砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

オークスの登録馬を簡単に

アドマイヤミヤビ

 末脚はハーツクライというよりもディープ牡馬的で、同じ母父クロフネステファノスに近い。加速があまり俊敏ではないが太い切れでドンドコドンドコと差し込んでくる。クロフネデインヒルLyphardクロスだから基本的にはまくり気質な配合であり、オークスなら良い意味で誤魔化しはきくと思うが最後まできっちり伸びるタイプではない。

アドマイヤローザ

 アドマイヤミヤビとLyphard×デインヒル×クロフネ×サンデー×トニービンが共通。更に言えばAlzaoShareef Dancerなども似通う。あまりクロフネの図太さが表現されておらずアドマイヤグルーヴの印象が強い。Danzig×Vice Regentノーザンテーストの影響が見える脚色で靭やかだ。

 前走は追い込みの競馬であったが少し厳しい争いでもあった。見直す余地はあるが相手強化と距離延長を思えばいささか厳しいか。

アルメリアブルーム

 G1で争うには細く脆い印象を受ける。ネオユニっぽいステイゴールドという風で未勝利勝ちの通り平坦小回りがベスト。ステイゴールドの後継にサンデークロスを施すとこういう馬に出がちだろう。ここでそこそこ走ってくるなら秋華賞が楽しみ。

アンネリース

 ヴィクトワールピサはこういった仏繁殖が得意。柔らかであるが末脚を繰り出すと硬さが見えるってのがヴィクトワールピサ牝馬の特徴で、これは少し悪い方向かな。力強さとフットワークの鋭さほどには前へ進んでいないのは前脚が硬くて身体が沈んでいないからだ。ジュエラーを例とすれば致命的な欠陥に見える。またこの走法で東京二千四はもたないだろう。

リビアンゴールド

 Cape Crossはスタミナ化=鈍化したDanzigなのでノーザンテーストを柔らかくスタミナ化したステイゴールドとは共通点が多い。マンカフェ×Cape Crossのアースライズと似た中距離馬であり、ここでの躍進は十分に見込める。

 タナカツは今ひとつな騎手になってしまったが、外回りでこういったパワーズブい馬に乗せると少しだけ安心出来る。東京千八のスローできちんと弾けた前走から良化は見込めるし、馬群も嫌わないので内に入れば穴の候補として見込める。

ソウルスターリング

 BahramとRelicの組み合わせの強い字面通りのドイツ娘。なのでやはりエイシンフラッシュ的な切れは見られるし、ガッツリと底力の勝負になるとやや弱いところがある。ただ追走能力は段違いに高いし、馬群に入っても全く問題のない気性を持つ。

 オークスならペースを選ばずに末脚を繰り出すであろうし、最悪オブ最悪の場合にハナを切ってしまっても勝ち負けまで見込める。前走の負けがあればマークはほんの少し緩むだろうし、オークスで最後までマークし切ることはめったにない。間違いのない本命。

ディーパワンサ

 Glorious Songのパワーが表現された牝馬ヴィルシーナシュヴァルグランを見ての通り、Glorious Song牝馬ならズブズブマイラーで牡馬ならズブズブ中距離馬にしてしまうしかない。それを回避しようとするなら、そのオンとなった血統を完全に緩和すべきだ。

 本馬の場合は「4分の3Halo、4分の1Riverman」なので回避するどころか真っ向から受け止めた形であり、そりゃ力っぽくて早熟になってしまう。Blue Larkspurは牝馬切れであると言っても、どこかしらで緩和しなければならない。サンデー直仔時代においてはWishing Wellがその担当をしていたのだ。

ディアドラ

 Guapa≒キャンペンガール3×3は「Northern Dancer×Tom Fool×Princequillo×Aureole×Bois Roussel」を共通とするニアリークロス。牡馬ならスタミナが表現されそうで面白いニアリーであるが牝馬だと千四に寄ってしまうらしい。

 Tom Foolなのでスローであれば距離延長もこなすし、瞬発力にも優れている。それだけに少し勝ち味の弱さが目立つ配合でもあり、ここでの好走は考えづらい。一発がハマるという馬ではないだろう。本格化してからの千四、あるいはクイーンSで会いましょう。

ハローユニコーン

 この累代でよくぞハーツクライの瞬発馬を作ったな、という配合。まくれるし差せるしで田辺には扱いやすい馬だろうが、牝馬である分だけ前のめりの動きには対応していない。悪い配合ではなく、むしろ良い配合だと思うけれど、牡馬でこそ表現できるのがミルジョージってもの。これも一応Ribot×Princequilloであって、Mill ReefGraustarkみたいなパワーも表現する血統だろう。この斬れ味は道悪エリ女をぶった斬ったレインボーダリアに近い。

フローレスマジック

 全兄にサトノアラジン全姉にラキシスがある好配合ディープ嵐猫がこの馬。クイーンCではアドマイヤミヤビとアエロリットの3着であるが、コンマ4秒差は大きい。マイルを見限って中距離へさっさと切り替えたのは英断かと思うが横綱相撲で挑んだフローラSでは前を捉えきれずの3着。帯に短し襷に長しという風。

 大事に大事に使っている様に、あるいは全兄全姉の様に、やっぱり早い段階で使える馬ではないのだろう。ラキシスカイバ食いが悪くて秋まで時間がかかってしまったし、ここは様子見の挑戦で本番は秋と見据えているのかと思う。クイーンC時の18kg増も身体を太らせただけで詰まった筋肉を仕上げた数字ではないだろう。

ブラックオニキス

 ブラックタイドディープインパクトオンファイアはかなりSundridge系パワーに敏感な種牡馬で、RomanなどのBuchanを積極的に導入すると力っぽくなりがち。ブラックタイドにおいてはそのたぐいのパワー&スピードで先行する手が有効で、またそれをLyphard-Goofedでまとめ上げるのが定石。

 本馬はそのあたりのケアが不適切であり、Alzao≒Chief's Crownの靭やかさもあるのだが内回りベター。本格化してからの靭やかさを見ることも難しい配合であり、この類の牝馬であればTom Foolがないと厳しい。

ブラックスピーチ

 Kingmambo×Seattle SlewなのでHaloの牝馬切れを表現しやすい。Specialのクロスがない分だけエルコンドルパサー持ちほど俊敏ではないが、Pulpit経由のSeattle Slewなら良いズブさが表現できそう。

 Blue Larkspurの切れを表現しやすい配合形であるから牝馬ベター。Alzao≒Chief's Crownもこれならまともに作用するはずであり、ジワジワといい脚を繰り出せる。リーチフォーザムーンでSecretariatSir Gaylordの累進を行い、それを母父Kingmamboで封じてしまったのが格好良い。PasadobleはAllegedと脈絡する「Ribot×Princequillo」であり、極端な柔さは見られないはず。

 アグネスデジタルの近親という見方はしづらいが名血を上手に使い込んだ配合。どちらかと言うとキングカメハメハの遠い親戚という見方をしたいところで、相手強化でも対応は可能。山本オーナー所有らしく中長距離のスタミナに富んだ馬だ。

ブルークランズ

 Halo≒Sir Ivor的に柔らかいけれどルーラーシップ産駒らしくもある。溜めて溜めてで突き抜けた前走の競馬は和田竜らしからぬものだが、Kingmamboダンシングキイの競馬に相応しい内容。福永が乗っているみたい。

 まだ距離が伸びてもよさそうだが3歳春にG1で争うほどに本格化しているかは疑問が残る。Kingmamboダンシングキイは底力に関するところを強調するものであり、早さや速さに関してはむしろマイナスファクターとして映る。勝ち上がりも遅くあったし古馬になってからが勝負だろう。

ホウオウパヒューム

 母がKingmambo×Sadler's Wellsなのでニックス配合。Lady CapuletがDroneと4分の3兄妹なのでやや力っぽい靭やかさを持つのが難しいところで、El Pradoとはここのスピード&パワーで北米競馬へ乗り込んだSadler's Wellsである。

 3代母Sweet and SteadyがCrepelloやPrince Chavalier、それにNashua、Princezuillo、Blue Larkspur、Court Martial、Big Gameで構成された血統なので、St. Simon系のスタミナに富んだ配合。Crepelloの母父がMieuxceなのでSpecialとのクロスが発生(Forliの父母父がMieuxce)していて、これはアドマイヤリードに見たスタミナである。

 ジェイドリバリーほどにスピードへ特化したSpecialを持たないから、マチカネタマカズラの持つスタミナは非情に強烈である。KingmamboNashua×Flower Bowl)に対してNashuaを携えながらDonatelloを組み込んでいる点もまたスタミナ的であり、想像を遥かに超えてジリ脚であることを指摘したい。

 フローラSは8着という1番人気にあるまじき大敗であるが過去3戦と比べても末脚は同程度使っている。ああいうビュンッと33秒で弾けるレースが合わなかったという負け方であって、距離延長とペースアップがされるオークスで見直す余地は大きい。時たま33秒台の末脚で決着するが、大体は34秒台でジワジワと差し凌ぐのがオークスという舞台だ。

マナローラ

 数少ないMr. ProspectorとDonatelloの近代配合の成功例がライフアウトゼア=Silver Deputy。近いというほど近くはないのだけれども、結構珍しいのだわ。Deputy Minister×Mr. Prospectorは他にルージュバックの母父Awesome Againなどもそうかな。この組み合わせはかなり早熟に出る配合形で、その理由はHyperionを代表とした英血統の不在によって説明できる。これの近い代に偉大な英愛スタミナを脈絡させられないのだ。

 なのでカネヒキリオウケンブルースリの様に何やら曖昧な具合に調和されたLe Fabuleuxトニービンに頼る一手。それにハーツクライ×Kingmamboの配合形が適うのかどうか・・・ってのがこの配合の肝かと思う。

 オウケンブルースリが成功したのは一重にHaloを持たずにMan o'War的な靭やかさを確実に積み重ねているおかげであり、その基幹としてNorthern Joveの存在がある。一言で表せばMr. Prospectorを靭やかに使っているかどうかということで、キンカメのミスプロクロスがダートへ傾きやすい傾向を思えば、疑問が残る。

 なんやかんやでPapyrusを活かした靭やかさによってKingmamboは靭やかさを供給している。なのでハーツクライ×Kingmamboそのものは良いとしても、残る4分の1にライフアウトゼア=Silver Deputyを配することに頷きたくはない。せめて男馬でダートを走って欲しい。

ミスパンテール

 今は亡きヴェルデグリーンの近親。こちらはオークスウメノファイバーを通さずウインラディウスと同じジョウノマチエールの枝。シンボリクリスエス×マルゼンスキー×サンデーサイレンスなのでヴェルデグリーンというよりもエピファネイア的な切れ。

 ダイワメジャー産駒なので先行ベターであるがヴェンチア=Buisson Ardentの切れも見られて、スローからの差しが今のところのベストパフォーマンス。四位のおっさんが見せる「スローでも後出しの後方追い込み」が功を奏した内容であり、桜花賞で集めた人気ほど秀でた内容ではない。

 桜花賞は始めての道悪が合わなかったのもあるだろうが、やはりあのペースに巻き込まれて踏ん張る底力を持っていなかった。底力というよりも英愛の重さか、ダイワメジャー×シンボリクリスエス×マルゼンスキーではスタミナの脈絡に弱さがある。

モーヴサファイア

 Halo×Rivermanに対してPapyrusからのケアが決まっていて、これが強いNorthern Dancerクロスへの大きな布石となっている。特にノーザンテーストなどには効果的に働くのだろう。もしもダンビュライトが女でモーヴサファイアが男であったなら、二頭ともG1へ挑戦する器には出なかったはず。

 本馬の良いところは4分の3がRibotで構成されているところで、また父ハービンジャーPrincequilloに対して頓着しないのがよろしい。Ribotと一緒にPrincequilloを組み込むこととHalo≒Sir Ivorが巧く回転し、Halo×Rivermanの切れが巧く表現される。外回りに特化しておらず、むしろ小回り的にズボッと抜ける切れはアドマイヤリードに似ているだろう。

 ただハービンジャー的にズブいしまくれる。距離がマッチしているから二千が良いのではなく、そのズブさが理由で二千で走っている。本来は千八でジワジワ切れる馬であろうし、強いスタミナを持たない配合からはオークスで買う理由が見つからない。

モズカッチャン

 「4分の3Last Tycoon≒Storm Cat≒Chief's Crown、4分の1Kingmambo」からの「4分の3Last Tycoon≒Storm Cat≒Chief's Corwn≒Shareef Dancer、4分の1Dansili」という凄まじい発展。

 その一方でサイトディーラーのMr. Prospectorハービンジャーは完全アウトしており「お前とお前は違う存在なんだよ」と突き放している。その代わりにHigh LineやConnaughtなどHyperion×Donatelloの強いスタミナを抱えていて、相似配合としての相性には手放しで褒めたい。

 相似配合というのは互いに同じ材料を持ち寄るのを当然として、また同時に背景を別の色としているべきなのだ。そしてその色が全く別のものであって、同じ材料を介して喧嘩しないものであると素晴らしい。本馬はHis Majestyを「同じ材料」として「背景」をMr. ProspectorハイハットAureoleで全く異なるものとしている。この組み合わせは問題なしのパーフェクト。

 もし今年の3歳牝馬が不作であって、混戦模様であったならばこれを本命にしたと思う。いいや、血迷うことあれば、今年の豊作ぶりであっても、いや、どうだろう。

ヤマカツグレース

 父がハービンジャーに代わったヤマカツエースの妹。フローラSはスローに助力して2着を得た。グラスワンダー≒Dansiliからしてまくりの匂いがプンプンするが、兄と同様に内外兼用っぽい。身体が小さい分だけ外回りのスローでビュンビュン弾けた方が勝ち味が強いか。

 兄が有馬記念で突っ込んできた様に距離の融通はききそうである。ただ前のめりの競馬で二千四をもたせることは難しいはず。やはり近い代に分かりやすいスタミナがあったほうが計算が立つのである。

リスグラシュー

 上手くまとまったハーツクライ牝馬で、今までの内容を思えばここを通用して然るべき。ただヌーヴォレコルトと比較すればマイルで切れすぎている気もして・・・というよりも阪神外で切れすぎている。

 これはおそらく緩い馬体が緩やかに下り続ける阪神外の条件にハマったからだと考えられ、そういえばローズキングダム阪神外でビュンビュン切れていた馬だ。Hyperionの強い馬であるからこれから後躯がムキムキになっていくのだろうけれど、今の状態で東京変わりは少し不安が残る。

 前走はNever BendBold Reasonの道悪適性でソウルスターリングを差したと、あるいはペースと位置の兼ね合いでの逆転だったと、色々考えられはする。ただいずれにしてもオークス適性を思えばなかなか難しいところであり、アパパネは差せてもソウルスターリングを差せるものかは。結構怪しい人気馬だと思うんだよねぇ。

レーヌミノル

 本質は千四馬でマイルもやや長いイメージ。スローなら千八や二千もこなしそうだが二千四という話だと疑問視たっぷり。俺、ハービンジャー産駒にすら「スタミナ足りねぇんじゃねぇの?」って疑問を投げかけているからね。

 ダイワメジャーで二千四以上のモノを示したのはメイショウカドマツのみであり、それでも道悪とスローの恩恵を受けた内容だった。しかしそれでもゴールドアクターには差されてしまった。若さに任せた距離延長は千六までだと。本格化してからスプリント戦線で悪戦苦闘して欲しい。

レッドコルディス

 「Nasrullah×Hyperion」の切れを表現しているのだが、一方でRoberto×Danzigも表現している。直線に入って「あ、これは差し切るんじゃないか」と思わせてからの小汚いストライドが虚しさを誘う。見直すのであれば内回りであろうし、せめてもう少し内枠に入ってからだ。G1を戦う器ではない気が。

[fin]