砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

とっても楽しい僕らのクイーンS

札幌千八の牝馬戦ってのは非情にニッチな条件で、札幌記念とは違って現代競馬的な地力を試されないレース。

札幌二千の別定混合戦は平坦における中距離スピードの絶対値を試すものであるのに対し、千八牝馬戦は展開利を得るためのスピードを要求される。最強馬がジワッと抜け出す様な風ではなく、むしろ最強馬を殺すためにあるような。

ここへ出走するは3歳マイル王者のアエロリットと古牝馬マイル王者のアドマイヤリード。そして「なんでも出来るけれど地力勝負におけるユーティリティが長所」のマキシマムドパリ、クインズミラーグロなど。クイーンSという舞台においては実に面白いメンツだろう。

またトーセンビクトリーという名血の重賞勝ち馬、内回りでの安定ぶりが目立つパールコードヤマカツエース全妹の3歳馬ヤマカツグレース、底知れぬステゴ牝馬クロコスミアなど妙味たっぷりな面々も揃った。たまにある残念な秋天よりもずっと面白いメンバーが揃った。

して彼女らに求めるのはやはり千四適性である。このレースを勝つべくして勝つのは短距離レースにも適性を持つ半端な千八馬である。

その代表格がメイショウスザンナ。福島千二でマイネルエテルネルを破ってオープン入りを果たしたこの馬は結局スプリントで目が出ずに距離延長を施された。ターコイズS3着、福島牝馬S3着と徐々に調子を上げていき、とうとうクイーンSで念願の重賞制覇を果たす。

マイネルエテルネルを差し切ったテレビユー福島賞のラップは11.7-10.5-10.8-11.0-11.5-12.3、勝ち時計は1分7秒8。メイショウスザンナの上がり3Fは34秒0だった。単なる千八馬が差し切るには厳しいラップである。計測が正しいとすれば33.8-34.0であり、11.8-11.0-11.0-11.0-11.0-12.0とイメージすると凄さが分かるかと。

このラップは13年スプリンターズSの3着であるマヤノリュウジンの格落ちくらいには評価出来るものだ。つまりメイショウスザンナ牝馬にしてはかなり高い能力を持った千四馬だったと推測される。オープンに上がってからは千四を走る機会を得なかったが旧阪神牝馬S阪神千四牝馬戦)で本命に出来る器だったかと。

今年のクイーンSにそれらしい馬は見られない。であれば、見出すまでである。

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