砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

スプリンターズSの出走馬 その1

スノードラゴン

 新潟スプリンターズSの覇者。平坦スピードに優れるがパワー豊富でダートもこなす。ズブくなってもマイルをこなせない程度には頑強で、この融通の効かなさはCozzene由来だろう。

 Princely Giftらしい柔らかくも頑強なストライドトライバルチーフ×ロイヤルサッシュという血統も含めてゴールドシップと同じ特徴。Blue Larkspurの強い配合を取りつつも基本的なクロスは非Blue Larkspurで、またCaroにおいてはニックス相手にBlue Larkspurを持つ。3×4のクロスにおいてこの類の緊張と緩和は重要であり、G1馬らしい配合と言える。

 サウスアトランティックMill Reef×Ribotの配合形は馬群嫌い≒スタミナを伝えやすく、極端な競馬で結果を残す。現状において強い競馬で勝ち切ることは難しいし、中山の窮屈な4角に取り回しが効きづらい。

レッツゴードンキ

 ドスロー桜花賞を豪快に勝ち切った名牝。Kingmamboジェイドロバリーメイショウマンボと同じだがこちらは父母間のNijinskyTom Foolクロスが効いて競馬が達者。気性がFair Trialなので馬群を猛然と割ることもでき、弱点らしい弱点はない。ただ大物感もない。

 キングカメハメハに対する4分の4Northern Dancer(それも3本×3本)なので成長力に乏しいものの、母はHail to Reasonクロスを基調とするだけにキングカメハメハと完全な相似を取らない。これがもし母父サンデーだったならば栄光を勝ち取ることは適わなかったはずであり、今後の日本競馬における優秀なモデルケースである。

 競馬が達者な分だけ大崩れはしないが大物ではないだけに突き抜けることは難しい。NDの本数に応じて良質な頑強を取り入れているので馬場は渋い方が得意。古馬G1における突破口はここかと。

セイウンコウセイ

 今年の高松宮記念勝ち馬。名繁殖Mixed Marriageの牝系出身で、これはDance Spellとエタンへ通じるクロスが発生する。

 G1を勝ちきれたのはケイティーズファーストによる「8分の1Relance=ポリック4×3」を弄っていないためであり、これを半端に弄るアドマイヤムーンは一味足りないことが多い。これはMr. Prospector×Haloという乾坤一擲のBlue Larkspur弄りに対する表現の素。産駒はこの8分の1を表現するために良質なBlue Larkspur絡みのニックスを注ぎ込むべきである。(BLとRelicは同族)

 Blue Larkspurの良血統と言えばそりゃ「Mr. Prospector×Buckpasser」でファイナルアンサー。次点にRivermanやRoberto、Sadler's Wells、マルゼンスキーが入るかと。競争能力に関してはお察しだが血統としてこれほど繁栄した「父×母父」のニックスは競馬史において稀だ。(父系とは言っていない)

 本馬のMiswakiGalileoサイレンススズカでおなじみの「パワー&スピード」。それもNorthern Dancerとの絡みを持たないことが特筆もので、この頑強を強く引き出せる形だ。「Nasrullah×Princequillo」も「Nasrullah×Hyperion」もNorthern Dancerクロスを前提とした作用である。そのため数多のNPやNHを引こうとも靭やかになりすぎることはなく、非スプリンターではあるが短距離馬として高くまとまっている。

 しかし、「8分の1Tudor Minstrel4×3」に対してMixed Marriageクロスを組み込んだことは、配合において、際どい。7×5という薄さではあるが表現に過ぎるところがある。基礎能力も十分に高いが、G1制覇はピークが重なったことも大きな要因と捉えるべきだろう。元々ズブいところはあるが、この秋でもう一段階上のズブさを見せるのではないか。

 4歳春という若さと完成の季節にパワー&スピードを表現したこの馬は、想像以上に早く落ちていくかもしれない。

フィドゥーシア

 El Pradoのやっていることはわりと「4分の1サンデー」的なことで、Bold Reasonによる「4分の1Blue Larkpur4×4」を弄らずにMahmoud血脈をNorthern Dancerへ組み込んだ配合形。これは「4分の1サンデー、4分の3ND」に近いが、Bold Reason以外を非BL血脈で固めているのが素晴らしい。

 サドラー血統においてはわりと例外的で、例外として北米のトップサイアーに君臨したのも納得。BL弄りのサドラーは北米のBLを受け入れられないので。

 Medaglia d'Oroはその恩恵に預かった名馬であり、DamascusやPrince JohnによるBlue Larkspur祭りを開催している。「16分の1BL4×4」「8分の1BLクロス5×4」「Prince John」というのはだいぶギリギリの線だが成立圏内に入る。ただ日本で種牡馬として成功することは出来ない。

 本馬の配合はBold Reason×Damascus×Prince John×Haloを5×4×5×3で引き、母母が非Blue Larkspur。なので「4分の3Blue Larkspurクロス、4分の1グレートクリスティーヌ」で配合が成立している。影響力をギリギリ伝える「4×4」を2本引くだけに、この効能は決して見逃せない。

 この観点により本馬はグレートクリスティーヌの作用が大きくありDanzigの作用が大きい。一本調子に突貫していく競馬のために行きっぷりがよくそのまんま突っ込んでいく。母ビリーヴに近いが、ビリーヴの方が好配合。本馬はG1勝ちクラスの配合には見えない。

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