砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ベストアプローチの不調和

New Approach×Efisioの良いところはSadler's Wells×仏独血統の組み合わせを累進している点。A級ステイゴールド産駒くらいのスタミナが見込める配合であり、Sadler's Wellsの靭やかさをオンにしているから日本の芝でも順応する。ただ10秒台で弾ける脚はない。

S級に足りないのはHis Majesty=Graustarkを持たないからで、これを抱えて先行するのであれば本命に出来たし、青葉賞でも前受けしてアドミラブルを制することは出来たと思う。鞍上が佐藤哲三であったならガチガチの本命。

ただその場合はブライアンズタイムでもKingmamboでもなくデインヒルからそれを引く必要があったわけで、その上で仏独血統との調和を果たし、外回りを押し切る中庸の脚を表現するともなるとソウルスターリングに比肩するレベルの名血統である。そりゃダービーでも人気を背負うし本命にもするわ。

だがA級としての質はある。恵まれないだけで重賞勝ちくらいは余裕のよっちゃんだ。だがG1を勝つには母母の配合が今ひとつ。

独仏に対する米血統としてSilver Hawkがあるのは面白い。ブラックホークだとかグラスワンダーだとかの切れを表現した素材であり、この分には不満はない。大きな問題を抱えるのは3代母Wiener Waldである。

これの母母TerlinguaはStorm Catを輩出した名血統であり、父がNorthern Dacerへ代わったChapel of Dreamsがこれの母。その上へWoodmanが配されてWiener Waldだ。Woodman×Northern Dancer×Secretariat×Crimson Satan×Bolero。

Northern Dancerは北米の名血統であるが殆どが欧州血脈によって構成されている。であるから北米で大きく発展したわけであるし、Hyperionのクロスを持つ血統はその分だけ強烈な北米血統のワンクッションを抱えるのである。

その点からして・・・South Ocean(Storm Birdの母)のワンクッションを除いた「4分の3Storm Cat」にどれほどの価値があるのか?この質の低下を解決しなければこの枝葉に未来はないだろう。

Woodmanの存在はその解決に一役買う血統であるが、まだその歩みはヘクタープロテクターの域から出ない。Silver Hawkによって解決へ進んでいるが、まだ足りない。足りないのに4分の1を担当してしまった。

4分の1が矛盾を抱えていた場合、まずG1馬の輩出は難しい。魔法が必要だ。ニアリークロスにそれを求める手はあるのだが、Miswaki×Wiener Waldでは一味足りない。これをニアリーへ至らしめる影の存在を必要とする。だがPark ExpressにもEfisioにもそれを求められない。

なれば・・・2分の1と2分の1のニアリークロス。全てを巻き込んだ相似配合に答えを求める一手である。相似具合には特たる問題はない。あとは背景だ。

New ApproachにはTantiemeという強い背景がある。だが母方にそれは求められない。これこそが不調和の理由。

Sant Elenaが矛盾の解決を図るために何らかの優秀な血統をクロスしており、それをWoodmanNorthern Dancerを母体として眠らせていて、その上でTantiemeとの弱い脈絡を持っていたならば魔法足り得た。G1勝ちへの道を拓く矛盾殺しの魔法である。

足りないよなぁ。

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