砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

アドマイヤリードの底力とは

Nashuaの解明において考えだしたことは以下の通り

・Ladasとの関係が重要

・Flower BowlによってDonatelloとの遠い関係が成り立つかもしれない

なので単純なNashua≒NantallahかつFlares=Omahaしか発生させないNumerous=ジェイドロバリーにはDonatelloとの脈絡は厳しくあって、この考え方における底力の抽出は難しいだろう。

しかしこれはあくまでも牡馬としての理論である。ディープ牝馬がBurghclereニアリーを求めない様に、ステゴミスプロ牝馬もDonatelloへの確かな脈絡を必要としない可能性がある。

であればNashuaのSardanapale×Ladas一本釣りでなんとかなる可能性が。

これはステイゴールド産駒における裏街道だと考えられ、つまりノーザンテーストはFlembette的にしか使用せずにディクタスの切れを表現するというものである。ここからの頑強をかなり強めに拒否する。

そも仏血統の切れとはつまりRabelaisの切れであって、であればRabelais-Durbar-Flembetteへの脈絡も可能である。Flembette血統のサンデーサイレンスノーザンテーストNijinskyNashua・Nantallahを仏血統の切れへ転化することが可能なのだ。

この急所とはさてどこであろう・・・。Specialの父Forli、その父Aristophanes、その母父Miexce、その父Massine。このMassineがアドマイヤリードの4代母Skeldaの3代父にあたる。Skeldaはフランス芝2600mのポモーヌ賞の勝ち馬で、大体は中距離馬なのである。

このSkeldaの父La Varendeの血統をヴィクトリアマイル回顧にて褒めたが、これが当時フランスの中距離レースであるジャンブラ賞の勝ち馬であり、Sardanapaleの母父にあたるFlorizelの直系血統。その歩みはひどく「Sardanapale×Ladas」的であり、これをNashuaへ脈絡させたことを特に褒めた。それを「エイシンフラッシュ的である」とも言ったし、ドイツ的だとも言った。

ただドイツ血統ほどのんびりしていないのはフランスのお国柄というかなんというか。ルメールの乗り方からしてもそうなのだけれども、激気性に触らぬ程度に巧く位置を取り、すこーしずつそれに火を入れていって土壇場でそれを燃え上がらせるってのがフランス流。つまりディクタス的でありWild Risk的であり、最近で言えばイスラボニータなんかがその類の切れ方をする。

また6代母Aurore Polaireがさり気なくNashuaとDonatelloの連動を果たしているところも良くて、これはフランスやアイルランド混じりのドイツ産繁殖。これは脈絡しているというわけではなく、ディクタスへ流れ込んで意味があるかどうかという程度か。

一言ですませば「母母Mare Aux Feesがステイゴールドと反応してNumerousの持つ遠いスタミナを増幅している」という話で、デンコウアンジュが中長距離×中長距離でもRelicクロスでマイルをビュンッと差し切る末脚を抽出したのと同じ理屈。

パッと見た感じではまるで脈絡していない血統なのに遠い代では名血統のクロスが入っている。相似配合の出来損ないみたいなものではあるのだが、層の薄いマイルG1でスローになればジリ脚の強豪中距離馬を倒すパフォーマンスをひねり出せたのだ・・・という結末かと。

Kingmamboという名血統の素晴らしさから言えばやはりRibot×Princequilloが欲しいのだが、Sanctusに特化した配合でもそれに近い底力を得ることが出来るのかもしれない。

血統の歴史から言えばPersimmonとFlorizelのめぐり逢いにこそ真価があり、MassineとPrince Roseの祖先がそれぞれ全兄弟の間柄であることが実に芳しい。こういうわざとらしくて分かりやすいドラマを作り上げるのがフランスというお国柄だ。

流石にそれを理由とすることを是とするわけじゃない。けれど「PersimmonがPrince BioとPrincequilloとPrince Chavalierを経由して伝わり、FlorizelがSardanapaleとMassineを経由して伝わった。これを骨幹として配合したならHampton系のスタミナが表現されて然るべきではないだろうか。」という理屈も何もない雰囲気だけの思考で頷きたく気持ちがある。

だってジェイドロバリーからスタミナを抽出しようとしたらSardanapale×Ladasからは逃れられないわけで、逆にそれを幹としてスタミナを作り上げたドイツ的フランス血統が母系にあって、父がステイゴールドってわけだったなら、それは納得できなくはない事態。

4分の4を使って同源の切れ(Rabelais)と底力(Sardanapale×Ladas)を表現したのなら、穴場G1を勝つくらいのことは出来なくはない。ただそれを事前に説得力と共に表現することが出来るかどうかは全く別の話。自分でも今、何言っているのか分からんもん。

またRibot×PrincequilloってのはRabelaisとPapyrusとWhite Eagleと、そして「Sardanapale×Ladas」が肝な組み合わせであるから、その代用としてダイナサッシュが担当する手はあるし、であればその血の先にディクタスがあったことも無関係ではない。

我々血統ファンは、特に先生のファンは、もっと深いところでKingmamboジェイドロバリーを考える必要があると思うのだわ。いっつもいっつも俺は先生の血統論に惚れて思考停止してしまう。ファンだからこそ否定しなければならない。

だって先生とファンは同源とした存在ではないし、何かしらの要素を組み込みながら血統論を発展させていかなければならない。それが不要なものであったなら近い将来に淘汰されるであろうし、必要であれば永遠に残り続ける。血統論の通りに数多の血統ファンが血統を論じるべきである。

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