砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

アドミラブルの配合

ディープとグレースアドマイヤを組み立てることに異論はないのだが、その基礎材料にシンボリクリスエスを使ったのは・・・謎采配である。

ディープインパクトに近い代でトニービンやSadler's Wellsの重さを組み込むことは良くない。であるが多くの例がそれを実証したように3代目以降であれば良い結果を生むことは確かである。その点母母グレースアドマイヤというのは意欲的で面白い。

全体をバラして考えるとSadler's Wells(=Fairy King)・Seattle SlewトニービンTom Foolであるからハープスター的である。ただRoberto直系のシンボリクリスエスということになるとディーマジェスティの香りもしており、パワーとピッチに傾けた配合にも見える。シンボリクリスエス×Sadler's Wellsというのはエピファネイア的でもあるから瞬間の速さも考えられる。

だが実際の走りはいずれの日本馬にも似ていない。骨太であるが俊敏に靭やかに動く一流馬である。トニービン×Specialの雰囲気もSeattle Slew×Sadler's Wellsも感じられる。ディーマジェスティ的な頑強、エピファネイア的スタミナ、ハープスター的な末脚、が混在している?

配合に問題はないので歪みは見られないまとまった馬だと思う。ただ上記の馬ほど突き抜けたものは見られないのが唯一の不安要素かと。格で圧倒している分には負けることもないが、それが通用しなくなった時には適性という奥の手で一刺しするしかない。スローからの瞬発なら負けはしない、小回りの末脚では負けない、ハイペースの消耗戦では負けはしない、そういった一芸が見受けられない配合ではないか。

そう考えると当時でも有数の実力馬でありながらG1勝利の栄冠を得ることのなかった同馬主のグレースアドマイヤ産駒、リンカーンを思い出される。この青葉賞を取り逃がすことはないだろうが、本番で大きな期待をしてはならない。

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