中谷雄太騎手が進路妨害に関する処分に対して不服申立てをしたとのニュースが。
コメントによると「制裁を受けることに対しては致し方ないとも思いますが」という姿勢である。その上で「処分内容に対しては明らかに納得ができなくて」である。
有り体に言えば「制裁はまぁ許容するけど処分内容はおかしくね？」だ。明らかに体当たりする気満々であって、進路を確保するという風ではない。これで上記のコメントを出すとか頭がおかしい。
普通は被害馬がやったようにソロソロと寄っていくべきなのだ。「あっ、こいつ来るんだな」と周りに身構えさせ、その上で抵抗するか開けるかの選択を与えなければならない。でなきゃ落馬のリスクが伴うから。ゴリゴリはグレーでガツンはブラックだわ。中谷はガツンやってるでしょ。
と言っても被害馬は抵抗の意思を示している。中谷騎手が責めるのはおそらくこの点であり「あいつだって当てられることを含んで抵抗してきたのだ」「だからあれは競り合いの範疇に収まる」とでも言うつもりなのだろう。アホかと。
日本競馬という性質を思えば騎手には偉大なるフェアプレーの精神が求められる。競馬先進国のいずれにおいても、これほど賭博として発達し、それを背景としてサラブレッドのレースを担っているJRAの様な組織は、ない。皆無であろう。テラ銭をアホの様に取っている組織なのだからおかしな真似は不必要である。
ていうか落馬事故で馬が死ぬのもやめてほしいし、人死なんて本当に勘弁して欲しいし、ていうか落馬したら馬券ファンがガチオコだからまずい。ファミリーや女性ファンの獲得を目指している傾向からしても落馬は好ましくない。
枠の傾向からしても「名馬は俺達が作る」という風がある。キタサンブラックやジェンティルドンナの内枠攻めはおかしいからね。キタサンは揉まれ強くて競馬が達者であるし、ジャンティルなんてスタートが鬼で緩急自在の馬だ。これを内に配するってのは勝利の機会を与えるに等しい。
なので「騎手は良いレースを作るだけで良い。馬を勝たせる様なことは求めない。強い馬は勝手に勝つものであるし、また枠なりに勝つものである」というのがJRAの指針だろう。
そもそも欧州の様な超激マッスルと違って日本の馬は素早いのだ。マッスルたちがゴリゴリするのは自然の摂理であるが、硬い馬場で高速で走り回っているヒョロ馬でゴリゴリするのは違うだろう。欧州は車だけど日本はバイク。
それなのにバイクであんな角度の当たり方をするんだもの。
どうせ「外人がやっても～」とか言うわけだろう。確かにミルコは危ない。皐月賞でドリフトしてしまったことを見ても実に危ない。3歳牡馬G1初戦としての皐月賞を壊しかけたわけだから運営側としてもヒヤヒヤしただろう。凱旋門賞制覇すら見込まれたドゥラメンテ、ハイランドリール破りのG1二勝馬サトノクラウンの二頭が落馬の危機に瀕したのである。
ああいうのを考えると一理あるなぁと思うが、真横からぶつけて4日で済むなら安いんじゃないの？しかも連鎖事故の可能性もあったわけで、横移動に対してブレーキもかけずに当てている。横移動を収束させたのは当て切った後だからね。
だから二回目の衝突があった。尻を首に当てるという落馬の危険を大きくはらんだ内容での衝突だった。真横から当てた1発目はまだマシであるが、この形は後ろ脚と前脚が絡む可能性があるだけに危険度が本当に高い。
まさか「あちらの対処が悪かった」と言うつもりはないだろうが、被害馬が飛んだ先にも馬があったわけだから内へ進めるのは当然。ていうか失速を防ぐために外移動の収束をソフトにやったのがまた危ない。二度目の衝突の後でようやくまっすぐ走っているもの。
その上勝ち馬が内へ切り込んできたもんだから、それへの対処に釣られて内へ進んでいる。それでまた他の馬を脅かしているし、このレースに関しては本当に救いようがない騎乗だった。何なの？これを過怠金だけで済ませようとかそんな甘っちょろいこと考えているの？
だがね、二日に留めるならオッケーだ。二日が丁度いいだろう。だってシンハライトのオークスで池添は二日なんだもの。あれはね、今回と同じくらい危ないことをやっていると思う。
この二日と四日の差は・・・1着と3着の差だろう。G1と条件の差であるかもしれない。
G1ってのは騎手のタガが外れやすいし、また馬にとっても集大成となることが多い。であるからダーティな手段であっても勝ち切る分には制裁内容は緩和されるのだと思う。あれが3着だったら「あんなことやって3着ならやらなくてよかった」というささやかな気持ちが作用して4日になったのではないか。
またG1で本命を得るくらいの馬ってのは、パフォーマンスを発揮することを要求される。胴元としても勝ち負けはともかくとして壁の中で沈黙されるのは美味しくない。八百長を疑われると馬券が売れなくなってしまう。
条件戦ならそういった疑惑にこだわらなくて良い。。だって「外に出せなくて追えませんでした」で済む。騎手は責められるだろうが、馬には次の機会が巡ってくるし、また脚を使っていないから回復も早い。（そもそも本命の条件でないときは「やらず」っぽい騎乗が見られるし、馬券ファンもそれを見極めて儲けているフシがある。）
また・・・中堅どころが地味に勝ち星を稼ぐよりも、トップジョッキーが勝ち星を稼いで激しいリーディング争いを繰り広げた方が面白いんだよね。そのあたりの事情ってのもありそうである。手心が加えられているといことはないだろうが、非情の制裁というのは起こりづらいかと。
中谷は別にクリーンな騎手でもないし、トップジョッキーでもないし、レースも条件だし、結果も3着だし、内容もかなり危なかったし。二日でなく四日となる条件は揃っているんだよね。むしろ二日に済ませる要素が見当たらない。
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