ストロングタイタンの強みってのはつまり、池江調教師の絶妙なレース選びと采配に他ならない。競馬ファンを絶妙に悩ませる嫌なところをついてくる。(ドリームジャーニー以来の池江ローテと言えばそうだが)
数多と引くNorthern Dancerの締めにDanzig4×4を仕込んだのは評価出来る。そしてTiznowを異系としてMr. Prospcetorを4分の3で引いてのも良い。配合の基本となるMr. ProspectorとDanzigに交えて、この二血統へのニックスでもあるBuckpasserの強いクロスを4分の1としているのも素晴らしい。
なので考えるべきことは、Tiznowがこの血統上において作用しているのかどうかである。
Cee's Tizzyは珍しい非PrincequilloのIn Realityである。それが前受け最強馬へ昇華された理由にPrincequilloのクロスを持つSeattle Songを4分の1として作用させたからだ。まず、これへどのような形でPrincequilloを注入したを考える。
2代母Ensnareは非Princequilloで母タイタンクイーンは「8分の1Princequilloクロス」。だがBuckpasserクロスがあるので、Princequilloへの責めとしては上出来。
父Regal RansomがPocahontasとDedicateを通じるPrincequilloクロスである。薄いクロスであるが16分の1へ注入する分には上等だ。ここから考える更なる問題は、PocahontasがBuckpasser×Princequilloへ適応するのかどうか。これもサトノダイヤモンドから考える限りはベターなところだろう。ならばPrincequilloの問題はクリアされた。
残る大きな問題にテイズリーにあるWordenの処理だ。フジキセキ的なものであるし、またキタサンブラックの観点からBold Rulerの手助けが欲しい。それもまたSeattle Slewによって問題はない。あとは父母間クロスされていれば良いが、実際にクロスはされていないし、Regal Ransomの血統はWild Riskを受け入れる様な形をとっていない。
かといって配合の基本となっているMr. Prospector・Danzig・Buckpasserの観点からWild Riskの強調を求める様なこともない。これは糧となったのだろう。
改めて考えてみるとストロングタイタンにはさほど大きな穴は見あたらない。強いて言えばやはり、Northern Dancerの組み方が気に入らないくらいか。Danzigで影響は最低限であるとは言っても。
気に入らない理由ってのは、つまり、Haloがないからだ。Blue Lakrspur過多の配合で、Northern Dancerも同様ともなると、そりゃHaloが欲しい。Robertoも入っていることであるし。
その代役として求められる血統はないが、Northern Dancer過多+Danzigクロスで影響が最低限に落ち着いているってのが確かなことなので、あまりどうのこうのと言いたくはない。だが、日本競馬を見続けている血統ファンとしては。
もうちっと視点を変えてみると、「4分の4Nashua」なのだから、別のポイントであるRobertoを起点として配合が組み立てられているという風にも。それはもちろんHail to ReasonクロスでTiznowへ脈絡しているから、基本の考えとも違わない。
DanzigとNashuaの影響からストライドの伸びないピッチ走法であるが、Buckpasser的にぎこちなく前脚が伸びる。かといってサトノダイヤモンドの様な胴長は見せない。ぎこちなくも前脚どころか後躯も伸びる。四肢をぎこちなく躍動させる全身運動の狭いストライドこそが本質。
サンデー持ちでは成功しない類の配合であるし、本格化の具合もそう。中距離版サトノダイヤモンドと言えばこんな感じかもしれない。すると平坦はそんなに面白い条件ではないのかな。
前走のマレーシアも登坂後にもう一伸びした。あれは前にRibotの好配合があっても差し切ったであろう末脚であり、同じTom Foolのストーンウェアが相手だったから目立っていない。あれは実績以上の底力を見せた内容であり、また登坂能力の高さを証明した一戦。
小倉は中庸的なストライドでスルスルと動いていける条件である。Tom Foolはその中庸よりもややピッチ気味であり、もう少し4角が窮屈であった方がパフォーマンスは際立つだろう。その上で登坂があれば、と。
中山金杯はジリ脚の典型的な負け戦であるから判断材料には適さない。脚を余したどころか直線ではほとんど進路を取れなかったし、それに明け4歳であの展開から弾けることが出来る配合でもない。今ほど芯の入った状態ではなかったろう。
ともあれ小倉記念で器を計るべきではないし、過去の重賞でもそれは同じ。急坂小回りの中距離で見直したいところであるが・・・オールカマーで細やかにぶちかます可能性は少なからずあるかと。
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