した分だけ早さに磨きがかかっているのだね。

デインヒルを処理するならもちろん米血も必要であるがNDを周到にクロスした方が味がある。NDをクロスしないのであれば欧州血統でアウト気味にハイインローだけをクロスするべきであるし、米血でクロスするならBuckpasserを使うべきだ。

その点に於いてはサトノアレスを褒められる。Eight ThirtyとBold RulerとMenowを引くのは良い。HaloとBuckpasserの脈絡を助ける仕掛けだ。スタミナとしての助けはないが俊敏ばかりはSecretariatより上の仕組みだと言える。Secretariatは靭やかすぎる。

ArtichokeもボルキロなのだがSomethingroyalを共通とするクロスほどに効果は見込めない。それがデインヒル×Bold Rulerというイメージが先行する結果を招いた。短距離系ディープは千四で勝ち味が強いから、まぁ・・・強いガルボ朝日杯FSを勝ったイメージかな。ダイワバーバリアンくらいには3歳春を頑張れるんじゃないかと。クラシックには来ないだろう。

全兄弟中では最も優れた産駒なのだろうけども、それでG1に届くのか。甘かったよなぁ。とりまディープデインヒルの配合では初のG1制覇となった。そりゃレベルの低い争いだったけれどもDanzig大好きな俺が認めない配合がG1を勝つとか・・・むしゃくしゃするな。

せめてAlydarでも引いていればと思うが。Alydarがあるからこそミスエルテを米血統主体のFrankelとして認めたわけだし。なんか身の詰まった配合に見えないんだわ。どうせならNHKマイルCでも活躍して欲しいけれど。

[追記]

来年のホープフルSはG1になるのかもしれないんだな。

血統から考えて、これからは中距離よりスプリント~マイルの方が層が厚くなる可能性もある。阪神マイルは限りなく直線マイルに近い条件であるとも言えて、本物のマイラーならばハイペースで押し切る展開もあり得る。ハナを切って4Fスパートから押し切る様な。

そういったレースが実現する様になったら中距離馬は朝日杯FSでは何も出来ないし気性や体質にも問題が生じやすくなる。そのときに受け皿になるレースとしてG1のホープフルSがあると嬉しいものだな。

これからは切れではなく内回りの持続力で競馬をする手も多くなり、それによって外回り戦もより活性化するはずだ。エピファネイアなんかの馬がああいった競馬で勝てるようにもなるわけで、どんどん菊花賞というタイトルの重みも増していくはず。サトノダイヤモンドとか今までのままだと活躍する場がなかったからなぁ。

馬場改修によって有馬記念菊花賞の最強ラインは薄れつつある。スタミナに優れつつ外回りでも内回りでも活躍できる中庸的な切れこそが菊花賞馬の証。在りし日の有馬はスタミナ任せにまくれたもの(ゴールドシップが良い例)だが、今はやや馬場が重いためにパワーピッチが重要となってしまった。

イケイケの内回り馬が多くなるに連れて有馬記念も持続戦の体を成す。そうなれば一部の馬が壁になり外から動くタイミングも生まれて菊花賞馬にも勝機到来。早めに動いて壁を利し、内回り馬の回頭性を阻害することによって必殺のスタミナまくり殺しを有馬の舞台で実現できるのだ。有馬の4角で一度ブレーキを踏んだらあとはもうチャンスがないから。

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