砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

エイシンフラッシュ産駒の配合について Princequilloの解明

Princequilloの働きについてはディープインパクトオルフェーヴルの産駒を比較することで分かってくることも多いと思う。これにディープスカイなんかも加わって楽しい世界が広がるかと。

それにエイシンフラッシュが加わるはずだが。

最初に書いておくが、これはSans Souci編の導入部分にあたるものである。

Sans Souciは母父St Serfで4分の4Stockwellの配合。4分の4Stockwellということは4分の4Pocahontasということ。悲劇と表現されたSt. Simonの急激な繁栄と凋落がStockwell-Doncaster-Bend Orという異系の発達を助け、またそれはPocahontasのクロスによって脈絡した。

現代において最も直系を繁栄させたBend Orは三冠馬を輩出してなおSt. Simonのためにリーディングサイアーの地位を得ることがなかった。だが時を経ることで最強サイアーは脈絡し、種牡馬として最高ではなくとも至上の血統として昇華された。

戦前の競馬においては非St. SimonのBend Orが持て囃された。母系に入っては父母であるDoncasterとRouge RoseをそれぞれクロスしたThe Tetrarchが輩出されたし、直系にあっては母父にHamptonを据えたPolymelusがある。この二頭は間もなくSt. Simonを取り込んで、然るべき後にめぐり逢い、Northern Dancerサンデーサイレンスを輩出する。

これに対するPrincequilloは・・・?という話だ。GalopinまみれにしながらもSt. Simon4×6のクロスに留めたPrince RoseへSt. Simon=Angelica4*4×3のPapyrusを組み込んだ血統は?Prince ChavarlierもPrince BioもSt. Simonの弱影響を継続したというのに。

St. Simonは猫をも殺した激気性を伝えた血統であり、現代日本の競馬から照らし合わせれば末脚特化の血統だったと思われる。であるからHamptonなどのスタミナを近い代に組み込むことがベターであり、これとのニックスが最も現代へ影響を及ぼしている。

Prince Roseの配合がGalopin-St. Simonの緩やかで確かなクロスによって構成されているのは、その周辺にあるスタミナを活かすために必要であったと考えられる。であるから、それを増幅することで斬れ味の強化を行い、現代へ影響しているのではないか。

もしも、であるが。もしFair TrialやWild Riskの激気性がSt. Simonの遺伝であったなら、それらによってPrincequilloは靭やかな身体を躍動させるだけの気性を得たのではないだろうか。もちろんこれほどに繁栄した血統に対して限定的に過ぎる考え方ではあるが、そういった風に現代に「激気性」は紡がれてきたのかもしれない。

もちろん、長い年月によって気性の伝わり方も多様化している。それはSt. Simonより前の時代においても同様であったろう。

ということはSt. Simonによって気性は画一とされ、その代が遠のくことで気性が多様化された。そして今、日本においてはサンデーサイレンスの気性で競馬が凝り固まっている。

であれば、St. Simonの研究によって多様化された気性を分類することは出来そうである。そして50年もすればサンデーの気性も多様化する。そしてまた世紀のリーディングサイアーによってそれは画一とされる。サンデーを研究し、気性を解明する。という繰り返しだ。

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