砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

柴山雄一とエトルディーニュ

柴山雄一×Sadler's Wells×東京芝では「重いHyperion気質でFair TrialとNashua≒Nantallahで先行する馬と柴山は好相性」という結果が出た。エトルディーニュの走らせ方を見ても早め先頭策からゴリゴリ走らせている。そういうタイプなのだと。

ウチパクさんとの対比をすると、結構意外なのだけれど、柴山の方がズブい馬を走らせることに長けていて、ウチパクさんの方がHaloの軽さが出た馬を得意としている。ウチパクさんの方がスローを好むからだろう。柴山の方が馬のパフォーマンスに依存して前のめりの競馬をしている。

あくまでも、先行気質の馬に限った話だけれど。

共同通信杯の回顧が混じるが、前半の落ち着かないペースになったのは柴山の働きが大きい。田辺がハナを主張し、ルメールは2番手で落ち着かせた。この二頭の関係で完結させる予定が、柴山が3番手から突っついてきた。落ち着いた矢先に並びかけられたタイセイスターリーはかかって先頭へかっ飛んでいった。

意図しているのかは分からない。けれどワンペース気味に前へ取り付く競馬は血統背景からして理に適っている。サドラーのまくりは俊敏と持続の境から生じる戦法であるから、持続へ傾けた配合馬なら早めに押し切るのが正解だ。エピファネイアもそうやって菊花賞ジャパンカップを勝った。

柴山ワンペースの秀逸な点は絶妙なタイミングで前へ取り付いたことが一つ、そしてもう一つはそれを徹底してサイバーエレキングのまくりに呼応しなかったことだ。先に行かせても経済コースの利は手放さなかったし、またワンペースの延長でそれを交わしてもいる。適性違いの馬につられない冷静な判断だったと思う。

して、エトルディーニュの方であるけれども。これはスローでもビュンビュン弾けていた馬だ。それがこういった35秒1の上がりでジリジリと残すってのは非凡な結果である。切れる脚があったから切れていたのではなくて、より余力を残していたから切れていたんだ。切れるための仕組みを表現していない馬が33秒の脚を使うってのは素質の違いで弾き出すしかない。

これが勝ちきっていたなら手放しで褒められたし、父がハーツクライであったならG1で通用する未来も簡単に想像できた。しかしどちらでもない。2着だし、エイシンサンディだし。

ただ、適性違いの結果ということであれば明るい将来を描ける。実はダート馬だったんだ~とか、実はマイラーだったんだ~とか。そういうシナリオであればこの2着のエイシンサンディから大物の匂いを嗅ぐことは出来る。

ともあれ、エイシンテンダーチューリップ賞くらいの価値がある2着ではあったかと。東京を走らせているうちは柴山とのコンビでいいと思う。

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