砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

日経新春杯回顧

池添はスタミナに自信を持った逃げを打った。ヤマカツライデンもよくそれに応えたがややオーバーペースであったらしい。これで逃げ切る器であるならば準エピファネイア級のシンボリクリスエス産駒とまで考えられたし、またそれを根拠に春天の本命・・・は難しくとも対抗は打てただろう。

この逃げに反応したかはともかくとして、和田竜二騎手の騎乗は素晴らしいものだった。少々引っかかりを覚えてこの騎手の重賞戦歴を見てみると、ミッキードリームの朝日CC勝ち以降の重賞勝ちは小倉と京都で占められていた。いずれも先行からの流れ込みであって、13年以降は顕著である。

悪しように言えば酒井学菊花賞で見せた様な騎乗を繰り返している。溜めるということをせず、ただそうしなければならないと言うように逃げ馬を潰す。持続力を背景にした競馬であるが、血統から考えるとやや疑問が生じる。

というのも、クランモンタナサトノルパンLyphardクロスであって、今回のミッキーロケットもNureyevクロスなのである。Northern Dancer+Fair Trialという観点からこの2血統は共通しており、つまり小回り向きの脚を以って京都や小倉をまくっている。この点において他の先行巧者とは別であろう。

京都2200m、2400m、3000m、3200mは小回り脚が重要視される。それはストライド幅が大きくあると1角2角で失速せざるを得ないためであり、特に今回の様なラップを刻まれるとその傾向が強くなる。スタミナを背景としてピッチの脚で立ち回る競馬が重要で、ミッキーロケットと和田竜二のコンビはそれをやってのけた。

ここでの先行は意外であったし、和田竜二の差しに妙味も糞もないと3着ほどにしか予想はしなかった。しかし彼は虎視眈々と得意のインバイアス京都で流れ込みを図っていたし、また鞍下が最近のマイブームであるBlue Larkspurのスタミナを、MiswakiCozzeneRivermanKingmamboの4血統から受け継いでいる。

スタミナの根拠についてはともかく、Pivotalのスプリントを差し脚に変換していたと考えていたのが大きな勘違いであって、そういえばこの馬はデビュー戦以来33秒台の末脚を使っていなかったのだ。また音無厩舎の所属であるのだから先行馬であっても差しに回されるのも当然と言えば当然。

今回の勝利によってピースが一つ一つハマった。正しいかは別として。

シャケトラは、浜中のしたい競馬には持っていけなかっただろう。あと一呼吸や二呼吸は動きたくなかっただろうし、そもそもこんなペースで稍重を走らされるとは考えもしなかったはずだ。けれど2.9倍の1番人気が前のめりに坂を下って行ったなら、それを追いかけるのが2番人気というもの。実戦経験も少ない1600万下クラスの明け4歳馬がやってのける競馬にしては厳しくある。

一度は交わした。けれどミッキーロケットが差し返した。これは適性の差だろう。シャケトラは京都外2400mを走るには少し器用すぎたし、逆にミッキーロケットは京都外2400mらしい不器用さを持っていた。瞬間的な靭やかさを持つか持たざるかの話。

シャケトラも決して鋭い馬ではない。しかし京都外をテロテロと流れ込むタイプだとは言えず、ベストは阪神2200mの好位差しだろう。自前のパワーで前進する競馬の方がよほど性に合っている。下りの惰性に雪崩れ込んでふわふわと走るよりは。

モンドインテロは話にならないな。この理想的な展開でこんな風にしか走れないようでは。

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